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敵機に逃げられる!?「じゃあ戦闘機を垂直に打ち上げよう!」ドイツが作った驚愕の迎撃機 もはや“有人対空砲”

乗りものニュース / 2025年1月2日 18時12分

ドイツが開発したロケット迎撃機であるBa349「ナッター」(画像:パブリックドメイン)。

ドイツの戦闘機で今年の干支であるヘビにちなんだ名前の戦闘機というとBa349「ナッター」があります。ドイツ語で「ナッター」はナミヘビの一種です。同機はかなり異質なコンセプトの迎撃機として有名です。

例えるなら「有人対空砲」か「有人ミサイル」か

 2025(令和7)年は蛇年です。ヘビと言えばその風貌と優れた肉食の爬虫類であることから、ヘビの名前を冠する軍用機や武装なども珍しくありません。第二次世界大戦中、そうしたヘビの名前を冠する機体のなかでもかなり奇抜な機体が誕生しました。わずか2分弱で高度1万2000mを目指すというドイツの戦闘機Ba349「ナッター」です。

 「ナッター」とは、蛇の一種であるナミヘビのドイツ名です。この戦闘機の大きな特徴は、ピストンエンジンやジェットエンジンではなく、現在ロケットやミサイルの技術で利用されているロケットエンジンを搭載している点です。つまり同機はロケット戦闘機になります。

 戦時中、ドイツ軍はロケット戦闘機Me163「コメート」を実用化しました。同機は優れた上昇性能を持っていたものの、その飛行には大量の推進剤が必要なため、極端に航続距離が短くなることが問題でした。高高度からの一撃離脱戦法に連合国軍の爆撃機隊は手を焼いていたものの、同機が飛行場の周辺でしか戦えないとわかると、配備された飛行場を避けて通るようになり、じきに目立った戦果は挙げられなくなってしまいました。

 また、戦闘終了後の帰還にも大きな問題を抱えていました。燃料を使い切ってしまうため、滑空して飛行場に行かなければならないうえに、ソリのようになった胴体で滑るように着陸させる必要があったからです。

 その問題を解決しようと考案されたのがBa349「ナッター」です。同機は、現代の宇宙ロケットのように、ほぼ垂直に射出する方式を採用していますが、これは爆撃機に逃げられる前に速やかに迎撃するためです。ロケットエンジンで垂直に打ち上げる方式なので、主翼は揚力を生み出す必要がないことから非常に小さく、尾翼は姿勢を制御するために十字型に取り付けられており、戦闘機も速度で振り切るのでドックファイトなどを想定した機動性は考慮されていませんでした。

驚愕のパイロット帰還方法とは

 戦闘の方法は、有人の対空砲弾のような要領で、まず地上の警戒監視部隊が米英爆撃機の編隊を確認すると、機体は前述したように空へ向けてほぼ垂直に打ち上げられます。

 そこから約60秒で高度1万2000mに到達した後、残りの40秒弱で飛来する米英の爆撃機群を見つけ接近、距離約550mで機首に装備した24発のロケット弾を一斉に発射します。なお、戦果を確認する余裕はないので、そのまま爆撃機編隊から反撃を受ける前に急いで離脱します。

 なおパイロットの帰還方法もまた特殊です。胴体内のメインロケットはすぐに燃料を使いきってしまうため、エンジンの推進力を使って飛行場に着陸することはできません。さらにMe163のような翼もないため、滑空することも不可能です。そのため、エンジンの燃料がなくなると、パイロットは機体から脱出し、パラシュートで地上に帰還する方式でした。

 トータルの飛行時間はわずか2分。これだけの短時間で敵機に攻撃を仕掛けるだけではなく、そのまま機体から緊急脱出を行い生還するというのはパイロットにとってかなり難しいといえるでしょう。テスト時にその問題は露見しており、1945(昭和20)年2月28日に初の有人飛行を実施した際、射出時の衝撃でパイロットが失神し、墜落しています。

 その後、3度のテスト飛行に成功し、量産のゴーサインこそ出たものの、滞空時間の短さが指摘され、改良が続けられます。ドイツの敗戦までに36機が完成しましたが、実戦投入されることはありませんでした。

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