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「旅客機がとても強く着陸したのですが…パイロットの腕でしょうか」→「いや、プロだから“あえて”です!」…その理由とは

乗りものニュース / 2024年11月16日 7時42分

主脚から煙をあげて接地するANA機(乗りものニュース編集部撮影)。

旅客機に乗っていると、まれに着陸時「ドシン」と衝撃が強くかかるケースがあります。実は場合によっては、こちらの着陸の方が良いケースがあるのだとか。“あえて”そういった接地を行うメリットは何なのでしょうか。

「スムーズな接地」あえてやらないケースも

 旅客機に乗っていると、着陸時の衝撃が少なく「本当に接地したの?」と思うようなときもある一方で、「ドシンっ!」と衝撃が強くかかるケースもあります。実は後者については、意図的に行われているケースもあります。あえてしっかり目に機体を接地させるメリットなどはあるのでしょうか。

 とあるパイロットは、このあえてしっかり目に機体を接地させるシーンを以下のように話します。

「滑走路が凍結していたり、積雪があったりするときには、あえて接地点を延ばさずに少ししっかり目に接地させます。その時はスムーズというよりも、“ドン”と感じるくらいの衝撃で着陸させるほうがベターです。パイロットは状況に応じて、どの程度の強さで機体を地面に接地させるかを考えて操縦しています」

 また同氏によると、降雪時だけでなく、短い滑走路や追い風のときなども、あえて「しっかり目に着陸」を実施するケースが多いとのことです。

「ドシン着陸→あえて」どんなメリットが?

 こういった「しっかり目」の接地の大きなメリットとしては、接地後の機体のスピード低下が早まることが挙げられるでしょう。同氏によると、「接地がスムーズ過ぎると、機体のセンサーが地上に降りたことを認識するのがわずかに遅れ、結果としてスポイラー(主翼上で立ち上がる減速装置)の展開や逆噴射装置(エンジンの噴射方向を変えることで減速を図る装置)の作動が遅れることがある」のだとか。

 悪条件の滑走路に着陸する際は、できる限り早くスポイラーを立ち上げて制動させ、滑走路でオーバーランすることを防ぐため、強めの接地を行うこともあるとのことです。

「通常、着陸後の制動にはスポイラー、逆噴射装置、タイヤのブレーキ、機体そのものの抵抗が大きな効果を発揮しますが、滑りやすい路面ではスポイラーと逆噴射装置の効きが特に重要なので、それらのシステムを少しでも早く作動させることが肝心です」(大手航空会社のパイロット)

 乗客にとっては着陸の接地は、常に気付かないほどスムーズであればあるほど良い、と考えてしまいそうですが、「ドシン」と衝撃を感じる強めの接地は、着陸機にとって不利な空港や天候、路面状態などによっては、できるだけ早く機体を減速させ、むしろ安全運航の一助となる、プロならではのテクニックであるといえそうです。

【映像】まるでレースゲーム…これが「国内の難色空港の最強の悪条件」着陸の様子です

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