新型「クラウンパトカー」発見にSNS騒然!? 発売から2年 そもそもパトカーとして“使える”のか?
乗りものニュース / 2024年11月16日 8時42分
SNSの「X」で現行型「クラウンセダン」と思しきパトカーを捉えた投稿が話題に。ベースは新車価格830万円もする燃料電池自動車。サイズが大きく、給油面でデメリットがあるのに、パトカーとして使えるのでしょうか。
現行型「クラウンセダン」がパトカー!?
2024年11月14日、X(旧Twitter)にポスト(投稿)された1台のパトカーが自動車ファンのあいだで話題を呼びました。画像に写っていたのは、なんと白と黒の2トーンカラーで塗装され、ルーフ上には赤色灯を載せた現行型(16代目)トヨタ「クラウンセダン」だったのです。
投稿主によると撮影場所は某所にあるトヨタ車両流通センター。夜間に車内から撮影したようで、画像がやや不鮮明なこともあり、詳しいことはわかりませんが、「ハイエース」の救急車やトヨタ製乗用車に混ざって佇む「クラウンセダン」のパトカーが捉えられています。
前述したように、ルーフには昇降機なしの赤色灯が取り付けられているものの、車体には「警視庁」などといった所属名のほか、「POLICE」などの文字も入っておらず、ナンバープレートも未装着なことから、どうやら警察への納入前の車体のようです。
パトカーの調達方法には、国の予算である国費購入のほか、各自治体の予算である県費購入、そして個人や民間企業、各種団体が譲渡する、いわゆる寄贈の3種類があります。国費で現行型クラウンが導入されたことはまだないので、おそらくは県費購入かもしくは寄贈でしょう。
どこの都道府県警察に配備されるのかは定かではありませんが、和歌山県警の13代目「ゼロクラウン」や、つい先日引退した山梨県警の7代目日産「セドリック」のように地方警察では、予算の都合でいまだに古い車両を使い続けていることから、県費購入だとすれば、おそらく配備先は予算に比較的余裕がある警視庁や神奈川県警、大阪府警、愛知県警などの大都市圏の警察と考えられます。
寄贈は少々レアケースですが、栃木県警では過去数度にわたって篤志家から高級車のパトカーが寄贈されており、最近ではR35型日産「GT-R」やレクサス「LC500」などの導入例があります。この車両が寄贈だとすれば、地方の県警の可能性もあるでしょう。
ベースは高価なFCEV その使い道は?
加えて、この「クラウン」パトカーは驚くべきことにFCEV(燃料電池自動車)です。FCEVは走行中に二酸化炭素を排出しないため環境負荷が小さく、モーターで走行するため騒音が少ないと言うメリットはある反面、車両価格は高価で、燃料補給のための水素ステーションは全国でおおよそ80か所しかないことがデメリットです。
しかも、ガソリンスタンドと違って24時間営業の水素ステーションはほぼなく、迅速な燃料補給ができなければ警察車両としては運用上、大きな問題となるため、走行距離が長く、必然的に給油の頻度が高い高速道路交通警察隊や交通機動隊への配備の可能性は少ないでしょう。
だとすると、自動車警ら隊への配備となるのでしょうが、その場合、問題になるのが車体サイズです。
現行型クラウンは世界市場への展開も考慮した結果「クロスオーバー」「エステート」「スポーツ」「セダン」の4種類構成となりました。中でもセダンはショーファードリブン(お抱え運転手付きグルマ)という性格が強く、キャビンスペースと後部座席の乗り心地を重視した結果、歴代「クラウン」の中ではじめて全長が5mを超えています。
これほど大きなクルマになると、道幅の狭い住宅街や繁華街の入り組んだ路地裏を走るのに不向きです。これまで歴代シリーズがパトカーになってきた「クラウン」ですが、いまだに現行モデルが警察車両としてデビューしていないのは、そうした背景があるのではないでしょうか。
おそらく、今回撮影された「クラウンセダン」も通常業務での活躍を期待したものではなく、式典やパレードなどの広報活動、要人警備での使用を前提にしての導入と推察されます。たしかにマラソン大会の随伴車両として使用するのなら、排気ガスを排出しないFCEVのパトカーはアスリートへの身体的負担が小さいため、うってつけなのかもしれません。
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