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本州最長クラス「行き止まりローカル線」の終着駅に行ってみた 「え、ここで終わり!?」 それでも漂う“終着駅らしさ”

乗りものニュース / 2025年1月3日 7時12分

長良川鉄道の車両(乗りものニュース編集部撮影)。

岐阜県を走る長良川鉄道は、路線延長が70km以上におよぶ長大なローカル線で、終点が他の路線と接続していない「盲腸線」となっています。終点はどのような場所なのでしょうか。

岐阜を走る「盲腸線」の終点どんな場所?

 岐阜県を走る長良川鉄道は、路線延長が72.1kmにおよぶ長大なローカル線です。終点が他の路線と接続していない「盲腸線」としては、本州では最長クラスです。終点はどのような場所なのか、実際に行ってみました。

 長良川鉄道は元々、国鉄の越美南線として、1934(昭和9)年に全通した路線です。終点の北濃駅(岐阜県郡上市)は、福井県の九頭竜湖駅と結ばれる予定でした。北濃駅は「途中駅」となる見込みで開業したものの、国鉄の経営悪化により、県境に位置する峠越え区間の延伸が頓挫し「終着駅」となってしまったのです。そして1986(昭和61)年、越美南線は第三セクターの長良川鉄道に移管され、現在に至ります。

 長良川鉄道の終点である北濃駅に行く場合、起点の美濃太田駅から乗車すると、約2時間ほどかかります。美濃太田駅はJR高山線や太多線と接続する交通の要衝で、特急「ひだ」も停車します。

 乗車した日は平日でしたが、長良川鉄道は 美濃太田駅発車時点で立客がでるほどの混雑でした。車内はフリー切符を持ったシニア層が多く、外国人観光客の姿も見られました。

 列車は「日本三大清流」の一つである長良川に沿って走り、上流の山間部へ向かっていきます。車窓には美しい景色が流れますが、普通列車にはトイレがないため、乗車前に済ませておく必要がある点は要注意です。

 古い街並みなどが残り、インバウンド(訪日観光客)にも人気の郡上八幡駅に到着すると、乗客の大半が下車していきました。列車はここから更に進んでいき、美濃太田駅から37駅目の終点、北濃駅に到着。ここまで乗っていたのは鉄道ファンと思しき数人のみでした。

駅構内には「終着駅」ならではの設備も保存

 北濃駅で降りてみると、終点であることを示す木製の看板が。線路はホームのやや先にある民家で途切れており、「終着駅」であることを実感します。小さな木造駅舎から駅の外に出ると、駅前には道路が1本(国道156号)があるだけです。

 ただ、駅舎には食堂があり、みそかつやエビフライ、ラーメンなど様々なメニューがありました。駅前のバス停には、ひるがの高原スキー場へ向かうバスも発着します。無人駅ではありますが、全く人気がない駅というわけではありません。

 北濃駅を訪れた際に、見ておきたい終着駅ならではの設備が、駅構内にあるSLの転車台です。転車台とはSLの方向を変えるための装置で、車両を橋げたの上に乗せ、180度回転させて線路に戻す役割がありました。

 この転車台は、1902年(明治35年)にアメリカンブリッジ社で作られ、元々は岐阜駅に設置されていたものです。それが越美南線の全通時に北濃駅に移設され、35年間使用されました。越美南線が長良川鉄道に移管された後も、レールバスが方向を変える際に使用されていたといいます。その後は役割を終え、2004(平成16)年から鉄道文化遺産として保存展示されています。

 北濃駅は現在、風情を感じる木造駅舎や転車台などを目的に、鉄道ファンなどが訪れるケースが多いようです。ここから先に延びるはずだった鉄路に想いを馳せて見学するのも良いでしょう。

 岐阜と福井を直結できなかった越美南線ですが、この夢は高規格道路が果たそうとしています。「中部縦貫道」の一部を構成し、国道158号のバイパスとなる「大野油坂道路」が現在工事中。全通すれば、北陸道と東海北陸道が九頭竜湖経由で直結され、北陸・中部地方の交通ネットワークの利便性が大きく向上します。

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