81歳“県議”も加害者に 死亡事故急増で「非常事態宣言」の県も 深刻レベルで事故が起こっている“魔の時間帯”とは
乗りものニュース / 2024年12月2日 9時42分
全国で交通事故死者数が深刻なレベルで増加しています。岐阜県は「死亡事故多発非常事態宣言」を発令。年末年始に向けての事故増加が止まりません。岐阜県内では、11月の事故の大半が「魔の時間帯」に起こっています。
「非常事態宣言」は“ある謝罪”の翌々日だった
コロナ禍で下げ止まった交通事故死者数がじわじわと増加傾向です。11月27日現在、全国の交通死者数は前年同期比で6人増えて2344人。2030年までに事故死者数を2020年比で1200人減らし、約1600人に抑えるという目標も危うくなっています。
そんな中で、岐阜県が「死亡事故多発非常事態宣言」を発令しました。
宣言は1か月以内の死者が10人に達した時点で県が発出するもので、県警による取締りや関係者の交通事故予防運動が強化され、事故抑止の引き締めを図るものです。岐阜県は2023年10月にも非常事態宣言を発令。年末に向けての事故増加が止まりません。
岐阜県内では2024年11月1か月間の交通事故死者数が合計で10人に達し、同県民生活課が11月28日に県全域で「死亡事故多発非常事態宣言」を発令しました。
交通事故死者数は年末に近づくに連れて増える傾向ですが、同年の岐阜県内の死者数は合計58人。11月28日の時点で死者10人に達したことに、関係者は強い危機感を抱いています。また、前年同期比でも8人増加し、総数でも増加が心配されます。
岐阜県の死亡事故にはわかりやすい傾向があります。
「交通死亡事故は日没が早くなる秋口から多くなる傾向があります。10人の事故のうち7人の事故は16時頃~18時頃までの夕暮れ、夜間に起きています。また、四輪車と二輪車の運転中の事故は6人で、歩行中に被害4人を上回っています。年齢別では10人のうち6人は65歳以上の高齢者でした」(県民生活課)
バイク死亡事故では、大型バイクが上回る
岐阜県の2024年の死者数は、6月に8人で一度ピークを迎えました。歩行者を重点とした事故対策で減少しましたが、再び増加に転じました。こうした傾向を受けて、12月の交通安全啓発を前倒しで実施、事故多発地点での重点的な取締りも予定されます。
岐阜県警交通部が事故防止対策を呼びかけています。
「運転者に向けては、ヘッドライトの点灯を早めに行うほか、ハイビームの適切な活用を呼びかけています。ロービームはすれ違い灯とも呼ばれていて、点灯中は本来、ハイビームを使っていただきたい。また、夜間の歩行ではなるべく反射材の付いた衣服などを活用してほしい。運転者も歩行者も、早く発見する、発見されるように努めて下さい」(交通企画課)
バイクの事故も岐阜県では深刻です。岐阜県警の集計によると、2024年のバイク死亡事故は8人(11月28日時点)。そのうち排気量125ccまでの小型バイクの死者は2人で、大半は自動二輪車の事故でした。
このほかに、バイク運転者が加害者となった歩行者の死者が2人ありました。自動二輪車のライダーは加害者になることにも注意を向けた運転が必要です。
岐阜県では11月9日、81歳になる県会議員の運転する乗用車と軽自動車が岐阜市内において出会い頭で衝突しました。この事故の発生も夕暮れ、17時10分頃でした。軽自動車が横転し、後部座席に乗る同乗者が死亡しました。
加害者となった県議は、県議会会派の総会で事故について触れ、謝罪。非常事態宣言はその翌々日に発令されました。
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