新・青春18きっぷ「3日間用でいける“北限”」とは? オプション券ほんとに使える? 存在する“限界突破テク” 【東京―北海道編】
乗りものニュース / 2024年12月3日 7時12分
「青春18きっぷ」旅のあこがれの地といえば、やはり北海道。これまで東京発2泊3日では、わずかだった北海道の滞在時間が、「オプション券」の新ルールにより大幅に伸びました。「3日間用」を使った東京から北海道への旅を紐解きます。
東京から新青森へは3つのルートがある
リニューアルされた「青春18きっぷ」のなかでも、気になるのが「3日間用」(1万円)の登場と、「北海道新幹線オプション券」(4500円)のルール変更です。オプション券は北海道新幹線の乗車区間が奥津軽いまべつ~木古内間だったものが、新青森~木古内間へと拡大されています。東京発でこのふたつを活用した場合に、どのような旅が楽しめるのか考えてみたいと思います。
ちなみに、同じ期間に発売されている「北海道&東日本パス」(1万1330円)のほうが連続7日間有効、IGRいわて銀河鉄道や青い森鉄道など乗車できる第三セクターも多く、さらに北海道新幹線の新青森~新函館北斗間も、特定特急券(4000円)があれば乗車できるので、4日以上の行程ならこちらがお得になります。このきっぷとの比較も取り上げつつ考えてみます。
まず東京(上野)から「青春18きっぷ」で北海道をめざす場合、1日目にアクセスできるのは新青森までです。東北本線経由、常磐線経由、上越線経由の3ルートいずれも、新青森着は22時11分です。
より遅い出発でアクセスできるのが東北本線経由。6時08分上野発の宇都宮線に乗車できれば、新青森に到達できます。ルートは東北本線で岩手県の北上まで北に進み、北上から北上線、奥羽本線経由。仙台に13時08分着、秋田に19時12分着と進み、秋田19時23分発の青森行き快速列車で移動します。なお、上野5時10分発の始発に乗ると、北上まで約1時間先行し、仙台などで昼食をとることも可能です。
秋田から乗車する快速列車は青森駅に22時17分着なので、新青森にホテルを確保できないときは青森駅周辺のホテルを探してみましょう。また繁華街があるのは青森なので、青森なら深夜営業している飲食店もあります。
2日目は「新青森から北海道日帰り旅」が必須
2日目。「青春18きっぷ」の「北海道新幹線オプション券(4500円)」を利用できる木古内停車の北海道新幹線は、新青森7時56分発の「はやて93号」、9時51分発の「はやぶさ1号」が候補になります。「はやて93号」なら函館着が10時12分、「はやぶさ1号」なら函館着は12時21分です。
これがルール改定前は、青森から津軽線で蟹田へ、蟹田から代行バスで奥津軽いまべつ駅に行く必要があったため、青森を6時16分発の津軽線に乗車する必要がありました。ルール改定のおかげで青森泊なら駅近くの朝市などを覗いてから、新青森へと向かうこともできそうです。
ただ、この時点で3日目の帰路を考えておく必要があります。3日目に東京へ戻るには、奥羽本線始発列車での青森・新青森発が必要となるため、2日目は新青森からの北海道日帰りが必須です。
帰路の「北海道新幹線オプション券」を使用できる最終の移動は、函館を19時25分発の道南いさりび鉄道で木古内に20時31分着、20時56分発の北海道新幹線「はやて98号」で新青森21時45分着(または木古内で途中下車をして「はやて100号」新青森22時59分着も可能)です。
このため、新青森や青森に2泊でホテルを確保しておけば、北海道へは身軽な荷物で行ってくることができるようになります。
函館滞在なら実に9時間確保可能 だがそれでいいのか!?
では、2日目の北海道で何ができるでしょうか。
「北海道新幹線オプション券」を利用すると、函館の到着が10時12分、函館発の最終が19時25分で滞在時間が9時間以上もあります。
実は「北海道新幹線オプション券」の新ルールでいちばんの恩恵があるのが、函館からの復路です。北海道新幹線の奥津軽いまべつで下車が必要だった改定前は、函館13時36分発の道南いさりび鉄道に乗らなければ、青森まで戻ることができませんでした。ルール改定により実に6時間もの余裕が生まれたことになります。
この9時間以上という滞在時間を函館観光に終始してもいいのですが、それでは「青春18きっぷ」の2日目をほぼ無駄にしていることにもなります。そこで、函館本線でどこまで北上できるかを考えてみます。
2日目の北海道の“北限”とは?
函館着後にすぐの列車での移動をとると、11時06分発の函館本線で森着が12時28分。森での乗り継ぎ時間が約1時間20分あるので、ここで名物の「いかめし」を購入することもできます。森からは13時50分の函館本線長万部行きに乗り、長万部に14時56分着。ここが限界到達駅となります。
折り返し函館行き列車の長万部発は16時20分。かつて函館本線を跨いでいた温泉街への跨線橋が北海道新幹線の工事に伴いなくなってしまったため、歩くと片道約20分かかることにはなりますが、長万部温泉の旅館で日帰り入浴をしてくることができそうです。名物の「かにめし」を予約しておくのもいいかもしれません。
ちなみに長万部14時56分着の列車は函館12時35分発の列車です。青森から函館へ10時12分到着後に、朝市での食事や買い物に2時間以上の時間を確保することもできます。
長万部から戻る函館本線は、五稜郭着が19時21分。木古内行きの道南いさりび鉄道は五稜郭発が19時31分です。函館まで行ってしまうと乗り換えが間に合わないので注意しましょう。
3日目 青森から東京へ…「北海道&東日本パス」ならどうだった?
3日目。新青森を5時46分発、青森なら5時41発の奥羽本線の始発列車に乗車することで、その日のうちに東京へと戻ることができます。奥羽本線を秋田から横手へ、横手から北上線で北上へ、北上から東北本線を仙台へと向かうルートで、仙台には15時30分着。
仙台からは東北本線経由、常磐線経由ともに東京まで帰ることができますが、より早いのは常磐線経由で、仙台15時34分発で上野へ22時56分に着きます。
ちなみに、今回の北海道行きで「北海道&東日本パス」を活用した場合はどうだったでしょうか。
このきっぷは、新青森~新函館北斗の北海道新幹線に特定特急券を追加することで乗車できるため、1日目のうちに函館到着が可能です。4日以上の旅ができるなら断然こちらがお得です。
3日間の旅と考えると、時間効率がいいのは「北海道&東日本パス」、金額的には「青春18きっぷ」3日間用ですが、「北海道新幹線オプション券」を往復で利用すると考えると合計額は「青春18きっぷ+北海道新幹線オプション券2枚」が1万9000円、「北海道&東日本パス+特定特急券2枚」が1万9330円と、ほぼ差額はなくなります。
フェリー活用で、より時間の余裕が生まれる
津軽海峡の移動に、かつての青函連絡船のような風情を感じられるフェリーを利用することを検討してもいいかもしれません。青森と函館の間には青函フェリー(8往復/冬季の片道最低運賃2200円)と津軽海峡フェリー(6往復/片道最低運賃2860~3420円)の2社が運行しており、所要時間は3時間40~50分。
それぞれフェリー乗り場は駅から離れているものの、料金を抑えた事前予約制の定額タクシーが用意されています。深夜の便を利用すれば船内泊となり、宿泊代を浮かせることにもなります。
往復フェリーを利用すると、函館8時18分発の函館本線長万部行きに乗車することで、2日目に函館本線(山線)の倶知安まで足を延ばせます。倶知安着が15時02分で倶知安発が16時53分と1時間51分の滞在時間となります。途中駅のニセコなら滞在時間2時間24分、比羅夫なら滞在時間2時間7分です。
また復路のみをフェリーにすることで、前述の長万部往復に、函館山ロープウェイなど函館の夜景観光を組み込むことができるようになります。
ちなみに、「北海道&東日本パス」で1日目に函館泊が実現しても、3日目に東京へ戻る場合は、2日目にアクセスできるのは倶知安まで。新函館北斗21時57分発の北海道新幹線最終列車で新青森または青森に戻っておく必要があります。
帰路を飛行機にするとどう?
プランニングしてみると3日間用では、まだまだ北海道を満喫できるとは言えません。そこで、帰路に北海道内の空港から飛行機を利用することで、3日間という限られた日程でより北海道の旅を楽しめるかどうか考えてみます。
前述の通り2日目に「北海道新幹線オプション券」を使った場合、長万部に14時56分着となります。このまま室蘭本線を東室蘭、苫小牧と乗り継ぎ、千歳線で札幌に向かうと札幌着は20時04分です。長万部から函館本線山線を経由すると小樽に19時49分着、札幌には20時42分着となります。
この日のうちに旭川までは行けませんが、札幌を翌朝6時に出発すると8時51分には旭川へ到着することができます。
他方、室蘭本線の苫小牧から石勝線、根室本線を東へと進むと、帯広着が3日目の17時46分が最速、さらに東の釧路は21時04分が最速です。
つまり帰路に飛行機を検討する場合、新千歳空港利用なら2日目に室蘭本線の洞爺湖温泉や登別温泉、室蘭などに宿泊してゆったりと旅を楽しむことができます。函館本線山線経由または室蘭本線経由のいずれでも、小樽泊や札幌泊を楽しみ、新千歳空港を利用して帰京するのも現実的です。さらに、3日目に旭川観光を楽しんでから旭川空港発も十分楽しめます。
ただし帯広空港や釧路空港利用となると3日目間での旅は不可能です。3日目に帯広、釧路に泊まり、4日目は終日バスなどで現地観光を楽しんで飛行機で羽田へ向かうことになります。
新たに設定された青春18きっぷ3日間用は、「北海道新幹線オプション券」のルール変更より大幅な旅の余裕が生まれていました。一方で、より効率のいい「北海道&東日本パス」あるのも事実です。そこは賢く使い分けつつ、「新・青春18きっぷ」の可能性を追求した2泊3日の旅の参考として、皆さんなりのプランで新しい18きっぷの旅を楽しんでみてください。
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