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「自動車盗難」の防止条例があっさり“不採択”に 「犯罪抑止になる」ユーザーの思い届かず 一体なぜ? 東京都

乗りものニュース / 2024年12月4日 9時42分

自動車盗難が深刻化している(日本損保協会中部支部の盗難防止ガイドより)。

自動車盗の抑止に効果的といわれる「ヤード規制」条例がない東京都。議会でその対策強化に関する請願が審議された結果、不採択となりました。どのような理由だったのでしょうか。

自宅でも盗まれる車・オートバイ「対策強化して!」請願

 東京都の警察や消防行政のあり方を審議する都議会警察・消防委員会で「自動車及びオートバイの盗難防止対策の強化に関する請願」について採決が行われました。
 
 同委員会に所属し、2024年12月2日の委員会に主席した13人の都議会議員のうち、請願内容に賛成し、起立した議員は2人。盗難防止対策の強化を求める請願は、起立少数で“不採択”になりました。

 車両盗難の被害認知件数はピーク時と比較すると激減していますが、高級車を狙った犯行に集中し、自宅保管中の被害も出ています。SNSでは毎日のように「愛車が盗まれた」といった被害の投稿が見られ、愛知県では今年1~8月の認知件数が前年同期費で135.5%となるなど深刻化しています。

 今回の請願は、盗難車の解体現場となりやすい「ヤード」を規制すること。盗難防止対策を速やかに行うために、首都圏の各自治体との連携を強化し、盗難車両の情報共有や盗難が疑われる車両の解体・転売を防ぐための対策を徹底することを求める内容でした。

 全国では約3000か所のヤードが確認されていますが、条例を制定しているのは首都圏では千葉、茨城、埼玉です。東京都には、建設で発生した残土などをストックするストックヤードに関する登録制度はありますが、車両の解体を行うヤードを規制する条例はありません。

“さっさと終了”した委員会

 議会への「請願」は、賛同する都議会議員の紹介があれば、誰でも提出することができます。陳情と違って、委員会と本会議で採択されると、都議会はその内容に関する処理経過と結果の報告を、行政など関係者に求めます。

 署名活動などを通じて国会議員に同様の対策強化を求めて活動する「車両盗難を厳罰化にする会」は、請願申請の中で「規制の強化にあわせてヤードが移転することから、即時の立ち入り検査を可能にする等の自動車盗に特化したヤード条例の制定が抑止力となる」と主張。同年9月18日に請願申請は受理されました。自由を守る会の上田令子議員が紹介議員となり、2024年度の第4回都議会定例会で採択が求められました。

“不採択”となった委員会に出席した警視庁の村瀬智行組織犯罪対策部長は、次のように説明しました。

「警視庁では都内で5か所のヤードを把握しており、そのすべてのヤードについて稼働実態や従業員の就労状況の確認を実施している。

 加えて、自動車解体業者等に対しても、関係法令に基づく定期的な立入のほか、各種取り扱いを通じた実態把握や指導を行っている。

 また、盗難の手口や、被害発生状況、盗難防止に有効な機器などを『メールけいしちょう』やSNSを通じて発信するなど、自動車およびオートバイの盗難防止に向けた広報啓発活動を推進するとともに、隣接する各県警察との盗難情報の共有、検挙対策を徹底している。今後とも自動車オートバイ盗難対策を徹底する」

 請願内容に対する委員の質問はなく、委員会は5分ほどで終了しました。

 盗難被害者からはこんな声が聞こえました。

「犯人が逮捕されたからといって、自分の乗っていたクルマがそのままの状態で戻ってくるわけではない。乗れなくなったクルマでもローンは払い続けなければならない。盗難に強い姿勢をみせてほしい」

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