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「サンライズ」に喫煙個室は必要か? もはや唯一の“タバコが吸える列車” 匂いの影響を調べてみると意外な点が

乗りものニュース / 2024年12月14日 15時12分

日本で唯一の定期寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」(安藤昌季撮影)。

東京~高松・出雲市間を結ぶ寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」。2024年現在、唯一の「喫煙できる列車」でもあります。喫煙個室寝台の居住環境は、どうなのでしょうか。

実は個室内はそれほどでもない

 東京~高松・出雲市間を結ぶ寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」。特に金曜日の夜は平均乗車率99%という人気ぶりで、寝台券の確保は容易ではありません。
 
 人気の一方で、2024年現在は唯一、喫煙車と喫煙個室を備えた列車でもあります。寝台券が取りにくい列車だけに、タバコを吸わない乗客でも、喫煙可能設備しか予約できないことも多くあります。

 筆者(安藤昌季:乗りものライター)は、「サンライズ瀬戸・出雲」で喫煙車のある個室寝台「シングル」「シングルツイン」と、喫煙可能個室のある「シングルデラックス」「サンライズツイン」を複数回利用したことがあります。これらの設備はどのような居住環境なのでしょうか。非喫煙者の立場から見ていきます。

■喫煙車は6号車と13号車
 喫煙車は「瀬戸」「出雲」それぞれの編成に1両ずつあり、併結した状態では6・13号車が喫煙車になります。この車両には1人用B個室寝台「シングル」と、1~2人用B個室寝台「シングルツイン」が備わります。

 喫煙車の通路部分はタバコの匂いがかなりあります。ただ、個室内ではそれほど感じません。煙が上へ行く以上、上段室では匂いがこもりやすいはずですが、上段室でも気になるレベルではありませんでした。

2種類の個室で違いアリ?

「シングル」の個室内では、そこまで煙の影響はないと書きましたが、周囲の個室で喫煙が頻繁に行われる場合は、若干でも煙が入ってきます。灰皿のある個室の入口から離れた、寝台が広い部分の頭上に換気扇があるため、そこまで悪影響はないと思いますが、匂いに敏感な人は避けた方が無難です。筆者は感じたことはありませんが、逆に換気扇を通じて匂いが入ることもあるそうです。

 なお、自分の前に個室を利用した人がヘビースモーカーだった場合は、匂いが残ることもあるでしょう。日本国民の喫煙率は14.8%(2022年)とのことで、乗車時には喫煙車内にタバコを吸う人が全く乗っていないこともありました。運の要素も強いかもしれません。

■1~2人用B個室寝台「シングルツイン」
 補助寝台を展開すれば、2人でも使える個室寝台です。「シングル」と同じく、6・13号車は喫煙車です。「サンライズ」は2人用個室の競争率が高いため、2人用禁煙個室にこだわると、予約できないことも多々あります。

「シングル」と比較すると、室内のタバコ臭は若干強く感じます。これは扉の開口部が広く、部屋の中央にある階段に灰皿があることと、天井が高いぶん、換気扇までの距離が遠いことが原因だと思います。筆者は耐えられる範囲でしたが、匂いが気になる人は避けた方が無難だと思います。

禁煙室を狙うのは至難の業!

「サンライズ」の4・11号車は、半数の個室寝台で喫煙が可能な車両です。1人用A個室寝台「シングルデラックス」、2人用B個室寝台「サンライズツイン」とも非常に人気があるため、禁煙室を狙うことは困難であり、筆者は喫煙室に何度も乗車しています。

■2人用B個室寝台「サンライズツイン」
 レール方向に寝台が並ぶ2人用個室です。灰皿は寝台間の枕元に設置されています。喫煙室でも、個室内でタバコの匂いはほとんどしないと思います。

 ただ3・4番個室が向かいあった喫煙室のため、自分がタバコを吸わなくても向かいからタバコの煙が入ってくることがあります。筆者の経験では、隣室の乗客がタバコを吸い始めると、明らかに分かるくらいの匂いが流れてきました。寝台が広い部分の頭上に換気扇があるため、空気は順次入れ替わりますが、匂いが気になる人は避けた方が無難だと思います。

 なお、非喫煙者の4人グループが3・4番個室を予約できたとすれば、周囲にタバコを吸える個室がないため、禁煙室を予約したのと同じ状況になります。これは「シングルデラックス」の喫煙室25・26番個室も同様です。

■1人用A個室寝台「シングルデラックス」
 日本で唯一のA個室寝台で、灰皿はテーブルについています。23・24・25番個室が喫煙室です。喫煙室でも個室内でタバコの匂いはほとんどしませんが、隣室でタバコを吸われた場合は、「吸い始めた」ことが分かる程度には匂いが入ってきます。

24番個室は禁煙に改めよ

 特に問題なのは、禁煙室である23番個室を予約した場合です。23番個室は車両の中央部で最も乗り心地に優れますが、向かい合う24番個室が喫煙室であるため、24番個室の乗客が喫煙者だった場合は、喫煙室と変わらない環境となります。

 乗車時間が長い寝台列車において、喫煙可能箇所があることはやむを得ないと思うのですが、「シングルデラックス」の24番個室については、23番個室が禁煙である意味がないため、すぐにでも禁煙室に改めるべきだと強く提言します。

 逆に、喫煙室でも24番個室を予約できた場合は、向かい合う23番個室が禁煙室であるため、実質禁煙室となります。ですから「シングルデラックス」については、タバコが苦手な人でも予約時に「禁煙室縛り」はせず、24番個室が取れたならそのまま乗車すればよいでしょう。

 なお「サンライズ」の「ソロ」「ノビノビ座席」は禁煙設備のみのため、タバコの心配をする必要はありません。

 まとめとして、喫煙車や喫煙可能な個室は時代に合わないと感じます。列車内に喫煙ルームを設け、個室内での禁煙は禁止にすべきではないでしょうか。喫煙ルームを設ければ、禁煙設備しかない「ソロ」「ノビノビ座席」の乗客も喫煙できる利点もあります。

 そこで、5・12号車のトイレを喫煙ルームに変更してはいかがでしょうか。このトイレは客室とは離れた位置にあり、また隣接車両にもトイレがあるので、喫煙室への変更の影響は最小限です。編成の中央に近く利便性に優れ、定員への影響がない利点もあります。

 特に学校の休み期間は多くの子どもも乗車する超人気列車ですから、喫煙者との棲み分けは必要だと思います。

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