「追越車線を延々と走るマン」は“独特の解釈”を持っている? 行動心理を交通心理士がズバリ解説 ただ下手なだけの可能性も?
乗りものニュース / 2024年12月12日 18時12分
「追越車線」を走り続けるドライバーが後を絶ちません。後ろに渋滞を作っているケースもありますが、ドライバーは何を思って走っているでしょうか。その心理と、望ましい対策を専門家に聞きました。
追越車線を塞いで渋滞を作っているドライバーは何を思う?
一般道・高速道路などの2車線以上の道路では、前方を走る車を追い越す場合、最も右側の車線を走行する必要があります。この右側の車線に「追越車線」と標識があるにもかかわらず、走行車線に戻らず延々と走行し続けていると「通行帯違反」となり、罰則が課されることがあります。
また、左側の車線を使っての追い越しをすれば、これもまた違反。つまり、追い越しをする場合は、必ず右側の車線でなければいけません。
――なのですが、この右側の追越車線を延々と、一定速度で走り続けるクルマを結構な頻度で見かけます。
結果的に、追越車線を塞ぐ格好になり、後続で渋滞を起こしているケースも。これは迷惑運転にも思えるのですが、果たしてドライバーはどんな心理状況で、追越車線を走り続けているのでしょうか。交通心理士で近畿大学物理工学部准教授の島崎 敢先生に聞きました。
島崎先生は「あくまでも1つの解釈」とした上で、「まず基本的な交通ルールの理解不足があるのではないか」と言います。
「追越車線は、その名の通り『追い越しを行う際に一時的に使用し、その後は走行車線に戻るべき車線である』という基本的な認識が欠如している可能性があります。
また、一部のドライバーは『制限速度』に関して独特の解釈をしているかもしれません。つまり、『自分は制限速度で走行しているし、他の全てのドライバーも制限速度を遵守するはずである』という前提に立ち、『制限速度を守って走行している自分には追越車線を走る権利がある』という意識を持っている可能性があります。
この解釈に立てば、理論的には“誰にも追い越されることはない”ため、追越車線に居続けることを正当化できると考えているのかもしれません」(島崎先生)
「わ」ナンバーもけっこう見かける「追越車線を走り続けるマン」
一方で、「そもそも運転に不慣れなドライバーが追越車線を走り続ける場合もあるかもしれない」と島崎先生は言います。確かに、追越車線を走り続けるクルマの中には、「わナンバー(レンタカー)」のクルマも多く見かけます。
前述のような「交通ルールの理解が欠如しているドライバー」も一定数いそうですが、運転に慣れていない場合、車線変更というのはけっこう恐怖に感じるようにも思います。
「追越車線を走り続けるドライバーの中には、車線変更が苦手で、『面倒だ』とか『車線変更したくない』という感情がある場合もあるかもしれません。いちど追越車線に出たものの、『できるだけ車線変更の回数を減らしたい』という心理が働き、結果として追越車線を走り続けることになっているのかもしれません」(島崎先生)
しかし、いずれにしても追越車線を走り続けることは交通違反であり、後続のクルマにとっても迷惑なもの。こういった正しいルールを周知させるために、どんな方法が考えられるかについて、最後に意見を聞きました。
「意図的に追越車線を走り続けるドライバーが後を絶たないのであれば、より一層の運転者教育や、正しい交通ルールの周知が必要でしょう。ドライバーの意識改革を行い、そして、交通社会での譲り合いの精神を育むことが重要です。
また、無意識で追越車線を走り続けるドライバーの行動に対して、まずは『その行動の危険度・周囲への迷惑度』に気づいてもらうことが第一歩です。正しい道路交通法の再教育、“自分の運転行動は周囲にどのように影響を与え、周囲からどのように見えるのか”といった点で理解を促すことが必要です。
さらに、こういった正しい運転の理解をサポートするための『支援装置』の発展も有効かもしれません。例えば、最近のクルマに搭載されている運転支援技術などで、運転者の『無意識的行動』に気付きを与えるのも一考だとも思います」(島崎先生)
筆者個人的には「追越車線」「走行車線」に伴う正しい交通ルールの周知は、現状ではやや薄いようにも感じます。島崎先生の意見にもある「ドライバーの理解を促す」ような取り組みに期待するばかりです。
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