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ありそうでなかった「究極のテレワーク場」!? 新クルーズ船「MITSUI OCEAN FUJI」みてきた クルーズ市場の火付け役に

乗りものニュース / 2024年12月12日 8時12分

東京国際クルーズターミナルに接岸したMITSUI OCEAN FUJI(深水千翔撮影)。

商船三井グループの新たなクルーズ船「MITSUI OCEAN FUJI」がついに登場。船内はどれほど豪華なのか見てきました。若い現役世代にとっては「憧れの仕事場」としても映るかもしれません。

船内レストラン4つ!? 超豪華クルーズ船ついに登場

 商船三井クルーズが運航する2隻目のクルーズ船「MITSUI OCEAN FUJI(三井オーシャン・フジ)」(3万2477総トン)が2024年12月、ついにデビューしました。同船は全て海を望むスイートルームで構成されたラグジュアリークラスのクルーズ船で、船上でゆったりと過ごせる設備と、細かいところまで行き届いたサービスを提供しています。

 同社の向井恒道社長は「(クルーズ船は)2隻で終わりではない。より複数隻で羽ばたいていく」と述べ、引き続きクルーズ船隊を拡充していく方針を示しました。

「MITSUI OCEAN FUJI」はもともと、米シーボーン・クルーズのラグジュアリー船「Seaborn Odyssey(シーボーン・オデッセイ)」として運航していました。

 商船三井グループはクルーズ事業への投資を積極的に進めており、同船を日本市場向けに改修を行った後、商船三井クルーズの新ブランド「MITSUI OCEAN CRUISE」初の投入船として運航を始めています。12月1日に横浜港新港ふ頭客船ターミナルを出港し、別府や釜山、下関を巡るデビュークルーズを終えた「MITSUI OCEAN FUJI」は7日に東京港の東京国際クルーズターミナルに接岸。報道関係者に船内が公開されました。

「『MITSUI OCEAN FUJI』最大の特長は、世界基準の上質な設えと日本の文化、食体験の融合にある」と向井社長が話す通り、船内に4か所あるレストランでは日本中から取りそろえた旬の食材を使った料理を用意しています。

 メインダイニングの「ザ・レストラン富士」では本格的な和食を食べることできます。和食と洋食の提供は日替わりで、ここでは時間指定なく、営業時間内であればいつでも利用することができます。

 船尾に開けたテラス席を設けたビュッフェスタイルの「テラスレストラン八葉」には、肉料理やサラダ、フルーツ、デザートだけでなく、日本船社ならではの料理として天ぷらなども並んでいました。

 さらに屋外デッキに置かれたプールのそばには「プールサイドレストラン&バー湖畔」があり、空と海を見渡せるクルーズ船ならではの空間でカクテルと一緒にピザやバーガーなどを味わうことができます。

本丸は「予約制の有料レストラン」

 もう一つ、予約制の有料レストランとして「北斎 FINE DINING」があります。ここは三國清三シェフが監修したスペシャルダイニングで、アミューズブーシュ、前菜、スープ、サラダ、メインディッシュ、デザート、プティフールなど、季節の食材を活かしたコースメニューを提供します。

 三國シェフは「私の料理はジャポニゼというテーマで、フランス料理をベースに、日本のタッチを入れて表現している。日本の方もすごく馴染みがあるし、例えばマグロのカルパッチョも醤油のドレッシングを使っている。世界的な日本食ブームなので、海外の方もすごく喜んでくれると思う」と話していました。

 このほかにも富士山をイメージしたクラフトカクテルや和風アフタヌーンティー「玉手箱」が用意されている「オブザベーションバー 36」、ウイスキーやジンなどと共にピアノやバンド演奏を楽しむことができる「オーシャンクラブ&バー」など、クルーズを通じてさまざまな“食の体験”を楽しむことができます。

一番大きな客室は「家より広いかも!?」

「20万トンという大きなクルーズ船が多く登場する中、『MITSUI OCEAN FUJI』は小さめのサイズの船だ」と向井社長は話します。それでも、全客室がオーシャンビューで約9割にベランダがついており、「一番小さな客室でも25.3 平米の広さがある」と自信を見せます。

「MITSUI OCEAN FUJI」の船体規模は3万2477総トンで、既存の「にっぽん丸」(2万2472総トン)に比べると大きく感じます。全長は198.15m、全幅は25.6m。これは“夜の瀬戸内海を航行できる”最大サイズに近く、その点が強みにもなっています。

 船客定員は458人。客室数は229室で、この中で最上級となるのが「MITSUI OCEANスイート」です。

「MITSUI OCEANスイート」の広さは82.4平米。広くリラックスできるリビングルームとベッドルームに加えて、バーカウンターやサンルームのソラリウムバスといった設備も備えられています。ここを含めたシグネチャー、ラグジュアリー、ペントハウスの各スイートにはバトラーサービスが付いており、船上予約の手配やランドリーサービス、ダイニングのセットアップといった手伝いを行います。

ありそうでなかった「仕事できる場所」

 向井社長はさらに「客室だけでなく、共用エリアも心地よい場所がたくさんある」と説明。特に「MITSUI OCEAN スクエア」はスイーツやコーヒーを楽しむカフェであり、本を読むラウンジであり、フロントデスクや観光ツアー予約といった機能も持っています。

「電源のコンセントもあり、仕事もしやすい。船内はスターリンクの wi-fi 設備も整っている。こういった多目的に使え、誰もが行くことができる場所は(クルーズ船には)ありそうでなかった。決して派手な空間ではなく、世界唯一というような謳い文句はつかないが、目的なしに誰でも集える場所は貴重だ。仕事や作業をしながら次の目的地へ移動できるということは、働く世代にも十分アピールできるポイントではないかと思う」(向井社長)

 現在、「MITSUI OCEAN FUJI」はバハマ船籍のため、クルーズのたびに海外の港へ寄港する必要がありますが、向井社長は「できるだけ早いタイミングで日本籍化したい」と話していました。

日本のクルーズ「群雄割拠」時代へ突入か

 商船三井クルーズは今後、「にっぽん丸」と「MITSUI OCEAN FUJI」の2隻体制で運航していくことになりますが、商船三井グループでは2027年以降に3万5000総トン級の新造船を2隻導入することを計画中です。

「まず2隻でしっかりと安全安心に、そしてお客様に喜んでいただけるようなクルーズを安定的に提供していきたい。新造船については、どれだけ私どもが評価いただけるか、たくさんのお客様に乗船していただけるかがポイントになるが、2隻で終わりということはない」

 向井社長はこう話し、より多くのクルーズ船を運航していくここと明言しました。「にっぽん丸」は年間2万5000人から3万人弱が乗船していることから、1隻当たり同水準の年間乗船者数を見込みます。

 2025年には日本郵船グループのLNG燃料クルーズ船「飛鳥III」が、2027年には両備ホールディングスのスモールラグジュアリー船が、そして2028年にはオリエンタルランドが発注した14万総トン級となるディズニークルーズの新造船が予定されています。「飛鳥II」と「にっぽん丸」の2大巨頭となっていた日本のクルーズ市場は、一転して群雄割拠の時代を迎える見込みです。

 向井社長が「国内外のさまざまなブランドがクルーズを提供していくことが、日本のお客様にとって、クルーズを身近なものにしていくきっかけとなる。マーケットが広がればクルーズ利用者は増えていく。当社はこれを好機ととらえている」と語るように、「MITSUI OCEAN FUJI」の船出は日本のクルーズ市場の活性化に向けた一つのポイントとなるでしょう。

【動画で!!】3万2000トンの「三井オーシャンフジ」の豪華すぎる船内を見る

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