JALの「約65年前のファーストクラス」が超ギラギラなのですが… 現代よりスゴいところも! でも実は「哲学」は今も共通!?
乗りものニュース / 2024年12月25日 16時12分
旅客機で最上級の座席区分「ファーストクラス」。国内で最も長い歴史を持つJAL(日本航空)では、1960年に就航した同社初のジェット旅客機、ダグラスDC-8にもこのクラスが導入されていました。約65年前にもあったジェット機としては初のJALのファーストクラスは、どのようなものだったのでしょうか。
最新機「A350-1000」もファースト搭載
旅客機で最上級の座席区分「ファーストクラス」は、年を追うごとに進化しています。同クラスにおいて日本で最も長い歴史を持つのは、JAL(日本航空)です。その歴史は古く、1960年に就航したJAL初のジェット旅客機、ダグラスDC-8「FUJI号」にもこのクラスが導入されていました。約65年前にもあった、ジェット機としては初のJALのファーストクラスは、どのようなものだったのでしょうか。
羽田空港のJAL格納庫の片隅には、JAL初のジェット旅客機であるダグラスDC-8「FUJI号」の実機の機首部分が保存されており、この室内に当時のファーストクラスの座席が設置されています。
このDC-8も、現在のJAL機と同じように「前方ファースト、後方エコノミー」のレイアウト。機体最前方には、DC-8の客室における最大の特徴「機内ラウンジ」があり、その後ろにファーストクラス、さらに後ろがツーリストクラス(現在のエコノミークラス)といった配置です。同型機におけるファーストクラスの座席は横2-2列、ツーリストクラス(現在のエコノミークラス)は横3-3列の配置でした。
そんなDC-8の客室上部を見ると、まず手荷物棚がとても小さいことに気づきます。イメージとしては、高速バスの棚と同じ程度。JAL最新鋭のファーストクラスを搭載し2024年に就航したエアバスA350-1000は、大型のスーツケースも入る収納棚があるので、この面でも大きな進化を遂げたことが分かります。
日本らし~いド派手な内装
ただDC-8で何より特徴的なのは、壁に飾られた扇に象徴される「和テイスト全開」な内装でしょう。座席は伝統的な老松紋があしらわれた西陣織のシートカバーで覆われ、光の当たり方次第では、かなり“ギラギラ”した席に見えることもあります。
一方で座席の形も丸みを帯びたものではなく、どちらかといえばソファーのようにどっしりと角張ったもので、その幅は現代の一般的なエコノミークラス席よりは広そうです。
もちろんこの頃の席はファーストクラスといえどもフルフラットにはできませんし、モニターもありませんが、現在と同じように読書灯が備わっています。おそらく機内では読書して時間を過ごす人が今よりはるかに多かったと考えられるので、実際の当時のフライトでは、現代よりもっと多くの席で明かりが灯っていたのかもしれません。
しかしDC-8のファーストクラスは、座席そのものこそ時代を感じさせますが、サービスは、現代からするとびっくりするようなものがあったそうです。
当時の資料によると、食事は非常に豪華で、ロブスターのような巨大エビのメニューなども振る舞われたそうです。インパクトの面では、現代のファーストクラスの食事を上回るかもしれません。そして時代を象徴するのが、なんといっても1席にひとつ備わる「灰皿」。当時飛行機は「たばこが吸える乗りもの」だったことが分かります。
※ ※ ※
DC-8の就航から60年以上たった2024年にJALが就航させた新たな国際線主力機A350-1000には、これまでのファーストクラスとは一線を画す設備が導入されました。横1-1-1列で計6席を配した同クラスの座席は、JALとしては初の扉を設けた個室型です。壁の高さは「他社より高い」約157cmのものを採用し、座席上の収納棚を設けないことで、開放感のある空間を実現しています。
座席のベースカラーは赤系統のもので統一が図られており、「ソファー」のほか、半分を座席に半分をベッドとする「シート&シングルベッド」、席をすべてベッドとして使う「ダブルベッド」の3モードが選択できます。「ダブルベッド」モードにした場合、その幅は約123cm、長さは最大約203cmにも及ぶ大型座席です。ここには、世界初のヘッドフォン不要のヘッドレスト内蔵スピーカーを導入。大型の4K機内モニター、USB充電やコンセントのほか、端末を置くだけで充電できるワイヤレス充電設備も有しています。
しかしシートこそDC-8とは大きく異なる仕様に進化したA350-1000ですが、共通点も存在します。それは「日本らしさ」です。A350-1000の新客室に打ち出されたコンセプトは「日本の伝統美」。JALが発行するウェブマガジン「OnTrip JAL」で、客室開発担当者は「日本の伝統的な織り柄やパターンを“忍ばせる”ようなデザインアプローチを心がけました」とコメントしています。この点においては、約65年たった今も、同社のなかで引き継がれているポイントかもしれません。
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