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首都圏に存在する「超短距離の高速バス路線」とは TDRへのウンザリ乗換よりコッチだわ!車両は2階建て

乗りものニュース / 2024年12月31日 9時42分

新宿~TDR線の2階建て車両(水野二千翔撮影)

新宿駅から東京ディズニーリゾートへのアクセスに便利な高速バスがあります。しかも使用されるのはダブルデッカー(二階建て)バス。東京駅での長~い乗り換えもなく、アトラクション気分で乗車できる路線の使い勝手をチェックしました。

副都心と東京ディズニーリゾートを直結

 東京ディズニーリゾート(TDR)へのアクセスには、JR京葉線の舞浜駅を利用するのが一般的です。しかし、利用者が多いので乗車中、満員で立ちっぱなしになる可能性があり、「インパ」する(入園する)前からくたくたになってしまいます。もし新宿駅を経由して東京ディズニーリゾートへ向かうなら、高速バスの利用がおすすめです。

 ジェイアールバス関東と京成バスが運行する新宿~TDR線はその名の通り、バスタ新宿から東京ディズニーシーと東京ディズニーランドを結びます。運行距離は約30kmにも満たない27.9kmで、かなりの短距離路線です。

 途中ノンストップで、所要時間は便によって異なり50~60分。バスタ新宿からは7時発が初便で、9時の開園時間前に到着したい人が利用できるダイヤとなっています。

 9時台までは1時間に3本が設定されるほか、10時台、11時台にも1本ずつが運行され、ゆっくりと入園したい人に向けたダイヤが組まれているのも特徴です。

 運賃は全区間共通で片道1000円。新宿~舞浜間のJRの運賃(406円/IC運賃)と比較すると2倍以上高額ですが、確実に座って現地まで向かえるため、体力を温存するにはもってこいといえるでしょう。乗り心地や、どんな人たちに利用されているのかをチェックするため、実際に乗車してみました。

 取材したのは2024年11月下旬の土曜日。8時30分過ぎにバスタ新宿へやってくると、構内には人だかりができていました。待合室の座席は空いているところを見つけるほうが難しく、併設されているコンビニ「デイリーヤマザキ」も身動きをとれないほどの混みようでした。

 TDR線は、待合室からバス駐車場を挟んでちょうど反対側のD12番乗り場から発車します。ジェイアールバス関東が担当する8時50分発のバスが入線してきましたが、やってきたのは「GranDream」のロゴがラッピングされているダブルデッカー(2階建て)タイプのスカニア製バス「アストロメガ(J-InterCity DD)」でした。

 鉄道では特急用の車両を有料の通勤ライナーなどに使用する「間合い運用」がありますが、それと同様に、この車両も夜行バス「グランドリーム号」や昼行バス「グラン昼特急号」で使用されるかたわら、TDR線にも投入されているというわけです。

 その後、9時10分発の便に乗車することにして、バスタ新宿の有人発券窓口で、座席が指定される乗車券を購入。自動券売機も利用できますが、交通系ICカードが使えない点は注意が必要です。

 改めて乗り場に戻ると9時10分発の便がすでに待機しており、こちらもジェイアールバス関東のアストロメガでした。ただし、「GranDream」のロゴは施されておらず、車内には1階、2階ともに4列シートが並びます。こちらはお手頃価格で乗車できる夜行バス「青春エコドリーム号」や昼行バス「青春昼特急号」で使用されるタイプでした。

 じつはジェイアールバス関東のアストロメガのデビュー路線は、夜行路線ではなく、このTDR線でした。輸入車であるため、まずは短距離路線で性能を見極めてから、長距離路線でも使用されるようになったのです。現在のところ、アストロメガはジェイアールバス関東が運行する便の一部で使用が続けられています。

利用者は「乗り換えが面倒なのでバスで来た」

 筆者は2階席の後方に座りました。1階席に利用者はなかったようです。2階席の乗客は若いカップルや男性4人組、お母さんと小さな男の子といった親子連れだけでなく、インバウンド観光客の姿も。最前席にはディズニーグッズで身を固め、キャラクターのぬいぐるみを窓の前に置いた熱心なファンが陣取っていました。

 発車直前には婦人4人連れが乗車し、70%以上の乗車率となった模様。あまり乗車していない様子だった1本前の8時50分発とは対照的でしたが、取材当日だけの事象のようで、運転手さんも「(平日・土休日の違いがあるとはいえ)どういうわけか同じ時間に出発する便でも日によって混雑具合が異なります」とのこと。乗車したい便があれば、少し早めにバスタ新宿に着いて乗車券を求めるのがいいかもしれません。

 バスタ新宿を出発したバスは、新宿入口から首都高速4号新宿線に入り、進路を東へ向けます。やがて左手にはJR中央線が並走し、右手には国立競技場が姿を現しました。三宅坂JCTから首都高速都心環状線に入ると、しばらくして左手には麻布台ヒルズ、そして東京タワーが見えてきます。ダブルデッカーの高い視点から東京都心の名所を見渡せるのはとても気持ちいいものです。

 バスは東京湾が見える浜崎橋JCTを通過。このあとは首都高速11号台場線に入り、レインボーブリッジを渡ります。車窓には晴海フラッグや東京スカイツリーも見えて、東京観光をすっかり楽しむことができました。

 首都高速湾岸線葛西出口で降りると渋滞に突入しましたが、ほどなく脱出。道路沿いにはヤシの木が植栽され、リゾートにやってきたように気分が高まります。そして最初の目的地・東京ディズニーシーに到着しました。ここで半分ほどの乗客が下車し、さらに5分ほど走行して終点の東京ディズニーランドにほぼ定刻通り到着。乗客はみな一様にワクワクした表情で入場口へと向かっていったのでした。

 乗車していた若い男性4人組は「電車で行けば早く着くけど、乗り換えが面倒なのでバスにした」とバスを選んだ理由を話しました。筆者も同感で、動く歩道が設置されるほど長い東京駅の京葉線ホームに至る連絡通路を歩くよりは、バスで快適に移動したほうが、入園したあとも楽しめるのではと感じます。

 なお、東京ディズニーシー・東京ディズニーランドからの帰りに利用できる便は16時台から設定されており、20時台、21時台は3本ずつ運行されます。帰りの便は自由席なので早めに乗り場に並ぶ必要がありますが、ゆったりと座って、楽しかった1日を振り返りながら帰ることができるでしょう。

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