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信号待ちで無意味に「ジワっと前に寄せる」ナゾ行為にモヤモヤ 「後続みんな動かなきゃじゃん!」 なぜするのか、交通心理士が一刀両断!

乗りものニュース / 2025年1月6日 8時12分

信号待ちなどの場面で、軽くモヤッとする「前のクルマのジワ寄せ」(筆者提供)。

信号待ちで前車のずいぶん手前に停車し、意味もなく「前に寄せる」ドライバー、たまに見かけます。後続車もそのせいで前に詰めさせられます。なぜそんなことをするのか。交通心理士の見解は、確かに“あるある”なものでした。

「信号待ち中のジワ寄せ」されると確かにイヤだわMT車だと

 信号待ちで前の車が停まりました。しかし、さらにその先の前との車間距離がスカスカです――それは別に良いのですが、その信号待ちのあいだに、スカスカの車間距離を無意味にジワッと寄せる人がいます。

 このせいで筆者のクルマ(マニュアル)も、改めてギアを入れ直し、ジワッと前に寄せなくてはならず、軽くモヤモヤするのです。しかし、ここはみんなが行き交う交通社会。「信号待ちの途中でジワ寄せ」する運転者の心にも寄ってあげないといけません。

 ここでは交通心理士で近畿大学物理工学部准教授の島崎 敢先生に、この場合の運転者の心理について聞いてみました。

その車間距離は「安全マージン」…ではなさそう?

 島崎先生はその心理状況の推測を「あくまでも1つの解釈」としながらも、そもそも、スカスカの車間距離は「安全マージンを大きく取った位置で停車しているのだろう」と言います。

「『信号待ちの途中でジワ寄せ』の行動の背景には、運転者の注意配分の問題が隠れている可能性があります。最初に『広めの車間距離をとって停止する』という行動は、安全のように考えられなくもないですが、実は『前方への注意が十分に向けられていない状態』で停止していることもあるかもしれません」(島崎先生)

 例えば、運転者がスマートフォンの操作など、運転以外の行為に注意を向けている場合、安全マージンを大きくとった位置で停止する可能性があるといいます。その後、前方への注意を取り戻した際に「『あ、かなり空いている』と気づき、車間距離を詰める行動に出るのではないでしょうか」とのこと。

前も、周りも見えていないのでは?

 島崎先生が言う「あくまでも1つの解釈」はおおいに納得できますが、一方で、そんなボンヤリした心理状態でハンドルを握る運転者の後ろにいることを思うと、なんだかヒヤッともします。

「『ジワ寄せ』の運転者にとっては、手前すぎる位置で停車するぶんには事故にならないので、そういう運転をしているのではないでしょうか。いずれにしても、前方に十分な注意を払えていない運転者は無意識のうちに、必要以上に手前での停止を選択している可能性がありそうです」(島崎先生)

 おそらく「ジワ寄せ」の運転者は無自覚であり、そして、仮にそれを追求する場面があれば「事故にならないんだからいいじゃん!」と反論されそうな気もします。

 最後に島崎先生は、「2つのアプローチで、運転者へのマナー向上を促すと良いのでは」と言います。

「運転における『マナー違反的な行動』への対応は、その行動が意図的なものか無意識的なものかによって異なるアプローチが必要です」

「意図的な行動に対しては、運転者教育などを通じて意識改革を行い、譲り合いの精神を育むことが重要です。一方、無意識的な行動については、まずその行動に気付いてもらうことが第一歩となります。正しい道路交通法の再教育や、自分の運転行動は周囲にどのように影響を与え、周囲からどのように見えているか、といったメタ認知的な理解が必要だと思います」(島崎先生)

 確かに「ジワ寄せ」は違反ではなく、直接事故につながる重大な危険性をはらんでいるとは言えません。

 しかし、運転マナーとしての周囲への配慮は少し欠けているように思い、そして仮に前述のようなボンヤリした心理状況なのだとしたら、これもまた恐ろしく思います。自分のため、周囲へのため、しっかりとした心持ちと注意をもってハンドルを握るべきだと改めて思いました。

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