「ビートルズ」「冴羽りょう」も惚れた!? 名車「ミニ」を愛した有名人たち 年末ドラマにも出るぞ!
乗りものニュース / 2024年12月26日 17時12分
イギリスの人気コメディ『Mr.ビーン』の主人公Mr.ビーンの愛車のレプリカ。『Do-it-yourself Mr.Bean』(日本版タイトル:年明けセール)に登場する屋根にソファを乗せたスタイルを再現(山崎 龍撮影)。
1959~2000年にかけて生産されたBMC「ミニ」は、長年にわたって多くの人々から愛され続けたイギリスの傑作小型車です。イギリス初のクラスレスカーとなったこのクルマの愛好家の中には意外な人物も多くいました。
革新的な設計で一躍注目の的に
イギリスを代表する小型乗用車「ミニ」は、長年にわたって多くの人々に愛され続ける傑作車です。その大きさから「庶民のクルマ」、大衆車というイメージが強いかもしれませんが、愛好家の中にはセレブリティも多くいました。今回はそんな「ミニ」の意外なオーナーたちを紹介します。
「ミニ」が誕生したのは今から60年以上前の1959年です。開発したのはブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)ですが、モデル途中でメーカー名が変わったため、最終的にはローバーの1車種として販売されていました。そのため、ローバー「ミニ」の名称で馴染みのある人も多いでしょう。
同車が画期的だったのは、直列4気筒エンジンを横置きし、その下にギアボックスを配した“2階建て”構造にしてFWD(前輪駆動)レイアウトを採用した点でしょう。このような設計により、全長3m弱の小さなクルマでありながら大人4人が乗車可能な車内スペースを確保していました。
さらに軽量・コンパクトな設計を追求したことで、使い勝手の良さや経済性といった実用面だけでなく、高い運動性と優れたハンドリング性能を兼ね備え、運転が楽しめる小型大衆車であったことから、母国イギリスはもとより世界中の人々から熱い支持を集めたのです。
また、「ミニ」の特徴や革新性は設計や合理的なメカニズムだけではありません。特筆すべきはこのクルマが階級社会のイギリスで生まれたのにもかかわらず、地主や貴族などの上流階級から資本家や専門職などの中産階級、そして労働者階級まで、社会身分を問わず誰もが等しく乗れるクラスレスカーとしての成り立ちを持っていた点にあります。
「女王からメイドまで」庶民だけでなくセレブにも愛される
今でこそ、イギリスにおいても徐々に階級間の経済格差などは縮小しつつあるようですが、それでも各々の所属階級に応じて文化、職業、生活スタイルなどの違いは依然としてあります。もちろん、その格差は所有するクルマにも表れており、上流階級はロールスロイス、中産階級はジャガー、労働者階級はフォードやヴォルクスホール(ボクスホール)というように異なります。
ところが、BMC「ミニ」はこうした階級の垣根を越えて、すべてのイギリス国民に受け入れられたのです。これは前例のないことであり、伝統的なイギリス社会ではエポックメイキングな出来事でした。
最初に「ミニ」を買い求めたのは、このクルマの合理性と革新性を高く評価した上流階級やインテリ層でした。デビュー間もない頃の「ミニ」は、風変わりなデザインから販売の滑り出しは芳しいものではありませんでしたが、安価なコンパクトカーでありながら上流階級の人々が混雑したロンドン市内で乗るためのセカンドカーとして買い求めたことから注目を集め、やがてはクルマとして正当に評価されるようになったことで、徐々に中産階級や労働者階級にも普及していったのです。
こうした経緯からBMC「ミニ」は、庶民だけでなく世界のセレブリティにも愛されることになります。そのような「ミニ」を愛したセレブリティの中でも、もっとも社会的な地位が高いオーナーが故・エリザベス2世女王でしょう。女王は公務ではロールスロイスやディムラー(ダイムラー)を使っていましたが、プライベートで自らハンドルを握るときには、運転のしやすさから長らくBMC製のオースチン「ミニ」を愛用していたそうです。
日本の有名人にも「ミニ」のファンは多い
また、世界的ロックバンド『ビートルズ』のメンバーも、「ミニ」を愛用したセレブリティとして挙げられます。彼ら4人は「ハロルド・ラドフォード」が手掛けたスペシャル仕様の「ミニ」にそれぞれ乗っていました。
同じく芸能の分野で成功した著名人の中では、ミュージシャンのデヴィッド・ボウイやエリック・クラプトン、モデルのツイッギーもオーナーでした。
ファッションデザイナーのポール・スミスも「ミニ」愛好家として知られていますが、彼は所有するだけでは飽き足らず、1998年にはローバーとのコラボレーションにより世界限定1500台の「ポールスミス・ミニ」を手掛けています。
日本に目を転じてもBMC「ミニ」のファンは数多く存在します。日本では、空前の好景気に沸いた、いわゆる「バブル景気」の頃に人気に火がつき、1990年代には年間2万台以上をコンスタントに販売していました。
独自の個性と存在感、愛くるしいデザインを持つ「ミニ」は、日本の著名人にもファンが多く、タレントの岩城滉一さんやつるの剛士さん、お笑い芸人の石塚英彦さんや岡村隆史さん、落語家の春風亭昇太さん、シンガソングライターの森山良子さんが愛好家として知られています。
また、映画やドラマ、アニメの世界でもBMC「ミニ」を愛用するキャラクターは数多く存在します。代表的なところでは、漫画・アニメ『シティーハンター』の冴羽りょう(りょうは「けものへん」に「尞」)、アニメ『ルパン三世』の峰不二子、イギリスの人気コメディ『Mr.ビーン』の主人公Mr.ビーン(演じるローワン・アトキンソンも「ミニ」のオーナー)が挙げられます。
最近では、漫画原作の人気ドラマ『孤独のグルメ』の主人公、井之頭五郎も愛車としてハンドルを握っています。2024年12月末にテレビ東京系で放映予定の『孤独のグルメ 大晦日スペシャル』でも黒いBMC「ミニ」の登場が告知されているので、「ミニ」に乗る井之頭五郎(演じるのは松重 豊さん)を楽しめそうです。
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