「3社直通のロングラン特急」に乗ってみた 最新鋭車両で紀伊半島を半周!車内には「ミニ美術館」も
乗りものニュース / 2025年1月2日 7時12分
名古屋駅と紀伊勝浦駅を結ぶ特急「南紀」は、2023年7月に新型車両であるHC85系が投入され、車両が刷新されました。
快適性が向上した特急「南紀」
名古屋駅と紀伊勝浦駅を結ぶ特急「南紀」は、長大なローカル線ともいえる紀勢本線を走ります。長らくキハ85系が活躍してきた列車ですが、2023年7月に新型車両であるHC85系が投入され、車両が刷新されました。この新型車両は、車内に「ミニ美術館」まである意欲作。どれほど快適性が向上したのか実際に乗って確かめてきました。
特急「南紀」は現在、名古屋~紀伊勝浦間3往復、名古屋~新宮間1往復の計4往復が運行。名古屋~紀伊勝浦間を乗り通した場合、約4時間を要する乗りごたえのある列車です。一部区間では第三セクターの伊勢鉄道を経由し、JR西日本管内の紀勢本線(新宮~紀伊勝浦)も走るため、JR東海と伊勢鉄道、JR西日本の3社にまたがって走行する珍しい在来線特急となっています。
HC85系は、ハイブリッド方式の鉄道車両では国内初の120km/h運転を実現した特急形気動車です。電気モーターを駆動させるハイブリッド方式のため、ディーゼルエンジンで走る先代のキハ85系と比べて静粛性が高く、快適性が向上しました。HC85系は高山本線の特急「ひだ」にも投入されていますが、「南紀」は「ひだ」と違ってグリーン車の設定がなく、全車単一クラスとなっていることが相違点です。
今回、名古屋駅を8時2分に発車する「南紀1号」に新宮駅まで乗車してみました。通常は2両編成ですが、この日は4両に増結。車内に入るとまず、鮮やかなオレンジ色の座席が目につきます。この色彩は、特急「ひだ」が走る高山線沿線の紅葉や祭り、花火をイメージしたものだといいます。
座席は柔らかすぎず、硬すぎない絶妙な座り心地です。先代のキハ85系はかなり柔らかめの座り心地でしたが、HC85系の座席はしっかりと体にフィットし、快適性が上がっています。現代の特急車両では必須の設備となっているコンセントは、肘掛けの内部にあり、使いやすい位置です。窓も大きく、かつて「ワイドビュー」の愛称でも知られていたキハ85系譲りの眺望が楽しめます。
「南紀」は世界遺産である熊野古道へのアクセスも担っています。平日ということもあり、車内はやや空席が目立ちましたが、熊野古道を目指すとおぼしきシニア層や外国人観光客の姿もみられました。
名古屋を出ると、しばらくは市街地を走り、木曽川や長良川、揖斐川などの鉄橋を次々に渡っていきます。化学コンビナートが見えてきたら四日市に到着。この先は伊勢鉄道に入り、高架駅の鈴鹿にも停車します。鳥羽方面へ向かう参宮線との分岐駅である多気を過ぎると、車窓は山深くなってきます。
目まぐるしく変化する車窓
トイレへ向かうために車両を移動すると、車端部デッキには沿線の伝統工芸品を展示しているスペース「ナノミュージアム」がありました。鈴鹿市の伊勢型紙が展示されており、沿線の伝統文化を車内で楽しむことができるという点が、HC85系の大きな特徴となっています。
1両あたりエンジン2台の出力で走行していた先代のキハ85系に対し、HC85系はエンジン1台の電力と主蓄電池の電力で同等の走行性能を実現しています。減速時にモーターを発電機として利用し、蓄電池に充電。発電機や蓄電池からの電力をもとに、電車と同様の主変換装置でモーターを駆動する方式となっています。
車内に設けられた液晶には、減速時に「バッテリー充電中」、加速時に「バッテリーアシスト中」などの表示が出るため、チェックしてみるのも面白いでしょう。
梅ケ谷~紀伊長島間の荷坂峠は、車窓の見どころの一つ。山中をどんどん下っていき、この区間では案内放送も流れました。紀伊長島駅を出ると熊野灘が見え始め、リアス式海岸が続きます。山から海へ、急に車窓が変化していくことが特急「南紀」の特徴です。
熊野市の手前にある新鹿(あたしか)付近では美しい砂浜を望むことができました。三木里(みきさと)~新鹿間は、紀勢本線では最後に開通した「難所」。平地がほとんどなく、漁港をトンネル主体でつないでいくルートとなり、工期が長くなりました。
熊野市以降は熊野灘を望みながら走ります。名古屋発の列車では、進行方向左側(海側)の座席の景色が良くおすすめですが、午前中の列車だと日差しが入ってきて眩しいほどかもしれません。
列車は熊野川を渡って和歌山県に入り、JR西日本との境界駅となる新宮に到着。約3時間半の長時間乗車も、車窓が目まぐるしく変化することもあり、あっという間でした。座席が非常に快適だったこともあり、疲れは感じませんでした。なお、列車はここから先のJR西日本管内、紀伊勝浦まではワンマン運転となります。
新宮駅は、駅からは徒歩圏に熊野速玉大社があります。また、秦の始皇帝の命で、不老不死の薬を求めて熊野にやってきたと伝わる徐福を記念した公園も駅からほど近い場所にあり、訪れてみるのも良いでしょう。
かつて「南紀」で活躍していたキハ85系は名車として親しまれましたが、後継のHC85系は先代の良い部分を受け継ぎつつ、時代に合わせて進化したことが感じられました。
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