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国内初の「完全個室フェリー」に乗ってみた! 8時間の中距離航路はどれだけ豪華なの!?

乗りものニュース / 2024年12月28日 9時42分

オレンジフェリーが大阪南港~東予港間で運航する「おれんじえひめ」(安藤昌季撮影)。

大阪と愛媛を8時間で結ぶ、四国オレンジフェリーの関西航路。約240kmという距離ながら、設備は長距離フェリーにも劣らない完全個室化も実現した航路です。

コンセプトは「動く海上ホテル」その名の通り!?

 四国開発フェリー、愛称「オレンジフェリー」は、関西~四国航路と四国~九州航路を運航しています。このうち関西航路の大阪南港~東予港(愛媛)で運航される「おれんじえひめ」「おれんじおおさか」は、国内初フェリーとして初の「全室個室化」を実現した船です。

 オレンジフェリーの関西航路は、1972(昭和47)年に運航を開始。当初は3000総トン程度の中型客船でしたが次第に大型化し、1994(平成6)年の「おれんじ7」で総トン数9917トン、展望浴室の付いた特別室や、展望室「スカイラウンジ」、充実したレストランなど、長距離フェリーにも劣らぬ豪華仕様となりました。

 そして現行船の「おれんじえひめ」「おれんじおおさか」は2018(平成30)年に就役。それまでの豪華仕様を踏襲し、「動く海上ホテル」をコンセプトに設計されました。1万4749~1万4759総トン、全長199.9m、全幅27.5m、航海速力19ノット(約35.2km/h)とさらに大型化し、前出の通り全室個室化を実現しました。約240km、所要8時間の航路としては充実した船型です。

 筆者(安藤昌季:乗りものライター)は2024年11月、東予港より「おれんじえひめ」に乗船しました。JR予讃線の松山駅や壬生川駅から連絡バスが運行され、利便性が高い航路です。

 船内において特筆すべきは、1人用個室が充実していること。基本となる「シングル」は、床面積3.45平方メートル、寝台幅は長さ210cm、幅85cmです。コンセントやデスク、椅子、鏡、スリッパも備わります。女性専用ルーム、ドライバーズルーム、壁が可動式のコネクティングルームとなったバリアフリー型や「シングル+」もあります。「シングル+」は寝台幅は80cmですが、2段寝台で2人利用が可能です。

 その上位設備が、1人用で最も人気といわれる「デラックスシングル」です。床面積8.9平方メートルは「シングル」の倍以上。寝台は長さ210cm、幅100cmとゆったりしています。「シングル」と異なり、洗面台、アメニティグッズ、浴衣、テレビ、クローゼット、加湿器(季節による)、側窓が備わります。内鍵だけの「シングル」に対して外から鍵がかけられるのも利点でしょう。

最上級設備「ロイヤル」とは

 料金は「シングル」の8200~9700円に対し、「デラックスシングル」が1万~1万1900円ですから、人気は当然です。「デラックスシングル」には「バリアフリールーム」「ウィズペットルーム」もあり、「シングル」系個室だけで8種類のバリエーションがあるわけです。

 2人用個室はリーズナブルな「スイート」と、最上級設備の「ロイヤル」です。

「スイート」も種類がたくさんあり、洋室と和洋室の定員は2人です。約17平方メートルの床面積に、長さ210cm、幅100cmの寝台が平行に2つ備わり、応接スペースがある構造は同じですが、応接部分にソファがあるのが洋室、琉球畳と椅子があるのが和洋室です。筆者の同行者は和洋室に泊まりましたが「靴が脱げてくつろげる。寝台の寝心地もよかった」とのこと。

 定員4人の和室もあります。こちらは琉球畳の部屋に布団を敷くタイプで、マットサイズは長さ198cm、幅100cmです。4人でなければ予約できません。料金は1人あたり1万2700~1万5100円です。

「スイート洋室」には「バリアフリールーム」「ウィズペットルーム」もあります。付帯設備は「デラックスシングル」と同じです。

 そして最上級設備が「ロイヤル」です。「ツインルーム」「ダブルルーム」があり、「ツインルーム」が5階、「ダブルルーム」が4階と階層が異なります。

「ツインルーム」は床面積51.7平方メートルと、船内最大。浴室があり、バスタオル、浴衣、ヘアドライヤー、アメニティグッズも備わります。寝室と応接スペースが分けられ、テレビ(寝室と応接室)、ソファ、スリッパ、クローゼットがあります。冷蔵庫もあるのは便利です。

 筆者は「ロイヤル」の「ダブルルーム」に宿泊しました。床面積は34.8平方メートルと「ツインルーム」より狭いものの、設備は同等。もっとも、同行者含めて4人で利用してもスペースには余裕がありました。寝台が幅160cmのダブルベッドで、早朝のみ前面展望が楽しめます。造花も飾られ、インテリアも高級感にあふれています。

 運賃は1人1万7800~2万1200円と、フェリーの最上級船室としては安価で、非常に高い予約率だとオレンジフェリーが話すのも頷けました。

客室以外もスゴイのよ!

 続いてパブリックスペースへ。6階には展望スカイラウンジがあります。5階には大きな絵が飾られていますが、これは建造中に画家が描いたもので、大迫力です。そのほかゲームコーナーやマッサージチェア、上級設備客専用のフォワードラウンジ、ペットルームもあります。4階には「キッズルーム」や授乳室、4階と5階の双方に飲料自販機コーナーがあります。

 5階の展望浴場は、銭湯のような大浴場と個別シャワーの組み合わせです。外に、シャワールームの利用状況を示すパネルが設置されています。

 船内見学を終えると20時、乗船開始の時刻でした。船は22時の出航予定で、4階のレストランは営業していました。レストランは一般区画、ドライバー区画、団体区画の3つに分けられており、料理にはラップが張られていました。電子レンジもあり、温めなおしも可能です。メニューが豊富だったので、4人で様々な料理を堪能しました。

「おれんじえひめ」には売店がありませんが、レストラン内で土産物を販売しています。朝食は和食が予約制で、エントランスで予約します。東予港発は5時30分~7時30分が、大阪南港発は5時30分~7時が朝食営業時間です(ラストオーダーは営業終了30分前)。

 乗船したのは日曜日でしたが、クルーに尋ねると、旅客定員519人に対し6割程度が乗船しているとのこと。大阪南港発も東予港発も、利用に偏りはないそうです。

 瀬戸内海はほとんど揺れず、エンジン音も小さいため、快適な船旅でした。翌朝6時、大阪南港に到着。船内には8時まで留まれたので、筆者は到着後にカーテンを開け、大阪港の風景を楽しみました。

 大阪南港は大阪メトロ南港ポートタウン線のフェリーターミナル駅と隣接しています。ユニバーサルスタジオジャパンへの連絡バスも運行されており、利便性は高いです。

 筆者はオレンジフェリーの利用は、先代の「おれんじ8」への乗船以来でしたが、高いサービスレベルを継承していると感じました。

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