「なんじゃこりゃ!?」な奇抜車がどうして“40年ベストセラー”に? ホンダの「ザ・配達バイク」のスゴさを今こそ称えたい!
乗りものニュース / 2025年1月5日 18時12分
宅配バイクとして不動の地位を誇るホンダ「ジャイロ」シリーズ。当初は斬新な「新感覚の乗りもの」とうたわれた、ある意味キワモノ的存在でしたが、ビジネスに欠かすことのできない乗りものとして40年以上支持されることとなりました。
配達バイクの定番「ジャイロ」は1980年代の産物
1980年初頭に起きたホンダ、ヤマハの熾烈なシェア争い、いわゆる「HY戦争」最中の1982年、ホンダが斬新な原付バイクをリリースしました。その名は「ジャイロX」。レゴのようなカクカクしたボディと、フロント1輪・リア2輪という斬新なスリーターモデルで、当時のホンダは「新感覚の乗りもの」と謳いました。
「ジャイロ(GYRO)」とは本来、羅針儀を示すワードですが、ホンダではこの頭文字をとって「G=グレート(偉大な)」「Y=ユアーズ(あなたのもの)」「R=レクレーショナル(娯楽の)」「O=オリジナル(独特の)」といった意味を持たせ、「仕事からレジャーまで優れた多目的性を持つ独特の乗りもの」と位置付けました。
正直、やや難しくも思えるコンセプトですが、しかし、実際のジャイロXは、このコンセプトの通り、その機能性・実用性を証明し、さまざまなバイクユーザーに支持されるようになりました。
コーナリング時には、フロントボディが左右にスイングし、リアの2輪部分は、比較的安定感を保つという独特の乗り味であり、特にぬかるみや雪道などの悪路でもスリップしない特徴がありました。
このバイクなしでは成り立たなかった店もある?
また、積載性にも優れており、後には商用車として幅広い場面で採用され、初登場以来、複数回のマイナーチェンジ、フルモデルチェンジを図りつつ今日まで42年間以上にわたり販売される、ホンダの名車の一つにもなりました。
ジャイロXが配達シーンで絶大な支持を受けたことから、1985年には派生モデル「ジャイロUP」をリリース。走行性能よりも積載性と安定感を優先させたモデルで、こちらも2008年までの23年間にわたって生産されました。
さらにジャイロUPと並行して、1990年には屋根を搭載した「ジャイロキャノピー」も登場。都市交通環境の変化や、ライフスタイルの変化に伴って宅配・巡回などのビジネスが増えることを見越して開発されたモデルです。
ジャイロキャノピーは屋根付きで天候に左右されずに移動できる利便性がありました。また、荷室の大きなワゴンタイプが存在し、これは宅配ピザチェーンのデリバリー車として多く採用。ドミノ・ピザの日本の本社には、このジャイロキャノピーが展示されており、同社が「ブランドの立役者」として考えていることがよくわかります。
ジャイロUPが2008年に生産終了になって以降も、ジャイロキャノピーは今日まで生産され続け、今日もなお、宅配・巡回などのビジネスに欠かせないモデルとして活躍中です。
電動ジャイロも一般へ
主にここまでが、ガソリン車におけるジャイロXおよびジャイロシリーズとも言うべきジャイロUP、ジャイロキャノピーの変遷ですが、さらに2021年には、この機能性を電動バイクに継承したジャイロe:、ジャイロキャノピーe:が登場。
当初はバッテリー充電・リサイクルなどの観点から法人企業向けの販売だったものの、2023年よりバッテリー回収を実施するホンダの電動バイク取り扱いショップで、一般ユーザー向けの販売も始まりました。
他方、特にジャイロXの42年間の歴史の間では、カスタムベース車としても支持が高まり、専門ショップや社外パーツも登場。
特に「角ばっていた」初期モデルをベースに、アメリカンスタイルのカスタム事例が多く登場し、この影響から古い年式のモデルでも「値崩れしない」傾向があるのもまたジャイロXの特徴のように思います。
ジャイロX開発時、今日まで続く「実用ニーズ」「カスタムニーズ」を強く意識していたかどうかはわかりません。ただし、世にあまたあるバイクの中でも、ユーザーが「ビジネスに欠かせないバイク」「他にはないカスタムができるバイク」としてその価値を高めていったという稀有な例が、ジャイロXおよびジャイロシリーズの特徴でもあるように思います。
1982年の登場時は斬新で、超個性的な面ばかりに気を取られるユーザーが多かった一方で、実はその斬新性を遥かに超える、優れた機能性・実用性を隠し持っていたのがジャイロXだったように感じます。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
5速MT搭載! ダイハツの斬新「タフ仕様軽トラ」が欲しい! 全長3.4m“カクカク”デザイン×「300mm超え地上高」確保! アウトドア普及で今欲しい「マッドマスターC」とは
くるまのニュース / 2024年12月31日 13時10分
-
「2024年に話題になったバイク」3選 50ccのスーパーカブに注文殺到! 50代ライダーに刺さったモデルも
Fav-Log by ITmedia / 2024年12月28日 18時5分
-
ホンダ製「水平対向エンジン」搭載したモデルが凄い! 「スポーティー×軽量ボディ」の2シーター仕様! 約350万円の“超豪華”フラッグシップバイク「ゴールドウイング」とは!
くるまのニュース / 2024年12月9日 16時10分
-
ホンダが斬新「“6輪”軽バン」を提案! “全長5m”で積載力すごい「軽トレーラー」は趣味にも最高! もはや「運べる部屋」なアクティ・コンポとは!
くるまのニュース / 2024年12月9日 6時40分
-
ホンダ「充電待ちゼロ」の斬新「軽バン」がスゴイ! 「画期的なシステム」搭載&大開口スライドドア採用! カクカクデザインの「MEV-VAN」とは?
くるまのニュース / 2024年12月8日 17時10分
ランキング
-
1「湾岸タワマン生活」強制終了…世帯年収1,200万円・人生を満喫する「子のいない30代パワーカップル」、余裕のローン返済のはずが急転直下のワケ【FPが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月6日 10時45分
-
2なぜJALはパイロットの飲酒問題を繰り返すのか 意識改革ならず、再発防止策はまた機能せず
東洋経済オンライン / 2025年1月7日 7時30分
-
3日本製鉄、USスチールの買収巡り提訴…バイデン大統領の「禁止命令」の無効求める
読売新聞 / 2025年1月6日 21時21分
-
4「出世コースから外れた」人でも50代で輝ける理由 言い訳や昔話はやめて、すぐに始めたい心がけ
東洋経済オンライン / 2025年1月7日 8時20分
-
5とにかく服のシミが取れる「スポッとる」が累計80万個以上のヒット 小売店から門前払い、「3000個の全返品」乗り越えた過去
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月4日 8時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください