「0系新幹線」を超えた!? 長~く製造され続けた車両形式5選 見た目変わんないじゃん!!
乗りものニュース / 2024年12月30日 7時12分
鉄道車両には、長年にわたって同一形式のままで製造されているものがあります。0系新幹線などの歴史的名車もありますが、中には意外な車両も。それぞれエピソードのある車両たちを紹介していきます。
西日本と九州でわずかに見られる国鉄型103系
初代新幹線の0系電車は、22年間も同一形式で製造された車両です。このように数十年にわたり製造された車両には、どういったものがあるのでしょうか。5車種を選んでみました。
■国鉄103系電車(1963年3月~1984年1月製造/20年10か月)
長期間といえば国鉄が製造した通勤形電車103系です。国鉄初の新性能通勤形電車101系は、高性能でしたが、電動車が多くて電力消費量と製造コストの両面で問題がありました。103系は電動車率を下げ、低コストで大量生産できる電車として登場したのです。
片側4扉、扉間7人掛け、車端部3人掛けのロングシートの室内構成は101系と同じですが、常用の減速度が3.0km/h/sだった101系から、3.5km/h/s(常用)~5.0km/h/s(非常)と強化されています。これは、ブレーキの減速度を高めることで運転間隔を詰めようという考えによるものでした。
103系は1963(昭和38)年から製造され始め、計3447両が製造されました。1966(昭和41)年にはより高性能でアルミ車体の地下鉄用電車301系が登場しましたが、コスト高が問題となり、地下鉄仕様とした103系1200番台が増備されています。
最も後発なのは1982(昭和57)年に製造された、九州の筑肥線用103系1500番台です。筑肥線は福岡市地下鉄へ乗り入れるため、地下鉄用省エネ電車203系を導入したいところでしたが、駅間距離が長く列車密度が低い筑肥線では省エネ性能を発揮できないため、製造コストが安い従来の103系が1984(昭和59)年まで製造されたのです。
なお、103系は2024年現在、加古川線、播但線、筑肥線で最後の活躍を見せており、筑肥線の1500番台には本系列で唯一のトイレが追加設置されています。
もはや新形式 でもずっと1000形
■京急電鉄1000形電車2代目(2002年2月~2023年11月製造/21年9か月)
京急電鉄の1000形(2代目)も20年以上製造されています。旧1000形、700形電車の置き換え用として、快特用である2100形電車をベースに設計されました。なお19年間製造された初代1000形と同時期に在籍したため、当初は新1000形とも呼ばれていました。
長期間製造されただけあり、仕様はかなり変化しています。例えば座席ですが、1次車はロングシート+車端部のボックスシートで登場しています。これは5次車まで採用されました。6~15次車はオールロングシートに。16次車で車端部の片側だけボックスシートが復活し、コンセントも設置されました。
そして「Le Ciel」の愛称がついた20・21次車では、ロングシートをクロスシートに変換できるデュアルシートを採用し、洋式トイレと男性用小便器も設置。運転席後ろの座席もクロスシートとなって「展望席」となりました。正直ほぼ別の車両といえます。
車体も1~5次車はアルミ製で塗装車体。それ以降はステンレスで、一部がシール貼りでしたが、15・16次車は車体全体のシールとなりました。そして17次車より全面塗装され、京急らしさが感じられます。
なお、前頭部は当初左右非対称で、20・21次車では中央貫通路となりましたが、22次車で再び左右非対称になるなど、こちらも細かく違います。
■国鉄0系新幹線(1964~1986年製造/22年間)
0系新幹線は、1964(昭和39)年の東京オリンピックにあわせ登場。最高速度210km/hは当時の世界最高速度であり、世界初の高速専用鉄道でもある東海道新幹線に投入されました。
1次車は、一部が試作車両1000形C編成を改番したものでした。そして1986(昭和63)年製造の38次車まで、計3216両が製造され、初期の0系は新造した0系で置き換えられたほどでした。
石勝線と根室本線にも進出したキハ261系
大きな変化としては、1974(昭和49)年より「ひかり」全編成に食堂車が連結されたこと、1976(昭和51)年より、普通車の側窓が小窓化された1000番台となったこと、1981(昭和56)年より、普通車の座席が転換式クロスシートからリクライニングシートに変更され2000番台となったことです。このリクライニングシートは、3人掛け座席は向きが変えられず、半数が進行方向と逆向きでした。
0系は2008(平成20)年に引退しましたが、現在でも鉄道博物館、リニア・鉄道館、京都鉄道博物館のほか、イギリスや台湾など、各地に保存車両が残されています。
■JR北海道キハ261系気動車(1998~2022年製造/24年間)
それまでの振り子式気動車を、空気ばね台車による車体傾斜に変更してコストダウンを図ったのが、JR北海道の特急形キハ261系です。0番台は1998(平成10)年に登場し、宗谷本線のスピードアップに貢献しました。
2006(平成18)年には、石勝線と根室本線の特急で使われていたキハ183系気動車を置き換えるために、キハ261系が1000番台として増備されます。これは789系電車を基本としましたが、0番台との併結は考慮しておらず、実質新形式です。接客設備も、0番台で半室だったグリーン車が車両全体に拡大し、普通車も789系1000番台と同じ新型座席に変更されています。
そして2009(平成21)年の3次車より、普通車指定席がグレードアップ座席に変更されました(その後、1~4次車も全座席がグレードアップ座席に変更)。2015(平成27)年の6次車からは、車体が新塗装となります。
2018(平成30)年からの7次車ではさらに新型の座席となり、大型荷物置き場が拡大されるなど改良が加えられました。2020年にはリゾート車両として5000番台も登場し、「はまなす(ラベンダー)ラウンジ」と呼ばれるフリースペースも登場しています。
なんと四半世紀 遠鉄2000形
■遠州鉄道2000形電車(1999~2024年/25年間)
静岡県浜松市を南北に結ぶ遠州鉄道の2000形(けい)は、四半世紀ものあいだ同一形式で製造が続いています。「人に地球に優しい21世紀の電車」として1999(平成11)年より製造が始まりましたが、2000形は1000形電車のマイナーチェンジ車両なので、1983(昭和58)年から、このデザインの鉄道車両が投入されていることになります。
やや傾斜した前頭部が特徴的な3扉ロングシート車両で、9編成18両が在籍します。スパニッシュレッドに白い斜めストライプ塗装を基本とし、広告車両も存在します。
最初の2001号と最新の2009号を比較しても、見た目に大きな変化がないことも特筆すべき点です。強いていうなら、2002号からは運転席がワンハンドルマスコンとなって、ドアチャイムが設置されています。2004号からは、ロングシート9席を3分割するスタンションポールを採用。2005号からは、乗降扉付近の床が黄色の塗装となり、軸梁式台車を採用して乗り心地を改善しています。
2006号からは多言語化に対応した2画面液晶モニターが設置されました。2021年製の2008号からは、遠州鉄道初となるLED行先表示幕を採用。そして最新2009号で、前照灯が初めてLEDとなりました。
以上、筆者(安藤昌季:乗りものライター)が把握している「長期間製造車両」を挙げてみました。車両によってはさらなる記録更新もあり得、今後が楽しみです。
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