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万博や合併だけじゃない 2025年の鉄道は何が起こる? 今までの“当たり前”が変わる「昭和100年」

乗りものニュース / 2025年1月1日 7時12分

大阪メトロ中央線の400系電車(画像:PIXTA)。

2025年の鉄道は、大阪メトロ中央線の夢洲延伸やJR西日本の「エキスポライナー」といった万博輸送が控えていますが、他にも春には大小さまざまな「当たり前」が変化。また、事件、事故、災害の節目の年でもあります。

新駅開業と増発で万博輸送に対応

 2025年は「昭和100年」にあたる年です。現代的な鉄道サービスの原型は、昭和初期から日本の発展・拡大とともに形作られました。本格的な人口減少社会を迎える中、これからの100年は日本にとって、鉄道にとって全く新しい時代になるでしょう。

 今年の大きなトピックスといえば、4月13日から10月13日まで、大阪湾の埋立地夢洲で開催される「大阪・関西万博」です。会場のメインアクセス路線となる大阪メトロ中央線は、1月19日にコスモスクエア~夢洲間3.2kmを延伸開業、あわせて平日に上下16本を増発します。

 中央線では3月中旬から7月の平日、森ノ宮~夢洲間に弁天町のみ停車の「子ども専用列車」、長田~夢洲間に各駅停車の「子ども優先車両」を設定し、森ノ宮発9時30分頃から5分間隔の一般列車の合間に優先列車と専用列車を交互に運転します。

 もう一つのアクセスルートであるJR西日本ゆめ咲線でも、1985(昭和60)年「つくば万博」以来となる「エキスポライナー」の名称で、新大阪~桜島間の直通列車が運行されます。新大阪発上り列車は7時32分から19時39分まで計14本、桜島発下り列車は11時15分から22時15分まで計12本の運行です。

 エキスポライナーは、大阪環状線で用いられる323系の両先頭車に全面LEDパネルを設置し、AR(拡張現実)で車内空間を演出する「JR WEST Parade Train」が用いられます。前売り券の販売不振が伝えられる万博ですが、10月の閉幕時にはどのようになっているでしょうか。

 鉄道サービスに目を向けると今年の春は、大小さまざまな「当たり前」が変化します。3月15日のダイヤ改正では、JR中央線快速への2階建てグリーン車2両の増結が完了し、普通列車グリーン車サービスが開始します。

 また、東海道・山陽新幹線の「のぞみ」は2003年以降、1~3号車が自由席でしたが、指定席需要の高まりを受けて3号車を指定席に変更します。JR東海は何度でも予約変更可能なネット予約&チケットレスサービス「スマートEX」を拡大中ですが、フレキシブルな自由席利用をどの程度代替できるのか注目です。

準大手2社が消滅 JR東は大プロジェクトが一区切り

 運転業務省力化の切り札であるワンマン運転の導入が加速します。JR東日本はローカル線に加え、近年は大都市近郊の4~5両編成をワンマン化してきましたが、同ダイヤ改正でついに、10両編成の常磐線各駅停車、6両編成の南武線をワンマン化します。

 同社は2026年春に横浜線、根岸線、2030年までに山手線、京浜東北線、中央・総武線各駅停車、埼京・川越線をワンマン化する計画で、今回の2路線は試金石となりそうです。

 私鉄でも京王電鉄がワンマン運転導入に向けた自動運転の実証実験を2025年春から開始すると発表しており、関西では京阪電鉄が2025年秋に京阪本線・中之島線一部区間のワンマン化を検討中です。このほか、東武鉄道は2025年度末に北千住~北越谷間(緩行線)をワンマン化する予定で、今年はさまざまな準備が進むことになりそうです。

 また、4月1日に、京成電鉄と新京成電鉄、南海電鉄と泉北高速鉄道が合併し、2つの準大手私鉄が消滅します。新京成電鉄改め京成松戸線は合併後も独立した運賃体系が維持されますが、南海泉北線は南海の運賃体系に組み込まれるため、南海・泉北を相互間利用する際の初乗り運賃が一度で済むようになり、値下げになります。

 今年も運賃値上げラッシュが続きます。1月19日に神戸高速鉄道・阪神電気鉄道、神戸電鉄、山陽電気鉄道、2月1日に広島電鉄、4月1日にJR九州、JR北海道、道南いさりび鉄道が運賃改定を実施。京阪電鉄は10月の運賃改定を申請中です。

 この他、JR東日本の社運を賭けた大プロジェクト「高輪ゲートウェイシティ」が3月27日にまちびらきします。今回開業するのは高輪ゲートウェイ駅直結のツインタワー「THE LINKPILLAR 1」のみで、残りの街区は2026年春開業予定です。

 北陸新幹線や宇都宮ライトレールなど新線開業が目白押しだった2023~2024年に対して2025年は大きなニュースはありませんが、その中で注目したいのが広島電鉄の広島駅の新駅ビル乗り入れです。

 当初は3月の新駅ビル開業にあわせてビル2階に発着する計画でしたが、資材の調達が遅れており、商業施設の完成後に工事、試運転を行うため、乗り入れ開始は夏頃に延期される見通しです。

 最後に、2025年はさまざまな事件、事故、災害の節目の年でもあります。1月17日は阪神・淡路大震災、3月20日は地下鉄サリン事件から30年。3月2日は土佐くろしお鉄道宿毛駅衝突事故、3月20日は竹ノ塚踏切事故、4月25日はJR福知山線脱線事故、12月25日はJR羽越本線脱線事故からそれぞれ20年です。

 鉄道の安全性は、これらの教訓、反省を踏まえて成り立っています。今を生きる私たちは、それを未来に引き継いでいく責任があるのです。

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