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寝台券いらず! 「サンライズの“横になれる”座席」は本当にノビノビできるのか? カーテン持参する人も!?

乗りものニュース / 2025年1月13日 15時12分

寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」に使われる285系電車(安藤昌季撮影)。

寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」には、寝台料金不要ながら横になれる普通車指定席「ノビノビ座席」が連結されています。まるで客船のようなこの設備の特徴を徹底解説します。

ノビノビ座席は普通車指定席

 東京~高松・出雲市間を毎日運行する寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」には、普通車指定席「ノビノビ座席」が連結されています。最も安い寝台であるB個室「ソロ」より6070円(通常期)安く、フルフラットのカーペット敷きの設備です。

「みどりの窓口」で発売と同時に発券することを「10時打ち」といいますが、それでも「サンライズ」の人気設備となれば予約は困難です。しかしノビノビ座席はインターネット予約サービス「e5489」で事前予約を申し込めるため、窓口まで行かなくても10時打ちができます(必ず予約できるという意味ではありません)。

 このノビノビ座席ですが、居住性はどうでしょうか。2024年11月の平日、筆者(安藤昌季:乗りものライター)が東京発で「e5489」の空き状況を見たところ、珍しく複数の空席があったので乗ることにしました。「e5489」で個室寝台を予約した場合は自室の位置を選べませんが、ノビノビ座席なら座席位置を選べます。

 ノビノビ座席は上段と下段に分かれ、下段(1階)がA・B席、上段(2階)がC・D席です。筆者オススメの座席位置は1A、1C、7B、7Dの4席。これらの座席は片側が壁となり、半個室感があるからです。今回は7D席が予約でき、かなり快適に過ごせました。

 壁際の席ならば壁側に自分の荷物を置き、自分の体を壁にできるので、心理的な安心感を得やすい利点があります。ちなみに「e5489」の予約画面では壁側に見える1B、1D、7A、7C席は、壁寄り区画ではありません。これらは壁寄り区画の隣であり、両側に人が来る可能性が高いです。

横幅はA寝台と同じ

 1A、1C、7B、7D以外では、1番付近、3・4番付近、7番付近に共用コンセントがありますので、選べるならその辺りがよいでしょう。ノビノビ座席には区画内にコンセントがなく、電源を確保したい場合は共用コンセントしかありません。競争したくない人は、モバイルバッテリーを持ち込むとよいでしょう。

 コンセントは早いもの勝ちなので、始発駅で最初に乗り込む以外では確保が難しい設備です。筆者はほかの乗客と話し合い、トリプルタップのコンセントを持ち込んで使える数を増やしたうえで、共有したことがあります。

 ノビノビ座席は枕木方向に区画があり、側窓がある方向の一部分だけほかの区画と仕切られています。側窓は縦58cm×横54cmで、ロールカーテンがあります。窓の下縁は6.8cm。小物が置けます。また、縦15cm×横20cmで半円形の小テーブルがあり、使い捨てコップもセットされています。テーブルはかなり小さいので、弁当を食べるなどは難しいです。飲食するなら匂いの問題もあるので、3・10号車のラウンジに移動した方がよいでしょう。

 天井部分にはライトと読書灯、冷房の吹き出し口があります。冷房の吹き出し口は可動式で、レバーを動かして風向きを変えたり、風を止めたりできます。

 区画サイズは長さ208cm、幅85cmで、横幅はA個室寝台「シングルデラックス」の寝台幅と同じです。かなり広いので、小さな荷物なら自分の横、あるいは足元に置くことが可能です。ただ、区画間は幅5.5cmの仕切りが床にあるため、連続する2区画を予約して、夫婦と未就学児の3人で寝る、といった使い方には向きません。

毛布は備品 使い方は?

 天井までの高さは98cm。直立はできませんが、側窓を背にして座った場合に、頭を打つようなことはありません。暖房は上段、下段とも床暖房です。下段には階段の裏に暖房の吹き出し口もあります。

 また、上段への階段は幅45cm、奥行き49cmです。奥行きのうち24.5cm分は奥に引っ込んだ部分なので、ここに小物を収納できますが、自分の区画からは見えません。

 下段の床下には靴を置くことができます。上段、下段とも区画の入口にはカーテンがあり、通路から覗かれることは防げます。ただ、区画間にカーテンレールはあるもののカーテンはありません。筆者は、持ち込んだ布を垂らして仕切りにしている人を見たことがあります。

 付帯設備は枕カバー、毛布、使い捨てコップです。枕カバーは柔らか目の衣類の上に置くことで、枕の代わりにすることができます。毛布は2つの使い道があります。

 ひとつは床のカーペットが固いので、敷き布団とすることです。この場合は毛布を広げずに2つ折りにした方が寝心地に優れます。ただし、毛布を敷き布団にすると掛け布団はないので、持ち込んだ衣類などを布団代わりに羽織ることになります。

 もうひとつは、毛布を掛け布団として使うもの。その場合は、厚手の服を着て床の固さをやわらげた方がよいでしょう。

 上段と下段で解放感があるのは上段です。側窓からの目線も高く、翌朝に景色を楽しみやすいです。床が高い位置なので、走行音も軽減されます。

 一方の下段は「暗い」と言う利点があります。深夜は照明が減光されるものの、完全には暗くなりません。区画内の電気を消し、通路とのカーテンを閉めた状態でより「暗い」のは下段ですから、走行音が気にならないなら寝やすいです。

ズバリ、ノビノビ座席の振動と騒音はどのくらい?

 開放型区画であるノビノビ座席では、やはり周囲への警戒に気を抜けません。先述した通り隣席とのあいだにはカーテンがなく、盗難への注意が必要です。また運悪く、体臭の強い人が隣の区画となった場合は防ぐ方法がありません。空調が操作できるので、夏なら風向きを調整するくらいでしょうか。通路側とのカーテンを閉めても、深夜でも共用シャワーやラウンジの利用者などが行き来しますから、歩く音や人の気配は伝わってきます。

 そうした理由から、人の気配や臭いが気になる人は利用を避けた方がよいでしょう。寝心地も、個室寝台はレール方向ですが、ノビノビ座席は枕木方向なので、好みが分かれると思います。騒音、振動は以下の通りです。

・ノビノビ座席上段(3番C席)
平均騒音:55.5dB(静かな事務室程度)
最大振動:震度3.7
平均振動:震度2.5

・ノビノビ座席下段(3番B席)
平均騒音58.4dB(静かな事務室程度)
最大振動:震度3.2
平均振動:震度1.7

 総合的な居住性では個室寝台に劣るノビノビ座席ですが、寝台券は不要なため、区間利用には便利です。東京から熱海、沼津などへは、普通列車のグリーン車より快適です。筆者の友人は、東京から浜松への帰省に使っていました。また、出雲市発が最終「やくも」より遅いので、岡山、姫路、三ノ宮、大阪までも便利です。

 鉄道では極めて珍しい、客船のカーペット席のようなノビノビ座席。旅情溢れる設備であり、長く続いてほしいものです。

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