自衛隊ついに「トップガン」の世界へ!? 初の“艦載戦闘機”が誕生 フネで整備まで本当にできるのか、メーカーに聞いた
乗りものニュース / 2025年1月12日 18時12分
ついに海上自衛隊の護衛艦「かが」でステルス戦闘機F-35Bの運用試験が完了しました。今後、航空自衛隊において運用されるF-35Bに関して、気になるのは艦上運用の際の整備性です。これについて、製造企業に聞いてみました。
いよいよ自衛隊もF-35Bを運用する時代へ
2024年12月15日、海上自衛隊の護衛艦「かが」が、約3か月にわたる「令和6年度インド太平洋方面派遣」を終え、母港である海上自衛隊呉基地へと帰港しました。
「かが」は、ヘリコプターを複数同時運用できるいずも型護衛艦の2番艦として、2017(平成29)年に就役。基準排水量1万9500トン、全長248mをほこり、海上自衛隊では最大の戦闘艦艇です。
太平洋方面の防空能力を強化するため、2018(平成30)年にはいずも型護衛艦を改修して、短距離発艦・垂直着陸(STOVL)が可能なステルス戦闘機であるF-35Bを運用することが決定され、2021年には「いずも」においてアメリカ海兵隊のF-35Bがはじめて発着艦を実施しました。
「かが」については、F-35Bの運用に必要な改修を施す「第1回特別改造工事」が2024年3月29日に完了。同年10月から11月にかけて、先述した令和6年度インド太平洋方面派遣の一環として、米カリフォルニア州サンディエゴ沖でF-35Bの艦上運用試験を実施しました。
艦上運用試験は、10月5日からアメリカ海軍と海兵隊の支援を受けて実施。アメリカ海軍・第23航空試験評価飛行隊のF-35Bを用いて、主に短距離発艦や垂直着陸、艦上運用についての確認が行われました。
今後、日本はF-35Bを42機導入し、航空自衛隊が運用を実施することになっています。自衛隊にとっては史上初めて海上自衛隊の護衛艦で運用を行う艦載戦闘機を導入することになります。まさに、映画『トップガン』の世界が自衛隊でも繰り広げられるのです。
ただ、気になるのはスムーズな機体運用には欠かせない、艦艇における整備性です。そこで、筆者(稲葉義泰:軍事ライター)はF-35の開発および製造を担当しているアメリカのロッキード・マーチン社に取材を行いました。
製造企業イチオシのポイントとは
同社によると、F-35は維持整備性、支援性、および稼働率の向上を念頭に置いて設計されており、とくに部品交換や日常的な整備を容易にするべく、さまざまな工夫が施されているといいます。
「稼働拠点で迅速に交換可能な部品の95%は、他の部品を取り外すことなく整備が可能です。また、前方に開くヒンジ式キャノピーにより、限られたスペースでの射出座席の整備が容易であることも実証されています。さらに、簡素化された油圧システムや、支援が容易なステルス技術が、特に小型艦艇での整備作業の効率化に寄与しています」
さらに、F-35は飛行データなどから消耗が予想される部品を特定し、その交換時期や場所を自動で予測する自己管理システムを搭載しています。そのため、ロッキード・マーチン社によれば、どの場所にどの部品をいつ配送すればよいかという補給計画を事前に立てることができ、必要な部品を必要な場所に迅速に届けることを可能にしているといいます。
これまで、この一連の兵站の仕組みを管理していたのは「自律型兵站情報システム(ALIS)」と呼ばれるものでしたが、現在ではその後継システムである「運用データ統合ネットワーク(ODIN)」の運用が開始され、今後徐々に移行が進む予定です。
こうした取り組みの結果として、F-35は整備面や運用面でも優れた成果を発揮しているとロッキード・マーチン社は説明します。
「飛行時間あたりの整備作業時間は、F-35による置き換えられる旧式の艦載戦闘機よりも少なく、軍隊による柔軟な人的資源の運用を可能にしています。さらに、F-35の部品の90%以上が設計基準を上回る性能を発揮しており、実際の運用から得られたフィードバックによっても裏付けられているように、F-35は自信を持って洋上の艦艇などへと展開できることが証明されています」
今後、航空自衛隊と海上自衛隊がどのような形でF-35Bを運用していくにせよ、F-35Bのこのような利点が最大限に活かされることとなりそうです。
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