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最も保存車両がある寝台特急って? 全国を巡れば全設備が体験できる!?

乗りものニュース / 2025年1月26日 15時12分

「ザ・ヒロサワ・シティ レールパーク」に保存されたEF81形電気機関車138号機(安藤昌季撮影)。

2015年まで上野~札幌間を結んでいた寝台特急「北斗星」。シャワー付き個室寝台車や予約制コース料理の食堂車などが人気の豪華列車で、各地に車両が保存されています。多彩な設備も有名でしたが、もし集めれば「再現」できるのでしょうか。

全国に10両の「北斗星」関連車両

「北斗星」は、1988(昭和63)年から2015(平成27)年にかけて上野~札幌間を結んだ寝台特急です。シャワーも備えた1人用A個室寝台「ロイヤル」を初めて設置し、同じく寝台特急としては初めて予約制のコース料理を提供する食堂車「グランシャリオ」を連結するなど、それまでの列車を大きく上回る豪華さが評判となり、廃止まで人気を博しました。

 それだけに全国5か所で計10両の関連車両が保存されています。これは単独の列車としては日本一多く、車種も豊富。これだけ保存されていれば、かつての「北斗星」の全設備を体験できるのではないでしょうか。

■機関車
「北斗星」はEF81形、ED79形、DD51形の各種機関車に牽引されていました。EF81形はJR東日本とJR貨物に現役機が存在します。ただ、置き換えの対象であり、ここ数年に姿を消すと思われます。中身が展示室に改造されていますが、「北斗星」色としては「ザ・ヒロサワ・シティ レールパーク」(茨城県筑西市)に138号機が保存されています。

 ED79形は全車が廃車解体されています。

 DD51形は一部がJR西日本で現役ですが、こちらも先は長くないと思われます。保存車両は各地にありますが、寝台特急を牽引していた車両は「並河駅鉄道歴史公園」(京都府亀岡市)の1040号機と、「津山まなびの鉄道館」(岡山県津山市)の1187号機だけなお、いずれも寝台特急「出雲」の牽引機でした。

 ちなみに北斗星色と呼ばれた青塗装のDD51形はありませんが、東武鉄道の「SL大樹」で活躍するDE10形1109号機が色だけ再現されています。

宿泊可能な客車たち

■電源車
「小坂鉄道レールパーク」(秋田県小坂町)の宿泊設備「ブルートレインあけぼの」用として、カニ24形511号車が保存されています。これは「北斗星」にも使われたことのある電源車です。カニ24形0番台など、ほかの電源車は現存しません。

■開放型B寝台車
「ザ・ヒロサワ・シティ」にオハネフ25形12号車が保存されています。JR東日本タイプの24系解放B寝台車としては、「小坂鉄道レールパーク」のオハネフ24形12号車、「ブルートレイン日本海」(岩手県岩泉町)のオハネフ25形121号車、オハネ25形151号車があります。いずれの保存車両も宿泊可能です。

■Bコンパートメント
 開放型B寝台車に扉を付け、4人用個室としても使えるようにした設備です。「北斗星スクエア」(北海道北斗市)にオハネフ25形2号車が保存され、宿泊可能です。

■1人用B個室寝台「ソロ」
 大きく分けて室内で直立可能なタイプ(大半がJR北海道車)と、寝台幅がやや広いが直立できないタイプ(JR東日本車)がありました。直立可能タイプは「北斗星スクエア」にスハネ25形501号として現存します。法律の関係で宿泊はできませんが、荷物置き場などとして活用されています。

■2人用B個室寝台「デュエット」
 平屋(下段)室と階段を上がった階上(上段)室が備わります。「ザ・ヒロサワ・シティ」のオロハネ24形551号にて現存します。宿泊も可能です。

清瀬市へ渡ったラウンジカー

■2人用A個室寝台「ツインデラックス」
 平屋で2段寝台のタイプと、「デュエット」を広くして洗面所を付けたタイプがあります。日本国内に現存する車両はありません。ミャンマーに輸出された24系客車に2タイプとも含まれてはいるのですが、現状は不明です。

 なお「小坂鉄道レールパーク」のA個室寝台車スロネ24形551号車は「シングルデラックス」ですが、補助ベッドとして上段寝台を備え、設備が近い車両です。

■1人用A個室寝台「ロイヤル」
「北斗星」のシンボルともいうべき豪華A個室寝台です。シャワーやルームサービスを備えた贅沢な車両は憧れの的でした。「ザ・ヒロサワ・シティ」のオロハネ24形551号にて現存します。シャワーは使えませんが、宿泊は可能です。

■2人用A個室寝台「スーペリアツイン」「エクセレントスイート」
「夢空間北斗星」として使われた超豪華寝台車です。1両の定員6名で、バスタブ付きの個室寝台も備わります。フレンチレストラン「アタゴール」(東京都江東区)に保存されており、かつての「エクセレントスイート」個室がレストランの離れ(要予約)となっていて、食事を楽しめます。

■ロビーカー・半室ロビーカー・「クリスタルラウンジ スプレモ」
 全室ロビーカーは「ザ・ヒロサワ・シティ」でオハ25形503号車が保存されています。半室ロビーカーも「北斗星スクエア」にスハネ25形501号で現存します。スハネ25形で特筆すべきは、共用シャワールームが現在でも使えることです。

「夢空間北斗星」に連結されていたラウンジカー・オハフ25形901号車は、長く「ららぽーと新三郷」(埼玉県三郷市)で保存されていましたが、東京都清瀬市がクラウドファンディングで修復のうえ同市にて展示するため、現在整備を進めています。

では、現存しない車両は?

■食堂車「グランシャリオ」・展望ダイニングカー
「ベーカリーレストラングランシャリオ」(埼玉県川口市)で、スシ24形504号がレストランとして営業し、現役時代に近い内装で食事できます。「ザ・ヒロサワ・シティ」にもスシ24形505号が保存され、宿泊時には別途申し込みで、夕食と朝食をとることもできます。また、見学客が飲食スペースとしての使用も可能です。

「夢空間北斗星」に連結されたオシ25形901号車は、オハフ25形901号車と同じく、修復のうえ清瀬市に移設されることになっています。レストランとしての使用も考慮しているとのことです。

 なお料理の味は、「鉄道博物館」(埼玉県大宮区)やJR東京駅の展望車風レストラン「ステーション レストラン ザ セントラル」が現役時に近いです。

 以上が「北斗星」の保存車両でした。あれほど多様な設備を誇った列車で、現存しないのはJR東日本タイプのB個室寝台ソロとツインデラックスだけというのは驚きです。

「ツインデラックス」については、簡易宿泊設備「トレインホステル北斗星」で体験できたのですが、現在は営業休止に。これを引き継ぎ、2024年に開業した「マンガアートホテル馬喰町」は、一部寝室が「北斗星」の寝台設備ですが、「ツインデラックス」はないようです。

 とはいえ各地を巡り、設備ごとに往年の「北斗星」を体験する旅も楽しそうですね。

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