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伝説の「世界唯一の公共交通」廃止後どうなった? ”驚嘆”の現地の様子とは 元「車両」はまさかの場所に

乗りものニュース / 2025年1月29日 8時12分

運行が行われていたころの「スカイレール」(柘植優介撮影)。

2024年4月末、世界で唯一、広島市にしかなかった乗りもの「スカイレール」が運行を終了しました。「スカイレール」廃止後、沿線の様子や交通アクセスはどのようになっているのでしょうか。現地を訪れてみました。

2024年4月末に運行終了

 世界で唯一、広島市にしかなかった乗りもの「スカイレール」が2024年4月に運行を終了しました。「スカイレール」廃止後、沿線の様子や交通アクセスはどのようになっているのでしょうか。実際に現地へ行ってみました。

「スカイレール」は、株式会社スカイレールサービスが運営する「広島短距離交通瀬野線」という軌道線で、広島市安芸区のJR山陽本線瀬野駅に隣接する「みどり口」駅と、住宅団地「スカイレールタウンみどり坂」の中心部にある「みどり中央駅」を結ぶ路線として1998年に開業しています。

 みどり口~みどり中央駅の距離は約1.3km。しかし、周辺の住宅地は山腹を切り崩して作られているため、2区間は180mもの高低差があり、徒歩での往来が難しいほどの急勾配となっています。そうしたことから住宅地への新たな交通システムとして、ロープウェイ風の車両の外観ながら、懸垂型モノレールの桁とリニアモーター技術を用いて開発されたのが「スカイレール」でした。

 開業後、「スカイレール」はほかの自治体への採用も検討されたものの、導入には至らず。ここでしか運用されていないことからメンテナンスコストもかさみ収支が悪化するなか、車両や軌道、橋脚などの部品を製造する会社の廃業が決定打となり、運行終了に至っています。

 2025年1月現在、「スカイレール」の代わりとして新たに電気バスが2区間を結ぶ公共交通手段として運行されています。通学ラッシュとなる午前8時台、16時台は4本、その他の時間帯は毎時3本が標準的なダイヤで、一度に50人程度を乗せることができます。なお「スカイレール」は25人乗りで、15分から20分間隔で運行されていました。

 実際に現地に降り立ったのは15時30分ごろ、バスの利用者はほとんどが生徒で、帰宅ラッシュで満員の状態でした。また、バスの案内サイトによると、満員のため、臨時便も運行されていたとのことです。

駅舎、レール、車両…いまどうなってる?

「スカイレール」の後継にあたる電気バスは、JR瀬野駅からみどり口駅へ向かい、そこから瀬野駅へと戻る循環路線がメインです。バス停は11か所あり、傾斜地の中腹や、みどり中央駅よりさらに山側にある住宅地にも停車します。スカイレールは2区間の途中、中間駅の「みどり中街駅」しか停車しなかったことから、アクセスは現在の方が向上しているといえるかもしれません。

 一方で、「スカイレール」ではみどり口駅からみどり中央駅まで所要時間が約5分だったのに対し、この日の電気バスでは約10分に。単純な2区間比較だと、所要時間は倍増していました。

 そして、「スカイレール」の駅舎やレール跡ですが、2025年1月現在ほぼそのままの状態です。

 駅のホーム入口のシャッターこそ閉められているものの、みどり口駅には、「スカイレール」について紹介されたチラシなどが現在も掲示されています。加えて、みどり中央駅北口に隣接する空き地には、役目を終え、レールから降ろされた「スカイレール」の車両が2両、安置されているのも確認できました。

 なお「スカイレール」運行終了時の報道では、駅舎やレール部分は、今後数年をかけて撤去される予定と述べられていました。解体・撤去が滞りなく進んだ場合、現役時代とほぼ変わらない姿を見ることができる期間は、そう長くないのかもしれません。

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