「車内でキャンプができるコンパクトカー」46年経っても大人気!? 四角いほうの「フィアット・パンダ」のスゴさとは デザイナー「私の最高傑作」
乗りものニュース / 2025年2月11日 19時12分
「ヨーロッパのゲタ車」として、いまだ根強い人気を誇るフィアット・パンダ。なかでも、2003年のモデルチェンジ以前に生産されていたモデルは、現在でも中古車市場で大きな人気を誇ります。
フィアットとジウジアーロが手を組んだプロジェクト「ゼロ」
「ヨーロッパのゲタ車」として、いまだ根強い人気を誇るフィアット・パンダ。特に2003(平成15)年の大幅モデルチェンジ以前のいわゆる「角ばったパンダ」は、今も中古車市場で絶大な人気を誇ります。
この2003年以前のフィアット・パンダのうち、「最初期型」となるフィアット・パンダ45/30が登場したのは、今から46年前の1979(昭和54)年。一見すれば小さくて簡素なクルマですが、実際は優れた合理性とデザイン、そして何よりもそれまでの大衆車にはなかった独自発想を持つ1台でした。
1970年代のオイルショックなどの影響で、ヨーロッパの各自動車メーカーは燃費の良いコンパクトカーの開発を進めていました。そんな中、イタリアのフィアットでは1976(昭和51)年に、自社の小型モデル・126のエンジンを流用しながらも全く新しい1台を完成させるべく、プロダクトデザインの巨匠ジョルジェット・ジウジアーロ氏率いるイタルデザインに共同開発を依頼。そのプロジェクト名は「ゼロ」というものでした。
これを受けたジウジアーロ氏は126同様の生産コストを実現する小型車の設計とデザインに没頭。依頼を受けてから数か月で、ボディのデザイン、室内のスケールモデルのスケッチをフィアットに提出。プロジェクト開始からわずか1年強でプロトタイプ・ボディの完成にこぎつけました。
サイズは全長×全幅が3380×1460mm。フィアット126よりは若干大きいものの、フィアットがジウジアーロ氏に依頼した「条件」を全て満たしていました。また、ジウジアーロ氏は「3380mm という枠の中に、あれだけの空間と機能を盛り込むデザインは、本当にゾクゾクするチャレンジで最高に面白い仕事だった」「私にとっての最高傑作はフィアット・パンダだ」と豪語するほどでした。
そのデザインはオフロード・ビークルや軍用車を思わせるほど、極めて実用的な「引き算」的デザインであり、平面的でカクカクした意匠です。また、極めてシンプルな内装で、コストカットのために開閉式のダッシュボードをあえて廃し、凹んだスペースにクロスを貼り独特のオシャレなイメージを作り上げています。
さらに斬新だったのが、シートがパイプ式で簡単に取り外すことができ、「パイプシートをアウトドアシーンで広げて、キャンプチェアとしても併用できる」という提案。これは最初期型のフィアット・パンダ45/30のみの機能で、2代目以降、このパイプシートは廃されましたが、フィアット・パンダの独創性を強く印象付けました。
いろいろ難点もあるけれど…それでも最高なワケ
また、オプションにダブルサンルーフもあり、フロント・リア双方の車列上を開放させることもできました。この、ダブルサンルーフ双方を開放すればさながらオープンカーにも変身するというスタイルにより、「単に安価なクルマ」としてではなく、「パンダに乗る際のライフスタイル」の提案をも投入した1台でした。
結果的に、世界中の人たちに愛され、2003(平成15)年までは、フィアット・パンダ45/30をコンセプトやデザインが踏襲され続けた一方、それ以降は全く新しい丸っこくかわいらしい意匠となり、2023年まで生産されました。その生産期間はなんと44年間。フィアットのモデルの中ではフィアット500に並ぶロングセラーモデルになりました。
実は筆者、この「角ばったパンダ」を2台乗り継ぎ、さらにボロボロの1台を部品取りとして所有した時期がありました。「自分のクルマ」として初めて乗ったのがフィアット・パンダだった、という思い出補正を除いても小回りの良さ、燃費の良さ、ラフに乗っても格好になる自由さで、最高としか言いようのない1台でした。
その一方、筆者が乗ったのはいずれもマニュアル車で、クラッチが脆弱だったほか、部品劣化が激しい印象は否めませんでした。また、オートマ車もまたCVTが壊れやすく、一度壊れればエンジン丸ごと交換で、軽の新車1台分くらいの修理費がかかる……なんていう話がショップやユーザーの間でよく語られていました。
ただし、これらの難点を持ってしても今日に至るまで中古車市場で高値傾向が続くのもまた事実。これを見れば、やはりフィアット・パンダが極めて特別なクルマであり、この独創性と楽しさを超えるコンパクトカーは以降にないことを示すようにも感じます。
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