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いいクルマだったのに…忘れられないあの顔「ホンダ e」はどこへ 消えた意欲作

乗りものニュース / 2025年2月8日 18時12分

日本国内での販売期間はわずか約3年と短命に終わったホンダ e。丸目っぽいライトが特徴(画像:ホンダ)

今でもたまにその姿を見かける丸目の無表情のクルマ「ホンダ e」。ホンダ初の量産EVとして登場した同車はなぜ、短期間で販売を終了することになったのでしょうか。

よりによってコロナ禍真っただ中での発売

ホンダが2025年1月に「Honda 0 シリーズ」と銘打った新たなEV(電気自動車)シリーズのプロトタイプ2車種を世界初公開するなど、EVシフトを鮮明にしています。その一方、少し前に発売された同社のEVも、都心部でたまに見かけます。丸目のヘッドライトが印象的な無表情のクルマ、「ホンダ e」です。

同車は「2025年までに欧州で販売する全ての車両の電動化を目指す」と掲げていたホンダが、特に力を込めて開発し2020年に発売したホンダ初の量産のEVモデルです。

結果的に約3年という短命で姿を消すことになったホンダ eですが、筆者個人的に、むしろ味方をしたくなります。あの「丸目の無表情」が今持って忘れることができません。そんなホンダ eの強みと弱点を改めて振り返ります。

同車は「メーカー名」を初めて車名に取り入れたことからも、力の入れ具合がうかがえるものでしたが、販売は苦戦が続きました。当初の日本国内の販売計画台数を年間で1000台としていたものの、実際は3年間に1800台ほどで、計画の6割ほどしか売れませんでした。

ホンダ eが一般に公開されたのは2019年春、スイス・ジュネーブで開催されたジュネーブモーターショーでのことでした。この際はプロトタイプの出展でしたが、おおいに注目を集め、ホンダは早くも「2019年後半から生産開始する」と発表します。

また、2019年夏にはドイツ・フランクフルトモーターショーで量産モデルを世界初公開し、2020年初夏の発売を発表しました。発売前にして、世界的権威のあるプロダクトデザイン賞(自動車)において「ベスト・オブ・ザ・ベスト賞」を受賞、さらにスマート・プロダクト部門においても、「レッド・ドット・デザイン賞」を獲得しました。後述する様々な斬新機能を含め、これだけシンプルでかわいい1台に落とし込んだことが大きく評価されました。

ただし、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大が世界的に広がった時期で、日本での発売は10月30日となりました。コロナ禍の影響もあってかホンダ e登場のインパクトはだいぶ弱まったようにも映りました。

また、日本国内価格はホンダ eが450万円強、上級グレードのホンダ e・アドバンスが495万円でした。特に日本国内で言えば、多くの人にとって最優先すべきは「かつての日常を取り戻すこと」だったことを踏まえると、いくら斬新でかわいいEVとはいえ、価格的に購入する人が限定されたのではないかと推測します。

航続距離に関しても不安要素がありました。満充電で走れる航続可能距離は259〜283kmと、当時販売されていた他メーカーのEVに劣りました。

「都市型コミューター」と銘打ち、長距離走行については割り切って開発した面があったとしても、それでいて価格面では負けているホンダ eは相対的にユーザーにとっての購入の必然性を遠ざけてしまい、結果がふるわなかったようにも感じます。

デメリットを補ってあまりある魅力もあった!

ただし、これらの要素を考慮しても、あの「丸目の無表情」はホンダらしいデザインで、様々な斬新な機能もまたホンダ eの魅力でもありました。

車内は、12.3インチのスクリーンを2画面並べて速度計、HDMI端子を備えてインパネ中央に配置した「ワイドスクリーンHonda CONNECT ディスプレー」が先進的な印象を与えます。クラウドAIによる音声認識と情報提供を行う「Hondaパーソナルアシスタント」も備わり、「OK Honda」と呼びかけることで、音声認識により最新かつリアルタイムの情報がオンデマンドに提供されました。

そして、この音声認識での細かなこだわりが感じられるのが、語りかけに対しキャラクターが7つの表情で反応する点です。これがホンダ eへの愛着を感じられる機能のひとつでもありました。

走りの面でも、最小回転半径4.3mという小回りの良さからくる独特の乗り味は、ホンダらしさを感じるものでした。このクルマならではの数多くの特長・利点があったにも関わらず、約3年で姿を消すことになったホンダ eですが、この経験を次なるEVに反映させ、さらにホンダらしいEV開発をしてほしいと願っています。

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