露戦車が次々吹っ飛んだのは「自動装填装置」せい? 侵攻3年で大きく変化 西側戦車も“頭を狙われる”
乗りものニュース / 2025年2月5日 8時12分
ロシアによるウクライナ侵攻が始まって間もない頃、ロシア戦車がビックリ箱のように次々吹き飛び、自動装填装置を兼ねる弾薬庫の脆弱性が指摘されました。しかし、4年目に入ろうとする現在では、その説は完全に覆ったといえます。
結局、ロシア戦車の弾薬の配置は欠陥ではなかった!
2025年2月末で、ロシアによるウクライナ侵攻は4年目に突入することになります。この戦いの序盤に大きな話題となったのが、ロシア軍が前線に投入したT-72、T-90といった旧ソ連やロシア製の戦車です。侵攻開始以降、歩兵携行型の対戦車ミサイル「ジャベリン」や自爆ドローンで次々と撃破されていく映像が、世界中のメディアで度々映し出されることになりました。
撃破映像が増えるとともに、いつしか、砲塔の内部に多数の弾薬を搭載する円形の「カルーセル式」と呼ばれる自動装填装置が欠陥であると報じられるようになります。そこが損傷すると砲弾が誘爆し、「ビックリ箱」のように爆発してしまうと指摘されました。果たして弾薬の位置は、戦車の弱点になるのでしょうか。
侵攻開始当初からロシア戦車は、「ジャベリン」や自爆ドローンに、装甲が薄い砲塔上部(砲塔が車体から露出している部分)を狙われることになります。これは「トップアタック」と呼ばれます。
この部分に被弾した戦車がビックリ箱のように吹き飛ぶ様子から、一部メディアでは「ロシア戦車はの砲塔に弾薬庫があるため、敵の砲弾やミサイルが当たるとすぐに誘爆し、ビックリ箱のように簡単に吹き飛ぶ」と報じられるようになりました。しかし、T-90やT-72に装置されている実際の「カルーセル式」自動装てん装置の砲弾は、誘爆の危険性を考慮し、砲塔下部、車体全体でいうと硬いシャーシに守られている車体底部に置かれています。
ロシア戦車以外も似たような方法で撃破されるように
こうしてみると、ロシア戦車が誘爆の危険性を軽視しているわけでは決してありません。では何が被害を増大させたかですが、巧妙に待ち伏せした状態の携行対戦車火器を持った歩兵やドローンの警戒網に突っ込んでしまうケースが多かったのでは、という仮説が考えられます。
携行対戦車火器を持った歩兵の待ち伏せに戦車が弱いのは、第一次世界大戦で戦車が誕生し、結束手榴弾で対抗した時代から共通している欠点です。さらに、21世紀に入ってからは歩兵も簡単に対戦車ミサイルが携行可能になったほか、2020年代に入ってからはドローンによる爆弾投下や自爆攻撃も威力を発揮。「トップアタック」も多用されることになり、戦車が不意を突かれて撃破されるリスクが高まっています。
事実、攻勢に転じたウクライナ側も西側諸国から供与を受けた「レオパルト2」や「チャレンジャー2」が、巧妙に待ち伏せしたロシア軍の対戦車兵器や自爆ドローンなどに撃破されています。西側戦車は、「カルーセル式」ではなく、砲塔上部後方の「バスル」が弾薬庫になっており、被弾時の爆風を上へ逃がす「ブローオフパネル」という構造があるにもかかわらず、砲塔がロシア戦車のように吹き飛んだ車両も確認されています。
また、ウクライナ以外では、2023年10月7日に、世界で最も堅牢な戦車という評価もあるイスラエルの主力戦車「メルカバMk.4」が、ドローンに爆発物を投下されただけで撃破されています。これらの戦車の多くがやはり、装甲の薄い車体上部を狙われる「トップアタック」により被害を増大させています。
以前は、車体上部を狙ってくるのは、敵の地上攻撃機か攻撃ヘリ程度くらいしかいませんでしたが、ここ数年で戦車が上から狙われるリスクは高まっています。そのため、せめて自爆ドローンの攻撃程度には損傷を受けないようにしようと、砲塔部分に金網状の屋根(コープケージ)を付けた車両が登場したほか、ミサイルやロケットをセンサーで感知し散弾で撃墜する装置「トロフィー」を付ける車両も登場しています。
ただ、トロフィーの場合は、散弾を発射する関係で近くに歩兵を置けないため、ハマスの兵士が死角を突いた原始的な肉薄攻撃で戦車を撃破するケースもありました。ただ、不意を突かれない限りは、依然として戦車が陸上で有力な火力と防御力を発揮する兵器であるのは確実で、“戦車が不要である”という状況にはなっていません。
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