「“岡山”といえばこの特急」だったのに 瀬戸大橋を渡らなくなる「うずしお」にオールドファン衝撃のワケ
乗りものニュース / 2025年2月8日 15時12分
2025年3月15日に行われるダイヤ改正で、JR四国の特急「うずしお」の岡山発着が廃止されます。これは歴史的に大きな転換点かもしれません。そこで「うずしお」の変遷とともに、今回の改正を紐解きます。
瀬戸大橋開通とともに登場した「現・うずしお」
JR四国が2025年3月15日に実施するダイヤ改正で、徳島発着の特急「うずしお」の岡山乗り入れが廃止となることが発表になりました。現在は16往復半が運行しており、そのうち岡山へと乗り入れるのは2往復のみでしたが、いずれも高松発着に変更になります。
現在の特急「うずしお」は1988(昭和63)年4月、瀬戸大橋開通に合わせて、頻発運行される“エル特急”として誕生したものです。それまで優等列車は急行しか走っていなかった高徳線において、初の特急列車でした。
当時の車両はキハ185系の2両編成で全席自由席、11往復のうち10往復は高松~徳島間の運行で、1往復のみ岡山~徳島間というデビューでした。その後、瀬戸大橋線開業による四国人気もあり、同年9月には岡山乗り入れ列車が2往復に増便されました。
以来37年間にわたって岡山~高松~徳島間の特急として活躍。徳島からさらに牟岐線の海部や、安佐海岸鉄道の甲浦へ乗り入れたり、予讃線 伊予西条発の列車が運行されたりと、徳島へのアクセスを支え続けてきたのが「うずしお」です。
オールドファンならわかる、「うずしお」といえば岡山の理由
今回の改正は、2往復のみの岡山発着列車が瀬戸大橋を渡らなくなり岡山~高松間が短縮されるだけ――といえばそれまでですが、鉄道のオールドファンにとっては、岡山駅から「うずしお」の文字が再び消えてしまうことに寂しさを感じる人も多いのではないでしょうか。
“再び消える”というのも、鳴門の渦潮を由来とした四国らしい名を掲げた特急「うずしお」という列車愛称が誕生したのは、全国的に特急列車網が整備された1961(昭和36)年10月の通称“サンロクトオ”の白紙ダイヤ改正においてです。誕生時の運行区間は大阪~宇野間で、関西からの宇高連絡船への接続特急でした。
つまり昭和において「うずしお」といえば、本州で岡山県を目指すという印象の強い列車でした。
山陽新幹線岡山開通とともに姿を消した初代「うずしお」
当時の「うずしお」は東京~宇野間を1往復していた特急「富士」の間合い運用がとられていたため、車両はボンネット型の151系特急電車で、客車展望車の後継として大型窓が設けられた“パーラーカー”と食堂車が連結されたことが特徴的でした。
大阪~宇野間の停車駅は神戸、姫路、岡山のみ。2時間50分で大阪~宇野間を結び、宇野で10分後の宇高連絡船に接続していました。
その後1964(昭和39)年に東海道新幹線が開通すると、新大阪発の列車も登場。大阪から宇高連絡船の乗換駅である宇野をめざす、最速達タイプの昼行特急として君臨しました。今となっては消え果た“夢”ではありますが、もしもフリーゲージトレインが成功していたら、山陽新幹線から四国へと直通する新幹線の愛称は「うずしお」になっていたかもしれません。それほど昭和において「うずしお」は四国アクセスを象徴する列車でした。
この初代特急「うずしお」は1972(昭和47)年3月、山陽新幹線新大阪~岡山間の開業とともに姿を消しました。それから16年の時を経て岡山~高松~徳島間に復活したのが2代目特急「うずしお」でしたが、前述の通り、3月14日を最後にふたたび岡山からその姿を消すことになったのです。
新生「うずしお」はパターンダイヤ導入
今回のダイヤ改正後の特急「うずしお」ですが、これまで以上に高松駅においての接続がしやすく設定されることが同時に発表となっています。日中を中心とした多くの時間帯で、特急「うずしお」から快速「マリンライナー」への接続が10分以内となります。
これは、JR四国が進めている“持続可能な公共交通ネットワーク「四国モデル」の確立を目指す”一環として、パターンダイヤを導入していることにも関連します。
パターンダイヤとは一定の周期で発着が組まれるダイヤのことで、毎時の発着が同一分に設定されるダイヤのことです。例えば今回のダイヤ改正により、高松駅発の特急「うずしお」は9時~20時の時間帯においてすべて10分発になります。12時~21時台の快速「マリンライナー」が毎時5~7分の間に高松着になるため、実際には高松駅で3~5分の乗り継ぎ時間で、徳島行きの特急「うずしお」が発車することになります。
つまり岡山発着の特急「うずしお」は消滅してしまうものの、パターンダイヤを組むことで乗り継ぎのストレスをなくし、スムーズに徳島へと向かう乗客への配慮も同時に進められているのです。
初代と二代目、それぞれを見続けた岡山から「うずしお」が姿を消してしまう一方で、新しい「四国モデル」のダイヤが着々と進歩し続けています。寂しさはあるものの、ダイヤ改正ごとに進化するJR四国にも注目していきたいと思います。
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