1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

日英伊の次期戦闘機「“8か国”共同開発」の可能性も!? 「統合しようよ」「仲間に入れて」 足並み揃わぬ欧州

乗りものニュース / 2025年2月9日 11時42分

航空自衛隊のF-2戦闘機。GCAPはこの後継を開発するプロジェクト(画像:航空自衛隊)

日英伊の3国共同で進む次期戦闘機の開発プロジェクト「GCAP」に対し、仏独西の3国は「FCAS」を進めています。両者は「統合すべき」という意見が根強くあるほか、それぞれに参加したい“第4国”も存在。各国の足並みは揃うのでしょうか。

日英伊「GCAP」と仏独西「FCAS」統合されるべきなのか?

 日本、イギリス、イタリアの3か国による新戦闘機開発プログラム「GCAP」と、フランス・ドイツ・スペインの3か国による新戦闘機開発プログラム「FCAS」(Future Combat Air System)が、2~3年以内に何らかの形で統合される可能性がある――2025年1月15日付のロイターが、エアバスのギヨム・フォーリCEO(最高経営責任者)の言葉として報じました。

 GCAPは航空自衛隊が運用しているF-2戦闘機と、イギリス、イタリアの両空軍が運用しているユーロファイター戦闘機の後継機を共同開発するプログラム。「FCAS」はフランス航空宇宙軍が運用しているダッソー「ラファール」戦闘機と、ドイツ空軍とスペイン航空宇宙軍が運用しているユーロファイターの後継機を共同開発するプログラムです。

 GCAPは日本がF-2の退役を開始する2035年に新戦闘機の就役を望んでいることもあって、2024年12月にプログラムを管理する国際機関GIGO(ジャイゴ:グローバル戦闘航空プログラム政府間機関)を創設。今後は新戦闘機の設計、開発、納入などを行う3か国の合弁企業を設立してGIGOと契約し、本格的な開発に着手していくことになります。

 一方のFCASは2040年ごろの就役を目指して計画を進めていますが、フランスとドイツの主導権争いから2022年には長期に渡り開発が中断しています。

 この問題は2022年末に参加国の役割分担を定めた協定の締結で一旦解決を見ましたが、今後正式に計画に加わる見込みのベルギーに対して、フランスのダッソー・アビエーションのエリック・トラピエCEOが「なぜ今更、ベルギーに仕事を与えるのか理解できない」と述べて難色を示すなど、GCAPに比べれば順調に進んでいるとは言い難く、一時期は共同開発計画の消滅さえ噂されていました。

狙いは有人戦闘機というより“お供”?

 エアバスのフォーリCEOがGCAPとFCASの統合を主張したのはこれが初めてではなく、2024年3月にもイギリスの新聞「ガーディアン」のインタビューに答える形で、FCASとGCAPは統合すべきだと主張しています。

 フォーリCEOはその理由として、「安全保障環境が悪化しているのに我々(ヨーロッパ諸国)が協力しないのは愚かなことだ。これ(GCAPとFCASの統合)はヨーロッパが安全保障分野のプレーヤーであるか否かを決める決定的な瞬間だ」と述べています。

 実のところヨーロッパには、2つの新戦闘機開発計画がヨーロッパ内にあるのは無駄だという声が根強く存在しており、イギリスがイタリア、スウェーデンと協力して有人戦闘機「テンペスト」の開発を進めようとしていた時期から、ヨーロッパの政府・企業の要人や軍首脳などからテンペストとFCASの統合を望む声が多く上がっていました。

 ただ、イギリスが日本、イタリアと共同でGCAP計画を進める方針に転換してからは、完全な統合を求める声はあまり聞かれなくなりました。

 GCAPとFCASは、共に有人戦闘機とUAS(無人航空機システム)を組み合わせた戦闘航空システムですが、GCAPには今のところ有人戦闘機と行動を共にするUASを共同開発する予定はありません。フォーリCEOが2025年に「何らかの形で統合される」と述べているのは、ヨーロッパ諸国が導入するGCAPとFCASのUASを共同で開発したいという意味なのかもしれません。

GCAPに入りたい“第4の国”を「歓迎」

 イタリアのジョルジャ・メローニ首相は2025年1月27日、訪問先のサウジアラビアで、同国がGCAPに参加することを希望した場合、それを支持すると明言しました。GCAP計画に参画している国の首相がサウジアラビアの参加の支持を表明したのは、メローニ首相が初めてです。

 GCAPへのサウジアラビアの参加は、同国がイスラム教シーア派勢力に武力支援をしていることなどから、日本は難色を示しています。またイギリス議会軍事委員会も、配備計画や生産分担で混乱が生じる可能性があることから、パートナー国の追加は慎重に行うべきと報告していますが、メローニ首相の支持表明で、サウジアラビア参加の流れが加速していく可能性もあります。

 前にも述べた通り、イタリアはテンペスト計画に参加していましたが、その参加の署名を行った際にも、イタリア国防省は「ヨーロッパ間で無駄な競争を避け、世界市場で高い競争力を備えた次世代戦闘機を開発するには、FCASとテンペストは統合される方が望ましい」という趣旨のプレスリリースを配布していました。

 これはあくまでもテンペスト計画に対するイタリアの考え方ですが、イタリアがサウジアラビアの参加を支持するのと同様、ヨーロッパが安全保障分野のプレーヤーでありたいという政治判断を下すのであれば、GCAPとFCASで、UASの共同開発以上の統合がなされる可能性もあります。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください