激レアYS-11の機内に40年前の遺構が「TDAって何だよ!?」期間限定で披露します
乗りものニュース / 2025年2月6日 8時42分
茨城県にあるテーマパーク「ザ・ヒロサワ・シティ」には、戦後初の国産旅客機「YS-11」の量産初号機が保存・展示されています。このたび機内見学したら、30年以上前に姿を消した航空会社の“残り香”を見つけました。
YS-11量産初号機の機内公開は4日間だけ!
茨城県筑西市のテーマパーク「ザ・ヒロサワ・シティ」は、鉄道、クルマ、航空機などの展示エリア「ユメノバ」がオープン1周年を迎えることを記念して、戦後初の国産旅客機「YS-11」量産初号機の機内を見学できる事前予約制の操縦席特別搭乗体験を2025年2月8日から11日にかけて実施します。
運営元の広沢商事でテーマパーク・観光部門統轄を務める野口稔夫専務は「昨年(2024年)2月のオープン以来、機内はずっと見ることができなかった。ぜひ、この機会に見逃さず申し込んでほしい」と話していました。
ユメノバの「科博廣澤航空博物館」にはYS-11の量産初号機をはじめ、第二次世界大戦で旧日本海軍が多用し、南太平洋のラバウルで戦後発見されて日本に戻ってきた「ゼロ戦」こと零式艦上戦闘機や、南極観測で使用されカラフト犬の「タロ」「ジロ」の救出も行った海上保安庁のシコルスキーS-58ヘリコプターといった、国立科学博物館が保有している貴重な機体が展示されています。
博物館の中央に置かれているYS-11は、1962年8月に試作1号機が初めて飛行した、戦後の日本を代表する旅客機です。設計は輸送機設計研究協会とその後を継いだ日本航空機製造が担い、新三菱重工業(当時)や川崎航空機製造(同)、富士重工業(同)などが生産を手掛けています。ちなみに、東京オリンピックの聖火輸送にはANA(全日本空輸)がチャーターした試作2号機が使用されており、同社の機体には「オリンピア」の愛称が付けられました。
日本各地のローカル線へ投入されたほか、大韓航空や中華航空、オリンピック航空など海外エアラインにも採用されています。ただ、採算性が悪く、日本航空機製造の赤字も改善する見込みがなかったため、生産数は試作機2機を含めて182機に留まります。
東京オリンピック開催で羽田から茨城へ
科博廣澤航空博物館のYS-11は、試作機の改良結果を反映した量産初号機(登録記号JA8610)に当たります。初飛行は1964年10月23日で、運輸省航空局が飛行検査機「ちよだII」として1998年12月18日まで運用していました。
現存する機体としては、千葉県芝山町にある航空科学博物館の試作1号機に次いで古く、日本の航空史を語る上で欠かせない非常に貴重な機体です。引退後は運輸省から国立科学博物館に移管され、約20年にわたって羽田空港の格納庫で動態状態を保ったまま大切に保存されていました。
しかし、保安上の理由から常に一般公開することは難しく、国際化の進展に伴う施設の整備やビジネスジェットエリアの工事、保管格納庫の解体といった出来事も重なり、早期の移設を模索する必要がありました。羽田空港付近に航空機展示施設を作り、そこに設置する構想や相模原市内に展示する計画などがあったものの、結局は立ち消えとなっています。
「具体的な移設のきっかけは2020年に開催が予定されていた東京オリンピックだった。羽田空港にビジネスジェットの駐機場を整備するため、YS-11の新たな保管場所が必要になった」と前出の野口専務は述べています。2020年にザ・ヒロサワ・シティへの移設が行われたものの、今度はコロナ禍で国立科学博物館の財政状況が悪化したことで再組み立て費用が不足し、最終的に3000万円をクラウドファンディングで賄いました。
「東亜国内航空」を発見!
屋内保存が続けられているYS-11量産初号機の状態は非常に良く、機外にはコーションマークなどの表記が現役時代のまましっかりと残っています。機内は飛行検査機として使われていたため座席は少なく、「飛行検査データ解析卓」や「航法・検査用機器収納架」といった機器が置かれていました。
そのようななか、目を引くものも残っていました。それは室内に置かれている安全のしおりです。これは、なんと今はなきTDA(東亜国内航空)のものでした。ほかにも、コックピットにはアナログ計器やスイッチが並んでおり、ディスプレイ画面にデータが表示される現代の飛行機とは違う、YS-11が開発された当時の様子を令和の現在に伝えています。
野口専務は「スミソニアンではないが、民間が国の資産を守るような仕組みが作られて欲しい」と述べるとともに、「日本は戦後80年の間に飛躍的発展を遂げて今の地位がある。ここユメノバには日本の近代史を代表する機械が集まっており、産業復興を支えてきた技術をぜひ見てほしい」と話してしました。
「ユメノバ」では2月8日に鉄道模型レイアウトやインベーダーゲームなどを遊べる「ジオラマ・ゲーム館」がオープンします。ほかにも、館内には1987年4月に廃止された筑波鉄道筑波線の時刻表や運賃表なども展示。さらに8日と9日にはラジコンボート操船体験も行われます。
2月8日から11日にかけて実施するYS-11量産初号機の操縦席特別搭乗体験は、電話(0296-48-7417)で事前に申し込む必要があります。参加料金は1家族1000円。世界中の空を飛んだ国産旅客機のコクピットを見る貴重なチャンスです。ぜひ、この機会に訪れて触れてみてください。
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