ゴミ収集業界を悩ませる“リチウム電池”…なぜ?危険すぎて「収集車変えざるを得ない」状況も
乗りものニュース / 2025年2月7日 7時42分
繰り返し充電でき、持ち運びも便利なリチウム電池は今や様々な電化製品に使われています。しかしこれらの製品は、ゴミ収集や資源回収の現場で大きな問題となっています。
ゴミ収集との相性が最悪なリチウム電池
小さくても大容量の電力を蓄えることが可能で、繰り返し充電して使用できる電池という便利さゆえに、ここ数十年で広く普及しているリチウムイオン電池。しかし、この便利な電池が、働く人々を悩ませている職場があります。ゴミ収集や資源回収の現場です。
太田プロダクション所属のお笑い芸人のかたわら、ゴミ清掃員としても活動しているお笑いコンビ「マシンガンズ」の滝沢秀一さんは、清掃車火災の原因になるとして、定期的に公式Xでリチウムイオン電池に関する注意喚起を行っています。
2025年2月3日にも、「小型充電式電池は日常生活で沢山使われています。清掃車火災の原因になるので、家庭ごみで出さないようにお願いします」と公式Xに投稿。さらに、「回収に協力していただければ、資源として再利用できます。充電池に使われている希少金属は日本では取れないので、協力いただけると嬉しいです」と資源としても使えることも呼びかけていました。
リチウムイオン電池は強い衝撃や圧力を与えると、激しく発火する性質がありますが、この性質が清掃業や資源回収に従事する人たちの悩みの種になっています。ゴミ収集や資源の回収で使う、プレス機でゴミを圧縮するゴミ収集車(パッカー車)との相性が最悪だからです。
あまりに危険すぎてパッカー車をやめる業者も
主に板橋区内で資源回収を行っている千葉商店株式会社の千葉 仁(ちば じん)社長は「段ボールなどの資源に関してもたまに(リチウム電池が)紛れていることがあります」と話します。
資源で段ボールを外に出す場合、大きな段ボールや資源回収用の箱の中に他の段ボールを畳んで差しておくことがよくあります。この段ボールのなかに、なぜか小型のリチウムイオン電池などが紛れていることがあるそうです。
「ちゃんと中身を調べずに、知らずにパッカー車でまとめて潰して、発火してしまったという話も聞いたことがあります。私たちのところでも実際に段ボールの中にバッテリーがあることを発見し、ヒヤッとした経験もあります」(千葉さん)
千葉さんも会社では段ボールのほかにも、マンションの廃棄物処理など個別の依頼などで、ゴミなどの回収を行うこともあります。その際はやはり、可燃ごみ、不燃物両方に混じるリチウムイオン電池の確認は大変とのことです。
「モバイルバッテリーのような目立つものだけでなく、どんな製品にも今はリチウムが使われています。例えば、歯ブラシのバッテリーも今はリチウムであるものが多いですし、小さい手持ちの扇風機なども使用しています。こうしたものをひとつひとつ確認して、車両に詰め込まないといけません」(千葉さん)
仮にパッカー車の中で炎上してしまった場合、コンテナの中から消火する手立てはなく、消防の協力で消火できたとしても、そのクルマは使用できなくなります。パッカー車は小型の場合でも400〜600万円、中型、大型になればそれ以上の値段がかかり、大きな損害になる上に作業員も危険にさらされます。
幸いにも車両が炎上しなかったとしても、ゴミ収集の現場におけるリチウムイオン電池の危険性はこれだけではありません。ゴミの集積場や資源回収センターで燃えるというケースがあるのです。
「リチウム電池が衝撃を受けて、パッカー車のなかでくすぶっているというケースがあります。その場合、処理場で水や空気に触れて激しく燃えてしまいます。実際に処理場が火災に見舞われたケースも聞いたことがあります」(千葉さん)
どこにリチウムイオン電池があるか分からないということで、不燃物の回収車では、パッカー車を使用せずに平トラックを使う業者も増えているとのことです。
「危険があるなら、『パッカー車を諦めよう』と考えるところも多いですね。手間は増えますが、確実なので」(千葉さん)
リチウム電池に関する火災などの問題を減らすには、最初に捨てる人の確認が必要です。リサイクルマークに加え「リチウムイオン電池」の表記があった場合は、自治体のホームページなどを確認するのが一番確実です。
【動画】一瞬で炎が…、リチウムイオン電池が破損して発火する瞬間
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