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箱根・芦ノ湖で「異色の観光船」が運航開始! 「お茶」を五感で楽しめる船内がスゴかった まさに「湖に浮かぶ茶室」!?

乗りものニュース / 2025年12月23日 9時42分

富士急グループの箱根遊船が運航する新観光船「大茶会」(乗りものニュース編集部撮影)

箱根の芦ノ湖で、「お茶」をテーマとする珍しい観光船「大茶会」が運航を開始しました。

新観光船「大茶会」が運行開始

 箱根の芦ノ湖で、「お茶」をテーマとする新観光船「大茶会(だいちゃかい)」が2025年12月20日(土)から運行を開始しました。同船は1986年に就航した既存の遊覧船を大幅に改装して生まれ変わった船で、建築家の川西康之さんがデザインを担当。船内には多様な居場所が設けられ、思わず散策したくなるような空間となっています。

「大茶会」は、富士急グループの箱根遊船が運行しています。箱根遊船の遊覧船は、2022年まで西武グループの伊豆箱根鉄道が運営していました。元々は、西武グループの源流の一つである「箱根土地」が、芦ノ湖の渡船組合を統合して観光船事業を独占し、日本初となる双胴船も導入しています。

 これに対し、戦後に設立された小田急グループの「箱根観光船」が、芦ノ湖で海賊船を模した遊覧船の運行を開始し、西武と小田急の対立が激化。「箱根山戦争」と呼ばれた熾烈な交通シェア争いが繰り広げられました。

 その後は両者が協力して箱根エリアを盛り立ててきましたが、伊豆箱根鉄道は近年、箱根地区の事業を縮小し、富士急グループへ交通事業の一部を譲渡した経緯があります。

 今回就航した「大茶会」は、1986年に就航した既存船「十国丸」を、2億7000万円かけて大幅に改装した船となります。主に塗装や内装、座席などが刷新されました。なお、改装は芦ノ湖の北にある湖尻港の桟橋で実施されています。

 デザインを担当した川西康之さんはこれまで、JR西日本グループの高速船「SEA SPICA」や273系電車の特急「やくも」、2024年2月に箱根・芦ノ湖で就航した「箱根遊船 SORAKAZE」などを手がけてきました。約40年も活躍してきたベテラン船が「川西デザイン」で生まれ変わったのです。

 船は3階建てで全長28.8m、全幅11.6m、総トン数341トン。箱根関所跡港~元箱根港~箱根園港~湖尻港(約11.3km)で運行されています。

 富士急行は「大茶会」の就航に先立ち、2025年12月18日(木)に同船のプレス内覧会を実施。デザインを手がけた川西さんも参加し、改装のポイントを船内で説明しました。

船内はまさに「湖に浮かぶ茶室」

 川西さんは「お茶をテーマにした乗り物は、簡単ではなかったというのが率直な感想です」と前置きしたうえで、「1587年(天正15年)に豊臣秀吉が京都の北野天満宮で開いた北野大茶湯のように、身分や立場に関係なく、茶碗1杯で一期一会の旅を楽しめる船を提案しました」と話します。

 改装前の船内は、1階に3人掛け席、2階に2人掛けと4人掛け席がズラリと並び、3階は遊歩甲板となっていました。改装前の課題として、1階に乗客がとどまり、2階と3階に上がらない課題があったといいます。

「そこで、デザインの役割として上の階へ行ってみたいと思っていただける空間を散りばめています。ぜひ船内を歩き回り、美味しいお茶と共に、あっという間の芦ノ湖の旅を楽しんでいただければと思います」(川西さん)

 2階には金色に輝く畳席の茶室「金風庵」、3階屋外デッキの船尾側には、丸窓から芦ノ湖や富士山を眺めることができる茶室「緑風庵」が設けられ、まさに「湖に浮かぶ茶室」となっています。加えて、3階屋外デッキの展望席は、茶畑を連想させる開放的なベンチ「茶畑だんだん」に姿を変えています。

 さらに、船内には新たに売店が設置され、抹茶体験セットや限定ボトルで楽しめる緑茶、「茶葉ケーキ」や「大茶会プリンアイス」などを購入できるようになったことも大きな特徴です。

 定員は改装により、「十国丸」時代の700人から595人に減少しましたが、乗船客のニーズに合わせて思い思いの時間を過ごすことができる空間が増え、乗ること自体が旅の思い出になる船に生まれ変わりました。(乗りものニュース編集部)

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