東海道・山陽・九州新幹線「N700系」どんな車両? 300km/h復活、改良「N700A」も走る

乗りものニュース / 2019年9月23日 6時0分

東海道・山陽新幹線に導入された16両編成のN700系(2011年10月、恵 知仁撮影)。

N700系電車は東海道・山陽・九州新幹線の新幹線車両。500系より遅い700系をベースにしつつ、最高速度は500系と同じ300km/hにアップしました。のちに改良型の「N700A」が登場。さらにN700Aの改良型となる「N700S」もまもなく登場します。

700系ベースに500系並みの最高速度を実現

 N700系電車は東海道・山陽新幹線の現在の「主役」。2005(平成17)年、700系電車の「次」(Next)を担う「新型」(New)車両として先行試作車が開発されました。いまは九州新幹線でも運転されています。

 700系をベースにした車両といえますが、ノーズ(先頭車の先端から後方に向けて車体が大きくなっていく部分)は大きく変わり、「エアロ・ダブルウィング」という、鳥が両翼を大きく広げたような形になりました。営業運転での最高速度は、東海道新幹線では700系と同じ270km/hでしたが、山陽新幹線では700系より15km/h速い300km/hで、500系と同じになりました。

 スピードアップすると騒音や振動が大きくなるため、500系は長いノーズを採用したり、車体を円筒形にしたりして騒音や振動を抑えましたが、その分客室が狭くなりました。N700系では「遺伝的アルゴリズム」という解析手法を用いるなどして車体の形状を研究。その結果、ノーズの短いエアロ・ダブルウィングを採用するなどして、客室を狭くすることなく騒音や振動を抑えることができ、最高速度を再び300km/hに引き上げることができました。

 それだけではありません。カーブでは遠心力で乗り心地が悪くなるため、通常は速度を落とさなければなりませんが、N700系は車体を内側に少し傾けて遠心力を抑える装置を搭載。速度を落とさず乗り心地を改善しました。ほかにも、車両と車両のあいだにある隙間をホロで完全に覆い、すべての車両にセミアクティブサスペンションを搭載するなどして、乗り心地の改善や騒音、振動の軽減を図っています。

 サービス面では時代の変化に対応。コンセントはグリーン車全席と普通車の窓側、最前列、最後列の各席に設置され、インターネット接続サービスの提供にも対応しました。また、セキュリティ対策として防犯カメラを設置。全車禁煙になり、一部の車両のみ喫煙ルームが設けられました。

見た目の違いは「A」の大きさ

 N700系は東海道・山陽新幹線用の16両編成が2007(平成19)年にデビュー。当初は「のぞみ」を中心に使われ、のちに「ひかり」や「こだま」でも使われるように。2009(平成21)年に先行試作車を使って行われた高速試験では332km/hを記録しました。

 2011(平成23)年に九州新幹線が全線開業すると、山陽・九州新幹線用の8両編成がデビュー。新大阪~鹿児島中央間を直通する「みずほ」「さくら」で使われています。車体は薄い青をベースに濃い青と金色を組み合わせた帯を巻いたデザインに。普通車の指定席はグリーン車と同じ4列です。

 2013(平成25)年にはN700系の改良型「N700A」が東海道・山陽新幹線でデビュー。台車の振動を検知するシステムや、自動的に一定の速度で走り続ける装置を搭載し、東海道新幹線での最高速度は285km/hに向上しました。従来の東海道・山陽新幹線用N700系もN700Aに改造されましたが、改造車は台車振動検知システムを搭載していません。

 外から見た限りでは、最初からN700Aとして製造された車両と、従来のN700系をN700Aに改造した車両の姿はほとんど同じ。ただ、側面のロゴマークはデザインが異なり、「最初からN700A」はアルファベットの「A」が大きく描かれているのに対し、「改造N700A」は小さな「A」を追加しています。

 2019年4月1日時点の車両数は、東海道・山陽新幹線用が2544両、山陽・九州新幹線用が152両。東海道新幹線の列車はN700Aにほぼ統一されました。2020年にはN700Aの改良型となるN700Sが東海道・山陽新幹線に導入される予定。いまは確認試験車による走行試験が行われています。

 ちなみに、N700系の先行試作車もN700Aに改造されましたが、営業運転を一度も行わないまま引退。2019年7月から先頭車を含む3両がリニア・鉄道館(名古屋市港区)で一般公開されています。

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