【週末映画コラム】殺人犯と少年たちが繰り広げる心理戦『ゴールド・ボーイ』／日本の劇映画で初めて「eスポーツ」を取り上げた『PLAY! 勝つとか負けるとかは、どーでもよくて』

(C)2024「ゴールド・ボーイ」製作委員会

『ゴールド・ボーイ』（3月8日公開）

　沖縄のグループ企業の婿養子である東昇（岡田将生）は、ある目的のため、義理の両親（矢島健一、中村久美）を崖の上から突き落として殺害する。

　目撃者はおらず、完全犯罪かと思われたが、3人の中学生（羽村仁成、星乃あんな、前出燿志）が偶然撮った動画に殺人の様子が映り込んでいた。

　両親の離婚やDVなど、それぞれが複雑な家族の問題を抱える少年たちは、東を脅迫して大金を手に入れようと画策するが…。

　サイコパスな殺人犯と、金を求めて彼を脅す少年たち。二転三転する駆け引きの末に待ち受ける衝撃の結末とは…。殺人犯と少年たちが繰り広げる心理戦の行方を描いたクライムサスペンス。

　原作は、中国のベストセラー作家・紫金陳（ズー・ジンチェン）の 『坏小孩（悪童たち) 』。動画サイト「iQIYI（アイチーイー）」でドラマ化され、総再生回数20億回を突破する大ヒットを記録した。

　今回は、金子修介監督が舞台を沖縄に移して映画化。脚本は港岳彦氏。黒木華、松井玲奈、北村一輝、江口洋介らが脇を固める。

　そんなこの映画は、「刑事コロンボ」や「古畑任三郎」といったドラマと同様に、初めに犯人と犯行を見せる倒叙（とうじょ）形式が取られている。

　そうなると、普通は犯行の動機や、犯行を暴こうとする刑事と犯人との丁々発止のやり取りが見どころとなるのだが、この映画はそうした定型とは違い、東が犯した殺人は発端に過ぎず、中学生たちが彼を脅迫するところから本筋が始まるというユニークな展開を見せる。

　その中で、岡田のサイコパスぶりと、彼と3人の中学生役との演技合戦が見どころとなるのだが、特に3人の中心人物である安室朝陽役の羽村の演技が素晴らしい。

　そして、最後は驚くべき結末が用意されているが、それはここでは語れない。金子監督はかつて『デスノート』（06）を撮っているが、この映画もある1冊のノートが事件の鍵を握るとだけお伝えしておこう。ぜひ、映画館に行って自分の目で確かめてほしい。

『PLAY! 勝つとか負けるとかは、どーでもよくて』（3月8日公開）

　徳島県の高等専門学校に通う郡司翔太（奥平大兼）は、「全国高校eスポーツ大会メンバー大募集」という校内に貼り出された勧誘ポスターに興味を持ち、ポスターを作った1学年先輩の田中達郎（鈴鹿央士）に連絡を取る。

　達郎は1チーム3人編成のeスポーツ大会「ロケットリーグ」に出場するため、翔太に加えて、Vtuberに夢中の小西亘（小倉史也）にも声を掛け、半ば強引にチームを結成する。