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“ジョジョ”とディオがあの名シーンを目の前で再現 ミュージカル「ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド」公演リポート

エンタメOVO / 2024年3月19日 12時0分

 そして、フライングの使い方が実にうまい。フライングをただの華やかな演出の一つとするのではなく、必然性があるから取り入れているだけ。あくまでも表現のための一つの手段にすぎない。特に1幕ラストの“ジョジョ”とディオの最初の対決シーンで、ディオが落ちていく姿をフライングとプロジェクションマッピングで表現したのは見事だった。

 また、“ジョジョ”の世界観が演劇的な芝居と相性が良く、それゆえ違和感なく、引きずり込まれるようにその世界に連れて行かれるというのもこの作品が成功している要因の一つであろう。ステージに設けられた、半円形の坂と黒く空いた穴が印象的なシンプルなセット(場面によってこれが稼働する)で、ダンスや身体表現を多用したことも観客の想像力をより働かせ、世界を構築しやすくしているのかもしれない。

 “ジョジョ”を演じた松下は、ソロアーティストとしても活躍する俳優で、伸びやかな美しい歌声が特徴だ。“ジョジョ”を演じるにあたっては、言葉を一つ一つ丁寧に置いていくように話しており、それが“ジョジョ”の正義感を表しているかのように感じた。冒頭の“いかにもおぼっちゃま”といったあどけなさから、自分の正義を貫く強さを持った青年へと成長する過程を繊細に演じ、本作で存在感ある主演の姿を見せつけた。

 一方、ディオ役の宮野は狂っていく過程を自然に見せていたのが印象深い。1幕冒頭のソロナンバー「ディオ」では苦悩に満ちた自身の環境を切々と歌い上げ、観客の共感を誘う。ところが、物語が進むにつれ、怒りが増大し、狂気に支配されるディオ。石仮面の力を手に入れてからのディオの変化を宮野は驚くほどの振り幅で体現する。宮野が普段から持つ穏やかな空気や甘い声音が消え、「ジョーーーーージョーーー」と呼びかける姿は気持ち悪さすら感じさせた。声優として、そして俳優として数々の舞台でその実力を発揮してきた宮野の面目躍如。幅広い演技に拍手を送りたい。

 こうして色々と本作のポイントを書いてきたが、何よりも、“ジョジョ”が、ディオが、目の前で、漫画で見たシーンを再現することこそが最大の醍醐味(だいごみ)であると思うし、それこそが、漫画を舞台化する意味だと思う。ぜひ、その感動を味わいに劇場に足を運んでもらいたい。

(取材・文/嶋田真己)

 ミュージカル「ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド」は、今後、3月に札幌、4月に兵庫で上演予定。4月13日17時の兵庫公演、14日12時の兵庫大千穐楽公演のLIVE配信を予定。

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