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「とにかく絵柄に没入感があるので、すっと入り込みやすいというのが注目ポイントです」 神田伯山『クラユカバ』【インタビュー】

エンタメOVO / 2024年4月11日 8時0分

-この作品は、昭和初期のようなレトロな世界観がよく出ていますが、伯山さんはどのように感じましたか。

 探偵とレトロはぴたっと合うなと思いました。探偵という職業はやっぱりどこかミステリアスだし、探偵の奥にあるものは不思議な世界だと思うんです。映画の時代背景は明言されていませんが、昭和の時代ってどこかうさんくさくてインチキくさいところもあって、すごく閉ざされていて、良くも悪くも隠ぺいされているとこもある。だから探偵が何かを発見していくというのとは非常に相性がいい。僕はこのレトロな雰囲気を持つ塚原監督の作品と探偵はばっちりハマるという印象を受けました。でも、ただのレトロではなくてあり得ないキャラクターも出てきて、現代の令和のエッセンスみたいな味付けもされているので、ただ過去を振り返るだけではなくて、ちょっと未来も向いているような空気というのは、とてもこの主題に合うと思いました。

-声優は難しかったということですが、アフレコをしながら何か感じたことはありましたか。

 僕は現場がきつい方が仕事としてはいいんじゃないかと思います。黒澤明や小津安二郎の映画は明らかにきつい現場だったろうと思います。ものにもよるでしょうが、きつい現場だったからこそ後世に残るものができたんじゃないかなと。僕は、すごく葛藤して、どうしたらいいんだと悩んで、迷った上で作っている人の映画の方が見たいです。だから、そういう意味では、今回はいい映画になったんじゃないかなと思います。僕と監督との間には、本当に終わるのかという緊張感がありました。だから、その葛藤を経て、ちゃんと厳しくやってくれて、最後にオーケーとなったので、ああ良かったなと。それがいい現場の証しじゃないかと思いました。もっとも本当に声優がしっかりしていたら、すぐ終わると思うんですけど(笑)。それを証拠に他の声優さんはビシッとすぐ終わったそうです。さすがですね。

-塚原監督の印象は?

 監督は、岡本喜八の映画が好きだと言っていて、でも岡本監督はちょっと異色じゃないですか、『ジャズ大名』(86)とか『独立愚連隊』(59)もそうですけど、ポップな作品がいろいろある。監督はあのポップさみたいなものに憧れていると思うんですけど、この映画に関してもそれを感じます。これからさらに、岡本喜八色がどんどん出てきて、より面白い映画をますます撮っていかれるんでしょうね。「クラガリにひかれるな」という印象的なせりふがこの映画にありますが、塚原監督の今後はますますひかれるものになるでしょう。

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