「光る君へ」第二十五回「決意」まひろを物語の中心に立たせる道長との絆【大河ドラマコラム】
エンタメOVO / 2024年6月29日 7時53分
NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。6月23日に放送された第二十五回「決意」では、越前から都に戻った主人公・まひろ(吉高由里子)が藤原宣孝(佐々木蔵之介)の妻になることを決意する過程や、政務をおろそかにする一条天皇(塩野瑛久)に頭を痛める藤原道長(柄本佑)らの姿が描かれた。
この回を含め、本作を見ていて毎回感心させられるのが、絶妙な物語運びのうまさだ。まひろや道長を始め、多数の登場人物が織りなす生き生きとした物語に毎回、くぎ付けになっているが、冷静に分析してみると、今までの大河ドラマの常識を覆す部分も多い。
その最たるものが、主人公のまひろだ。われわれ視聴者は、彼女を歴史に残る長編文学「源氏物語」の作者として見ているが、劇中のまひろ自身にはまだそんな意識はない。それどころか、作家を目指してすらいない。ただ自分の日常を一生懸命に生きているだけだ。大河ドラマの主人公というと、「世の中を変える」という大志や野心を抱いて突き進むイメージがあるが、まひろはそれとは程遠い。
近年の大河ドラマの主人公で、多少まひろに近いタイプといえるのが、「鎌倉殿の13人」(22)の北条義時だ。中盤からは周囲を圧倒する権力者に変貌していったが、前半の義時は野心もなく、ただ穏やかに日々を過ごすことを望んでいた。とはいえ、義時は平家打倒を目指す主君・源頼朝の側近として、序盤から物語の中心にいた。
これに対してまひろは、政治をつかさどり、世の中を動かす内裏からも縁遠く、その様子は父・為時(岸谷五朗)や時折訪ねてくる宣孝、ききょう(ファーストサマーウイカ)といった知人たちからうわさとして聞くだけだ。
にもかかわらず、まひろは主人公として、しっかりと物語の中心に立っているように見える。その絶妙なバランスを成立させているのが、道長の存在だ。左大臣となった道長は、内裏で政治を動かす役割を担い、大河ドラマらしい歴史のダイナミズムを物語に加えている。そんな道長とまひろの関係を序盤でしっかりと描いていたからこそ、まひろが作品の中心に立っていられるのだろう。場面転換の際、2人の表情でつなぐことが多いのも、その固い絆を印象付けるうえで効果的だ。
とはいえ、ただ漠然とまひろの日常を描いているわけではなく、われわれの気付かないうちに、源氏物語執筆に至る伏線が随所にちりばめられているに違いない。この回冒頭では、まひろが為時とともに越前の紙すきを見学する場面があったが、先日、本作の題字・書道指導を担当する根本知氏の講演を取材した際、「文字のにじまない紙が発明されたことで長編の執筆が可能になり、源氏物語の誕生につながった」と語っていた。劇中ではこれが後に、どんなふうに生きてくるのか、気になるところだ。
そういったプロセスを踏まえ、これからまひろの物語はどこへ向かうのか。まひろが宣孝の妻となり、道長もそれを知ったことで、2人の関係にも変化が起きそうだ。早くも折り返しというのもあっという間な気がするが、この先の展開を注視しつつ、引き続き期待を込めて見守っていきたい。
(井上健一)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「光る君へ」第25話、まひろの結婚を聞いた柄本佑“道長”の表情に注目集まる
cinemacafe.net / 2024年6月23日 23時30分
-
「光る君へ」不実婚 宣孝ドヤ顔マウント報告→まひろ「道長の字じゃ…」ネット反響「佐々木蔵之介無双」
スポニチアネックス / 2024年6月23日 20時48分
-
「思いを伝えに越前に来たのではない」? 宣孝がまひろに心を動かされた瞬間は…【佐々木蔵之介が語る】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月16日 21時15分
-
「光る君へ」宣孝・佐々木蔵之介 まひろへの電撃求婚「心がゴロゴロっと動いた 用意してきたわけでは」
スポニチアネックス / 2024年6月16日 21時2分
-
まひろのもとに宣孝から恋文がマメに届き…/「光る君へ」第25話あらすじ
日刊スポーツ / 2024年6月16日 20時46分
ランキング
-
1「ウェザーニュース」キャスター駒木結衣が結婚発表「これからもお天気や季節の情報をお伝えしていきたい」
スポニチアネックス / 2024年6月29日 23時3分
-
2滝藤賢一 「虎に翼」で共演中の俳優ベタ褒め 以前から注目「俺の目は間違ってなかった」
スポニチアネックス / 2024年6月29日 20時28分
-
3ニコール・キッドマン娘、母親と「双子コーディネート」披露...15歳とは思えぬスタイルで話題さらう
ニューズウィーク日本版 / 2024年6月30日 7時0分
-
4二宮和也、ファンクラブ開設で保身感浮き彫りに、「嵐とニノ」の二重取り搾取
週刊女性PRIME / 2024年6月29日 19時0分
-
5和田アキ子 年上なのに呼び捨てで呼んでいるタレントと食事会 かつて共演「向こうはお姉ちゃま~だから」
スポニチアネックス / 2024年6月29日 16時33分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)