【週末映画コラム】モーリス・ラベルの数奇な人生を描いた『ボレロ 永遠の旋律』/意外と硬派な青春学園ドラマ『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』
エンタメOVO / 2024年8月9日 8時0分
※アンヌ・フォンテーヌ監督インタビュー掲載中。
『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』(8月9日公開)
文学マニアの所結衣(藤吉夏鈴)は、憧れの若手作家・緑町このはが在籍しているという名門・櫻葉学園高校に入学するが、肝心のこのはは正体不明の存在だと知る。
入部を希望していた文芸部の部長・西園寺茉莉(久間田琳加)から、入部の条件としてこのはの正体を突き止めてほしいと頼まれた結衣は、このはの情報を持っているという新聞部に潜入することに。
結衣は、部長の恩田春菜(中井友望)やジャーナリスト魂に燃える部員の杉原かさね(高石あかり ※高=はしごだか)に振り回されながら新米記者として活動するうちに記者の仕事の魅力に気付き始める。やがて学園の隠された闇を知った結衣は決断を迫られる。
アイドルグループ「櫻坂46」の藤吉が映画初主演。高校の新聞部を舞台に、大人たちの闇を暴いていく高校生たちの姿を描いた社会派エンターテインメント。監督は小林啓一。宮川彰太郎の原案を基に大野大輔が脚本を手掛けた。
この映画は、コメディータッチの青春学園ドラマの体裁を取りながら、癒着や犯罪のもみ消しといった社会の縮図ややらせコンテストの実態を暴いてみせる。また、同じ物書きでも作家と記者の違いや、文学とルポの違い、あるいはゴーストライターの存在などを描くなど、結構硬派なところがあるのが面白い。
ちなみに、タイトルの「トロッ子」はトロッコ(手押し車)のことで、一人前の記者(汽車)にかけて、まだ記者になれない半人前の記者のことを指す。
『野球部に花束を』(22)の監督役に続いて、高嶋政宏(※高=はしごだか)が注目の若手俳優たちに混ざって悪徳理事長役を楽しそうに演じている。また、藤吉や高石は『サマーフィルムにのって』(20)の河合優実のように、この後大化けするかもしれないと感じた。
(田中雄二)
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