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「一番の願いは、本当の侍を目撃してほしいということです」『侍タイムスリッパー』安田淳一監督【インタビュー】

エンタメOVO / 2024年8月19日 10時24分

-新左衛門役の山口馬木也さんが素晴らしかったです。

 撮影中は山口馬木也という俳優と話している感じがしないんです。劇中の新左衛門本人と話している感じしかしなくて、本人が本人をやっている感じで、ちょっとしたお芝居も、本当に細かくやってくれるから、馬木也さんのアイデアに関しては、僕は何も言うことがなくて、ほぼ馬木也さんにお任せしていました。最初にあの衣装を着て一緒に歩いてくれた時に、「僕はこういうふうにしゃべりたいと思うんですよ」って、新左衛門のようにちょっと会津弁ぽくしゃべってくれたのを聞いていたら涙が出てきました。この脚本を書いてから3年ぐらいたってからクランクしたのですが、「新左衛門ってこういう人だったんだ」ということがすごく実感できたんです。今は本当に馬木也さん以外に新左衛門は考えられないと思っています。

-殺陣も素晴らしかったです。

 殺陣は、全体的にはテレビ時代劇のものを意識してやったんですけど、ラストだけはちょっと変えなければならなかった。今ふうの剣戟(けんげき)アクションにはしたくなかったので、時代劇のオーソドックスな殺陣の撮り方でクオリティーの高いものを目指しました。ただ、裏テーマとして、お客さんが、最後の殺陣は真剣を使っていると錯覚するようなものにしたいと思っていろいろと考えました。それで、相手に打ち込むまでの間(ま)をしっかり取ると、割と真剣でやっているように見えるという効果があることに気付きました。

-この映画は福本清三さんにささげられていますね。

 本当は福本さんに殺陣師の役で出てもらいたかったんですけど…。今回は衣装部の人が「福本さんが着ていた衣装です」と言って用意してくれたり、馬木也さんも全力で福本さんふうのエビ反りをしてくれたりしました。福本さんが亡くなった時に、奥さまが「死んでしまうシーンばっかりだから」と福本さんの作品を全然ご覧になれなかったそうです。それで優しい農家のおじいちゃんを演じてくださった前作『ごはん』のDVDを福本さんの担当の方に託しました、すると奥さまからすぐ「これが本当の福本です」というメールを頂きました。「侍タイムスリッパー」も見てくださって、奥さまが目を潤ませて僕の手を握り締めてくださいました。福本さんへの思いがたくさん詰まっているので分かっていただけたのかなと、とてもうれしかったです。

-監督をやって、脚本も書いて、編集もして、1人で何役もやっているんですよね。

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