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吉田恵里香氏「みんなが自分の望む場所に立てることが大切」 「虎に翼」脚本家が作品に込めた思い(前編)【インタビュー】

エンタメOVO / 2024年9月15日 12時0分

-その中で、第1回から寅子と共に歩んできた花江に託した思いをお聞かせください。

 花江は、社会に出て働くより、家庭を守ることに幸せを感じる人で、もう1人の主人公のつもりで描いていました。現代も、社会に出てバリバリ働く人がいる裏で、それを支えるために誰かが生活のケアをしなければいけない社会構造があります。言ってみれば、二人三脚のはずなのに、なんとなく支える側が世間から“二軍扱い”されてしまう。そこに大きな違和感がありました。家庭を円満に保ち、黙っていても食事が出て、清潔な家で暮らす心地よさは、その人の努力なしにはありえません。それが、どれほど大変なことか知ってほしいと思い、花江はその道のプロのつもりで描きました。

-なるほど。

 とはいえ、家事をすべて1人で担うのではなく、家庭はみんなで支え合うべきと考え、猪爪家は途中からそういう方向に変わっていきました。ただし、その主戦力は、あくまでも花江です。だから、同居する嫁・姑問題を始め、彼女のいろいろな考えも見えてくるようにしました。仮に、花江視点の“「虎に翼」 side 花江”版があったとしても、きちんと成立するようにしたつもりです。

-一方、女性の生き方を軸にした物語の中で、男性を描くにあたって意識したことは?

 「女性の社会進出」や「女性の生きづらさ」を描いた作品ではありますが、それは社会に生きるすべての人の生きづらさにつながると思っています。“男性の特権”のようなものもあるとは思いますが、逆にそれゆえ生きづらさを感じたり、しんどい思いをしたりする男性もいるはずです。また、女性が生きやすくなることで、男性が生きにくくなるのもおかしな話で、全ての人が生きやすいのが、本来あるべき社会の姿ではないでしょうか。だから、その点は気をつけて描いたつもりです。

-一見、女性の社会進出に理解あるようでいて、最終的に寅子を傷つけてしまった恩師の穂高教授(小林薫)のような人もいましたが。

 男女を問わず、全てに関して善人でいられる人はいないと思っています。理解あるように見えて傷つけてしまう人もいれば、全く理解できない人もいる、というように、キャラクターのグラデーションは意識しました。私自身にもある意味、穂高先生的な部分はあると思っていますし、「これだけ寄り添ってあげているのに」という押しつけがましい気持ちが少なからず生まれてしまうのが人間です。寅子だって常に正しいわけではなく、間違えることもあります。問題は、そこといかに向き合っていくか、です。だから、変に美化することなく、誰だって間違えるし、誰にでも駄目なところがあるというのは、すべての登場人物について心掛けていました。

(取材・文/井上健一)


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