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「この映画が見た人にとって突っ張り棒みたいな存在になったらうれしい」「一見交わりそうもない人たちが、だんだんと点が線になっていく感じが面白い」草野翔吾監督、中村蒼『アイミタガイ』【インタビュー】

エンタメOVO / 2024年11月1日 11時0分

-監督、これは群像劇なので、中村さんや黒木華さんをはじめ、草笛光子さんら、豪華なキャストが出ていましたけど、皆さんを演出するのは楽しかったですか、それとも大変でしたか。

草野 これだけの人が集まっているのでそれを見ているだけでも楽しかったです。草笛さんと黒木さんと安藤玉恵さんが3人でいるシーンを撮っている時にふとわれに返ってしまいました。僕がこの3人を相手に監督ができるわけがないと急におじけづいてその場から逃げたくなってしまいました。そんなことがあったぐらい、今、目の前ですごいものを見ていると思う瞬間が何度もありました。

中村 僕は、今回お会いしていないんですけど、草笛さんはどんな方なんですか。

草野 僕はせりふは俳優さんが言いやすいように言ってくださって結構ですと、どの俳優さんにも言うんですけど、草笛さんは「私ならこういう言い回しの方がいいと思うんだけど」とか、一つ一つのせりふに対してチャーミングに明るく提案をしてくださるんです。草笛さんほどの方でも、脚本家や監督という役職に対するリスペクトの気持ちを持っていらっしゃるんだなと。草笛さんを通して日本映画の伝統を垣間見た思いがしました。ご一緒に撮影をする1秒1秒が何物にも代え難い経験みたいな感じでした。

-澄人を演じる上で気を付けたことや心掛けたことはありましたか。

中村 澄人は、最後は梓に「この人と一緒にいたい」と思ってもらえるような人間じゃないと駄目なので、ちゃんと先が見えるというか、この人と一緒なら自分の人生を歩めると思ってもらえるような関係を築けていけたらと思いながら演じさせてもらいました。黒木さんはすてきな役者さんなので、その相手役をやるというのは、すごく光栄でしたし、とてもうれしかったです。

-監督の演出はいかがでしたか。

中村 監督は、僕たちが最初にやったことを踏まえて自由にやらせてくださったので、決められたものではなくその時に出たものにちゃんと反応してお芝居ができるということで、伸び伸びとやらせてもらいました。

草野 佐々部監督はどんな感じだったの。

中村 僕が佐々部監督の映画に出させていただいた時は、フィルムで撮っていたので、カメラの真下にずっといらっしゃって、近距離で見ておられて、とても緊張感のある現場でした。でも、すごく優しくて、監督の前で小手先のお芝居や表面的なお芝居をしたら、絶対にバレそうな感じがする雰囲気が漂っていました。

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