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【週末映画コラム】『六人の嘘つきな大学生』/『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』(11月22日公開)

エンタメOVO / 2024年11月22日 8時0分

 犯人の動機がいささか弱い感じがしたのが難点だが、全体的にはなかなかよくできた青春ミステリーという印象を受けた。

『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』(11月22日公開)


 真面目な税務署員の熊沢二郎(内野聖陽)は、天才詐欺師の氷室マコト(岡田将生)の巧妙な詐欺に引っかかり大金をだまし取られてしまう。

 熊沢は、親友で刑事の八木(皆川猿時)の助けで氷室を探し出したが、氷室は熊沢にある提案をする。それは熊沢が部下の望月(川栄李奈)と共に追っている権力者の橘(小澤征悦)を詐欺にはめ、彼が脱税した10億円を納税させるので、その代わりに自分を見逃してほしいというものだった。

 熊沢は犯罪の片棒を担ぐことに戸惑いながらも、橘へのある復讐(ふくしゅう)ため、氷室と組むことを決意。2人はくせ者ぞろいのメンバーによる詐欺師集団「アングリースクワッド」を結成し、壮大な税金徴収ミッションに挑む。

 『カメラを止めるな!』(17)の上田慎一郎監督が、韓国ドラマ「元カレは天才詐欺師 38師機動隊」(16)原作に、真面目な税務署員と天才詐欺師が手を組んで脱税王から10億円を奪い取るべく奮闘する姿を描いたクライムサスペンス。

 森川葵、後藤剛範、上川周作、真矢ミキ、鈴木聖奈らが共演。上田監督とテレビドラマ「相棒」シリーズなどの岩下悠子が共同で脚本を手がけた。

 『カメラを止めるな!』の大成功以降、スランプが続いた感があった上田監督が、今回は、冒頭からラストまでの巧みな展開で、見る者を心地よくだますような快作を放った。

 詐欺師集団のメンバーがそれぞれのスキルを生かし、鮮やかなチームプレーで行う信用詐欺の様子を見ていると、同様の手口を扱った名作『スティング』(73)の楽しさを思い出した。

 また、気弱な税務署員を演じた内野が見せるコミカルな味わい、何を考えているのか分からないところが魅力の岡田、一人で敵役を背負った小澤をはじめ、キャスト陣もそれぞれの持ち場で好演を見せる。

 半ばコメディー仕立てでありながら、脱税など理不尽な問題への怒りが根底にある骨太な映画という言い方もできる。

(田中雄二)

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