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【週末映画コラム】今時代劇が熱い 多くの人々を疫病から救った実在の町医者『雪の花 -ともに在りて-』/初めて武士階級として一揆を起こした男『室町無頼』

エンタメOVO / 2025年1月24日 8時0分

 一方、天涯孤独で夢も希望もない日々を過ごしていた才蔵(長尾謙杜)は、兵衛に武術の才能を見いだされて鍛えられ、彼の手下となる。やがて兵衛のもとに集った無頼漢たちは、巨大な権力に向けて暴動を仕掛ける。そんな彼らの前に、兵衛のかつての悪友・骨皮道賢(堤真一)率いる幕府軍が立ちはだかる。

 日本史上で初めて武士階級として一揆を起こした男の知られざる戦いをドラマチックに描く。垣根涼介の時代小説を映画化した戦国アクション。監督・脚本は入江悠。

 昨年『碁盤斬り』と『十一人の賊軍』が公開された白石和彌監督に続いて、入江監督も時代劇に参戦。

 この映画のユニークなところは、ほとんど時代劇の舞台にはならない室町時代を背景にし、実在したが無名の男を主人公としたため、物語の自由度が高くなった点にある。それ故、アクションや設定にマカロニウエスタンや香港の武侠映画の要素を取り入れながら、独自の世界を構築している。大泉も長尾もみごとな殺陣を見せる。

 上記2作の白石監督と、『雪の花 -ともに在りて-』の小泉堯史監督にインタビューした際に、時代劇の魅力について尋ねると、どちらも「時代劇の魅力は自由なところで、そこに現代性を持たせることもできる」と語ってくれたが、この映画の入江監督に尋ねても同じような答えが返ってくるのではないかという気がした。

 その一方、『十一人の賊軍』とこの映画の製作・配給はかつて時代劇を量産し黄金時代を築いた東映で、『侍タイムスリッパー』にも協力している。そう考えると、これらの映画は“新たな時代劇”ではあるが、ちゃんと伝統も継承しながら作られていることが分かる。こうしてさまざまな形で時代劇が復活し、さまざまな展開を見せるのはうれしい限りだ。

(田中雄二)

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