人工林の伐採期到来 北海道林業はいま
テレビ北海道 / 2024年6月29日 11時55分
今週のけいナビの特集は、北海道林業について。40年ほど前に植えた人工林が伐採の時期を迎えているということで、林業を巡る現状と課題を探った。
番組MCの杉村太蔵さんと磯田彩実アナウンサーが今回訪れたのは、札幌・中央区の大通エリアに今春オープンした木NINARU BLDG.(キニナルビルディング)。鉄骨造、10階建てのビルで、内部に使われている木材は全て北海道産だ。
このビルの2階に入っているのが、「シメパフェ」ブームのけん引役といわれるパフェ佐藤の店舗。ここへの出店を決めた理由は「温かみのある木材がふんだんに使われているため」(運営するアリカデザイン・小林仁志代表)だ。
木材の需要は全国的に高いのだが、林業に携わる人たちは不足している。そうした状況を打開しようと、道が2020年に旭川で開校したのが道内唯一の林業専門学校、北の森づくり専門学院だ。1、2年生合わせて65人が在籍。林業の基礎を学び、即戦力として働ける人材を育成する教育機関だ。
学院はこれまでに105人を世に送り出し、うち92人が林業関係の仕事に就いた。昨年度は就職希望の29人に対し251人の求人が。林業関係者の注目度もひときわ高くなっている。
学院の卒業生を2人受け入れている旭東林産協同組合(東川町)の佐々木斉理事長は、「林業に必要な多くの資格を取得してくれている。将来の担い手として学生たちの力には今度も期待している」と話す。土屋禎治学院長は「斜陽産業といわれていた林業が成長産業化してきている。新しい林業の形を模索し、人材育成に努めたい」とする。
需要を生み出そうと奮闘する自治体がある。上川の当麻町だ。町は伐採から加工、流通、消費までを町内で完結させる循環型林業の取り組みを推し進めている。
取り組みのひとつが、これまでほかの地域から購入していた苗を自らつくり上げること。地元の農協と連携し、成長性の高いカラマツと野ネズミ被害を受けにくいグイマツの両方の特性を併せ持った新品種、クリーンラーチの育苗に力を入れている。
端材も有効に活用。町内で建てる住宅や公共施設には積極的に地域の木を使う。環境にも配慮されたことを証明する国際認証、SGECを取得した木材の利用推進にも取り組む。村椿哲朗町長は「外国産の木材との価格競争に勝てず町内の木材工場はなくなってしまったが、林業の復権を果たしたい」と力を込める。
杉村さんは、木材の利活用を増やす方策として「商業施設の一部を木材にするような取り組みを広げるべき」と提言。そのためには行政の補助も必要になってくるとし、木材を使うことが当たり前になるような機運が生まれることを期待した。
(2024年6月29日放送、テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)
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