認知症は早めにチェック 治療の選択肢増える
テレビ北海道 / 2024年9月19日 11時30分
毎年、9月21日は国際アルツハイマー病協会が制定した世界アルツハイマーデーです。当日は世界各地のランドマークや庁舎などが認知症支援のシンボルカラー、オレンジにライトアップされ、認知症への理解などを呼びかけます。
そこで今回は北海道内の先進事例から認知症対策の現在地を探ります。
国内の認知症高齢者の数は来年、実に65歳以上の5分の1にあたる700万人。北海道内も33万人あまりが見込まれています。長生きすると誰もが通る道と呼ばれる認知症ですが、北海道砂川市の「砂川モデル」と呼ばれる先進事例が全国から注目を集めているんです。どんな取り組みなのかというと…
空知エリアの中核病院・砂川市立病院では、もの忘れ外来を20年前に開設、2010年、道内で最初に認知症疾患医療センターの指定を受けました。この日、病院のロビーに車いすの高齢者と女性の姿が…
病院でよく見かける光景ですが、実は2人は家族ではなく、他人同士。認知症の人の受診の付き添いなどを行う砂川モデルの1つ「支援ボランティアぽっけ」のメンバーと患者です。
ボランティアの女性は「前回担当した方から、恥ずかしいんだけど助かるんだよねって言ってもらって、そういう言葉が本当に励みですよね」とやりがいを語ります。
メンバーは医師から診断結果を聞いて家族に知らせるところまでを担います。当初は無給のボランティアでしたが、長く活動してもらうため1時間あたり700円が支給される形に変更。現在メンバーは38人です。
認知症疾患医療センターの内海久美子センター長です。
20年以上前から「砂川モデル」作りを主導し続けています。内海センター長は「医療者は診断して、治療薬を出すだけくらいしかできない。患者さんがあるいはご家族が困っていらっしゃるのは、生活に支障がでてしまうということです」とし、「また介護職であったりそして地域の方たちも支えるサポーターとして、力を合わせてやっていかなきゃいけないだろう」とボランティアが、医療者や介護スタッフとともに重要な役割を果たしているといいます。
砂川モデルの取り組みは様々です。患者の情報を家族や医療関係者が共有する「空知支え合い連携手帳」を発行。発症した後になんと呼んでほしいか、住みたい場所などを事前に書いておくページもあります。これまでに3千冊を配布しました。
砂川モデルのもう一つの特長が「予防」です。10年前に始まった「認知症初期集中支援チーム」。1人暮らしの高齢者の家などを訪問し、早い段階で病気の発見を目指します。訪問メンバーは市の包括支援センターの介護士と看護師。医療関係者が一緒に出向くケースはまれだと言います。
介護士は「看護師は目線が全く違ってくると思っています。私はやっぱり環境だとか本人の生活スタイルとかを中心に見ていくし、医療職はやっぱり身体のことなどを自然に見る事ができるので、信頼関係を築いて、その上で必要だと判断した場合には適切な医療だったり介護につないで、目標はその人が住み慣れた環境で住み慣れた地域で暮らすことを目指している」と話します。
認知症をめぐる環境は大きく変化しています。今年1月、国の「認知症基本法」が施行されたほか、去年9月には製薬大手のエーザイなどが開発した新薬レケンビが承認されました。
内海センター長はレケンビについて「原因物質に働きかけるという意味で画期的なものです。脳の中のアミロイドというゴミをなくしてしまうっていう」と説明します。
新薬は、症状を改善させるものではありませんが、アルツハイマーの原因物質に直接働きかけるため、病気の進行を大幅に遅らせることが期待されているのです。そしてこの薬は症状の軽い軽度認知症の人にも投与できるようになりました。
内海センター長は「軽度認知症の人に対しては、これまでは趣味のカラオケはどんどんやりましょうなどくらいで、治療そのものがなかった。でも今回その薬が出たことによって使用を提案することができるんです。ですから早い段階におかしいなと思ったら早めに受診しましょうということになるわけですね」と期待を込めます。
進化する認知症対策ですが、パソコンやスマートフォンなどで簡単に脳の健康度をチェックできる「のうKNOW」というツールも提供されています。
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