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2ナノ半導体量産へ ラピダス着工1年

テレビ北海道 / 2024年9月21日 12時0分

今回のけいナビは、次世代半導体の量産を目指すラピダスについて特集する。千歳の工場着工から1年。現場は今どのような状況にあるのか、先端半導体市場は今後どう変化するのかを探った。

来年4月に予定する試作ラインの稼働を控え、千歳の建設現場では急ピッチで作業が進む。現在は1日に約3500人ほどが作業に当たっている。

番組MCの杉村太蔵さんらが今回訪れたのは、この現場内にある見学者用の施設。清水敦男専務執行役員に工事の進ちょく状況を聞いてみると、「全てスケジュール通りで順調に進んでいる」という答えが返ってきた。

ラピダスの競争相手はどこになるのかとの問いには、TSMCやサムスン電子、インテルといった回答が。ラピダスはクライアントからの設計をもとに製品を作るファウンドリー(製造受託会社)だからだ。建設業に例えるなら「施工会社」で、設計を専門とするエヌビディアはライバルではないとした。

工場建設が進む中、道内の教育機関では半導体業界に就職できる人材を育成しようという機運が高まっている。旭川高専もそのうちのひとつ。ことしから、熊本県の半導体関連企業メイビスデザインの技術者を招いて特別講義をしている。

技術者が直接学生に講義をするケースは極めて珍しく、生の声に触れられるとあって学生からの評判も良い。講義を聞いていた学生は「半導体業界にはそれほど関心がなかったが、講義を聞いているうちに就職してみたいという思いが強くなった」と話していた。

東京・千代田区。東京メトロ有楽町線麴町駅の真横にあるビルの中に、ラピダスの本社はある。番組は9月上旬、小池淳義社長を訪ねた。

ラピダスが目指す2ナノ半導体は、通常の半導体のさらに上をいく最先端のもの。小池社長は、こうした先端半導体の市場規模は2030年に世界で20兆円を超えるとみている。「そのうちの少なくとも1割をラピダスが担いたい」とする。

2ナノ半導体を作ることは極めて難しいが、そこに挑戦する理由としては「新たな価値の創造」を挙げた。「先端半導体の製造技術がないと世界を変えるような価値あるものを生み出すことができず、国内のあらゆる産業が低迷してしまう」ためだ。今後、AI(人工知能)が発達すれば、そこに関わる産業で先端半導体の需要は急速に高まるとし、「エヌビディア、GAFAMといった企業を取り込んでいきたい」と意欲を見せた。

ラピダスの社員数は現在約500人だが、2027年の量産開始時には1000人規模となり、相当数の社員が千歳へとやってくる。小池社長は、苫小牧から千歳、北広島、札幌を経て石狩へと至るエリアを「北海道バレー」と位置付け、新たなアイデアを提案する企業や人とタッグを組み、「共に新たな価値を生み出したい」と話した。

そんなラピダスの動きに呼応する企業のひとつが日本通運だ。8月、恵庭で面積約5万平方メートルの大型物流倉庫を操業した。

倉庫を建設した理由は、ラピダスのビジネスパートナーとなる企業が国内のみならず海外からも多数やってくるとみているためだ。倉庫内には雪冷房システムを導入した。環境負荷を減らすことが狙いだが、海外企業が環境面を重視する傾向にあることも関係している。

杉村さんは、市内の繁華街の状況についても話を聞いた。訪れたのは千歳市商店街振興組合連合会。齊藤元彦理事長は「工事が進むにつれて人流が増えた。観光客も多く訪れるようになり、千歳は通過点から拠点へと変わりつつある」とする。

杉村さんは、「千歳は今後も人口が増え、北海道では例のない企業城下町になるのではないか」と説明。今後の発展に期待するとし、「ラピダスにもまちづくりに積極的に関わってほしい」と提言した。

(2024年9月21日放送、テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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