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かつては100軒の餅店が今や2軒 小樽の餅文化に黄色信号

テレビ北海道 / 2024年12月18日 18時5分

2月に入り…クリスマスもまだではありますが、そろそろお正月の予定も気になってくる時期になりました。お正月と言えば!…やっぱり、お餅!ということで、きょうは「お餅のマチ・小樽」にやってきました。

小樽で3代続く、餅の専門店「みなともち」。代表の中山さんは「これから12月25日を過ぎたくらいからがピークですかね」と話します。そう、お餅屋さんはいま、お正月に向けて1年で一番忙しい時期を迎えています。

この日は朝5時、まだ日が昇る前から餅米を蒸しはじめ、かがみ餅や切り餅、大福を作っていました。「一番多くて1回で8キロくらい、作るもので変えてくるので、これで7キロくらいのコメの量」と説明してくれました。1日あたり、大福にして420個分の餅をつくるそう。毎日「その日のつくりたて」にこだわります。

つきたてのお餅を味見させていただきました。磯田アナも「フワフワだ…赤ちゃんのほっぺ…おいしい」とびっくり。素材の味にこだわり、切り餅には水も加えないそう。米を蒸したときの蒸気だけを活かしてついた餅です。

「小樽の方はね、“マイもち屋”みたいのを持ってる方が多いので、それで贔屓に先々代からされてる方が多いので、普段のおやつで食べてる方もいるし、お寺とかのお供え物とかでたのもまれることもある」と小樽独特の餅文化について教えてくれました。
一方で、最近気がかりなことが…
「本当に自分としても悲しいんですけど、ご近所さんの景星さんやツルヤさんが去年ことしにかけて廃業なされてね。ちょっと…悲しいところですよね」と表情を曇らせます。小樽と言えば「餅のマチ」と呼ばれるほど、古くから餅の食文化が根付く街。しかし今、受け継がれてきた食文化は危機を迎えています。

小樽の餅文化も研究する小樽市総合博物館の石川直章館長に話を聞きました。
「ひとつは明治以降に小樽の町は急速に大きくなるのですが、当時、稲作・水稲耕作はあまり成功していなかったのでお米は本州から運ぶものでした。餅に必要な米が大量に手に入る場所は港町だった。あとは消費者。お餅を買ってくれる人がたくさんいた。特に労働者、たくさんいましたから、腹持ちのするお餅はたくさん売れた」。
明治以降の港湾整備で発展した小樽には、北前船(きたまえぶね)が様々な物資を運び、餅や大福に欠かせない米・砂糖、そして職人の人材も豊富でした。

また餅は、振り売りといって、店舗を構えず商品を手に売り歩くことができ、開業の初期投資が少なかったことから、たくさんの餅店が生まれたそうです。
その数を聞くと「古いお餅屋さんを経営している人たちの話を聞いても100軒近くあったんじゃないかと聞いています」とのこと。1950年代をピークに店の数は減りつつも、餅を食べる文化はマチに受け継がれてきました。しかし…「この秋に閉めた開福餅さんの話でも『俺の代ではやってるけど、もうしんどいから。この仕事は息子には継がせないよ』と言っています」と石川館長は説明します。
高齢化と後継者不在を背景にことしだけでも2軒が廃業し、1軒が休業。

マチの食文化に黄色信号が灯る中、「みなともち」と並んで奮闘しているのが菓子店「六美(ろくみ)」です。看板商品は、小樽にちなんだ「たるどら」。

六美の工藤社長は「どら焼きなんですけど、その中に栗と餅が入っています。小樽はお餅のマチなので、中にお餅が入っています」と特徴を教えてくれました。六美の創業は昭和6年。6つの味のすあまで人気を博した「お餅屋さん」でした。3代目の工藤社長が受け継ぐ現在は、まちの「お菓子屋さん」です。

「祖父が始めた時にはお餅から始めました。父の代に和菓子を加え、私の代に洋菓子を加えた。はじめ和洋折衷出したときは違和感があった人もいたようだが、今のコンビニのスイーツからわかるように、それは自分たちが(洋菓子和菓子と)分けてたんだなって作る側が。お客さんは分けてはいないのでいまは時代の流れにあったかなって思います」と話します。
店に並ぶ菓子は300種類まで増えました。創業時のルーツは守りつつ、時代のニーズにもアンテナをはる。「餅は餅屋ならぬケーキも餅屋」で、使命感も覗かせます。
石川館長は「観光に来た人もぜひお餅をお土産にしてほしい。市民もできるだけお餅を食べる機会を。食べる機会があればこの2店舗を、もし再開したら雷除志ん子にも足を延ばしてほしいなと思います」と餅文化の維持に期待します。
小樽で長く愛されつづける「おもち」。この先も、粘り強く、マチの食文化が続きますように!

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