空が霞んだら黄砂にご用心 健康被害と対策は?

ウェザーニュース / 2018年4月29日 11時30分

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中国のゴビ砂漠などから飛んでくる黄砂。毎年3〜5月に観測されることが多く、黄砂が原因の「春霞」も少なくありません。黄砂による健康被害と身を守る対策法を紹介します。

黄砂が3〜5月に飛来する理由

中国北西部のゴビ砂漠やタクラマカン砂漠などの土壌や鉱物粒子が、強風によって高度数千mまで巻き上げられ、偏西風に乗って日本にやってきたのが黄砂です。

冬の間、ゴビ砂漠などは雪や氷に覆われていますが、雪や氷が溶ける春に黄砂が飛び始め、初夏なって砂漠に草が生えると黄砂はおさまります。そのため、黄砂は毎年3〜5月に飛来するのです。

黄砂の中身は?

黄砂粒子の電子顕微鏡写真(環境省提供)

黄砂は、石英や長石などの造岩鉱物、雲母やカオリナイトなどの粘土鉱物などからなっています。しかし、砂漠にはないアンモニウムイオン、硫酸イオン、消散イオンなども含まれています。黄砂が中国の上空を通過中に汚染物質を取り込んでいるのです。

黄砂がもたらす健康被害

黄砂はどのような健康被害をもたらすのでしょうか。長崎大学の橋爪真弘らのグループが、2010年3月から3年半にわたって長崎市の夜間急患センターを受診した15歳までの小児のうち呼吸器疾患(気管支喘息を含む)の5421件(うち気管支喘息756件)を調べました。

6〜15歳の学童児は、黄砂が飛来して3〜4日後に気管支喘息による救急受診が通常の1.8倍と高くなるなど、黄砂が小児の呼吸器疾患のリクスを高めていたのです。

黄砂濃度0.3mg/m3超は要対策?

環境省は2018年3月、『黄砂とその健康影響について』という小冊子を発行しました。その中で、黄砂の健康被害を予防するには、付近の観測データが、<SMP(浮遊両市場物質)観測データが0.2mg/m3(立方メートル)>を超え、<黄砂濃度が0.3mg/m3>を超える場合は、以下の予防策を講じることが望ましいと記載しています。

(1)外出や屋外での運動に関する注意
不要不急の外出を控えて吸入量を減らす。マラソン大会のような呼吸器系への負担が続く激しい運動を避ける。特に、呼吸器や循環器に疾患のある人、小児、高齢者は体調に応じて慎重に行動する。

(2)外出時のマスク着用
一般用マスク(不織布マスク等)を着用すすると黄砂の吸入を予防できる。医療用や産業用のマスクは、微粒子の捕集効率が高いフィルターを使っているので黄砂やPM2.5の吸入を大幅に減らすことができる。

(3)屋内での換気や空気清浄機
高濃度の黄砂が飛来しているときは、窓の開閉や換気を最小限にする。空気清浄機の除去効果はフィルターの有無や性能などを製品表示で確認する。定期的にフィルターの清掃・交換を行う必要がある。

「環境省黄砂飛来情報」に濃度を表示

今年4月1日、環境省はネット上の「環境省黄砂飛来情報」に、全国11地点の地上付近の黄砂濃度をリアルタイム(1時間ごと)で表示しています。予防を講じる必要がある<SMP(浮遊量市場物質)観測データが0.2mg/m3>を超え、<黄砂濃度が0.3mg/m3>を超える場合は、ページ上に表示されることになっています。

ただし、環境省環境安全課は「人の感受性はそれぞれ異なりますので、予防策を講じるべき濃度は人によって大きく異なります。個々人でご自身に合った対策(マスク着用等)を行うことを推奨しております」と述べています。

参考資料など

『黄砂 健康・生活環境への影響と対策』(鳥取大学乾燥地研究センター監修、丸善出版)
『黄砂とその健康影響について』(環境省)
『黄砂の健康影響の解明に向けた環境省関連の研究成果』

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