サンマの美味しさの秘密は”煙”にあった!?
ウェザーニュース / 2018年9月26日 11時45分
日本人にとって、秋の味覚の代表格といえばサンマ。価格も手頃で江戸時代から庶民の食卓にのぼっていました。
近年、サンマの漁獲量の減少が続いていましたが、今年は9月後半には、水揚げが上向く見通し(水産庁・2018年長期漁海況予報)だと言われています。
発酵学者で食文化論の泰斗、小泉武夫東京農業大学名誉教授に、なぜサンマが美味しいのか、その理由について伺いました。
Q.サンマを語る上で外せないお話とは?
「『目黒のサンマ』という有名な落語です。話の筋はさておいて、なぜ殿様があのようにまでサンマに恋い焦がれたのかについて話しましょう。それが焼きたてのサンマの匂いと味です」
Q.お殿様が目黒まで遠出した際に、家来が弁当を忘れてしまったんですね?
「腹をすかせているところに嗅いだことのない旨そうな匂いが漂ってきたんですね。カンカンと炭火のおこった七輪の上の網わたしに、丸々とした生のサンマをのせると、『ジュージュープップッ』と鳴きながら、まず表面が焼ける。
だが表面だけがはやく焼けるようでは焦げついてしまうので、中までうまく火が通るようにしなければならない。そこは炭火のよいところで、火に適当な加減を加えれば、十分にうまくいきます」
Q.煙の匂いには意味があった?
煙が味を増幅させるワケは…
「殿様を最初に喜ばせた煙の匂いは、魚の表面の皮やその皮下層に重なっている脂肪が焼けて、炭化する時のもので、多数の化合物が複雑に加熱反応しあって生じたものです。
サンマには、30%近いタンパク質と、7~8%もの脂肪があるから、これが炭火で焙(あぶ)られると、脂肪が溶けだし、これが炭火に落ちて燻(いぶ)られる。その煙の匂いには、魚の生臭みの成分(トリメチルアミン、エチラミンなど)をはじめ、加熱反応で生じたカルボニル化合物や、脂肪とタンパク質が炭化の際に生じたフェノール化合物などがあって、それらが特有の匂いを発するのです」
Q.焼くからこそ生まれる味なんですね?
「『焼く』と『煮る』とでは、加熱するという共通の調理法でありながら、まったくの大違いで、サンマを湯で煮ただけでは、目黒には遠く足元にも及ばない。焼くことによって容易に目黒に至るわけです。
煮ることはせいぜい100℃以下で進む加熱であるのに対して、焼くとなると、渡し金の上でさえ200~300℃という高温。火の表面では、1000℃という灼熱の状態になります。魚から出る匂いや味が、煮ると焼くとで異なるのは当然なのです」
Q.サンマは焼きたてに限る?
「お殿様だけでなく、焼いた魚から出る匂いは、魚好きの日本人を魅了してしまいますが、焼かれてうまい魚は多くの場合、日本の近海もので、脂肪ののった魚。キンキン(キチジ)、サンマ、鰯(いわし)、ホッケ、鰊(にしん)などはその代表格で、目黒組の優等生。
殿様が『サンマは目黒に限る』といったのは、実は、お城に帰ってきて食べた憧れのサンマが、お毒見を経て冷たくなり、まずかったためです。目黒の村で食して実にうまかったのは、焼きたてのアツアツだったからで、熱いうちに食べると舌にうま味がのこり、魚本来の生臭みを燻しの匂いが隠してくれる。やはり、サンマは焼きたてに限るというわけです」
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