秋の星空の楽しみ方
ウェザーニュース / 2018年11月8日 16時10分
天の川が見頃になる夏や、7つの一等星が競い合うように輝く冬に比べると、少し地味な印象がある秋の星空。
中秋の名月や十三夜など、どちらかというと星よりも月が注目されることの多い季節ですが、秋の星空にも見どころはたくさんあります。今回はそんな秋の星空を楽しむために、欠かすことが出来ないある星の並びを紹介します。
秋の四辺形を見つけよう
秋の星空を楽しむ時に、星座を探す目印になるのが「秋の四辺形」と呼ばれる星の並びです。
ペガスス座の胴体にあたる部分で、二等星が3つ三等星が1つと一等星は1つもありませんが、周りに明るい星がないことや、今の時期は20時ごろに天頂付近で輝いていることから、比較的見つけやすい星の並びです。
秋に見頃を迎える星座はこの四辺形の周りに集まっているので、まず天頂付近を見上げて、秋の四辺形を見つけるようにしましょう。
秋の四辺形の周辺にある星座
秋の四辺形が見つかったら、次はその周りを見ていきましょう。四辺形のすぐ横にはアンドロメダ座があります。
実は、秋の四辺形を構成する星の1つであるアルフェラッツは、正式にはペガスス座ではなくアンドロメダ座に属する星とされているため、アルフェラッツを頭としてアルファベットの「A」の形に星を結んでいくと、比較的簡単にアンドロメダ座を見つけることができます。
また、アンドロメダ座の領域に存在するアンドロメダ銀河は、空の綺麗な所では肉眼でも観測ができます。肉眼でみると、普通の星とは異なり輪郭がぼんやりとぼやけて見えるので、チャンスがあればぜひ探して下さい。
そのアンドロメダ座のすぐ近くに「W」や「M」の形に見える星座として有名なカシオペヤ座があります。この星座はその特徴的な形と明るい星が多いことから、目印なしでもすぐに見つけられると思います。
アンドロメダ座とカシオペヤ座を見つけることが出来たら、再び視線を秋の四辺形に戻して、そのまま南の空の方向に視線を下ろしてみましょう。
秋の四辺形のシェアトとマルカブを結んだ線を南の地平線方向に伸ばすと、明るい星にたどり着きます。これは、秋の星座を構成する星の中で唯一の一等星である、みなみのうお座のフォーマルハウトです。
そして、秋の四辺形とフォーマルハウトの間には、星占いでもおなじみのみずがめ座があります。みずがめ座は明るい星が少なく、実際の空で星座線を結ぶのは難しいですが、街明かりの少ない所では「Y」の字のように見える、三ツ矢と呼ばれる星の並びが見えるので、それを目印に探すのがオススメです。
また、今の時期、この南の空の領域には一等星よりも明るく輝く星が存在します。それは今年の夏に地球に最接近した火星です。ただ、惑星である火星はその名の通り、惑(まど)うように位置を変えるため、この写真素材を撮影した11月3日にはやぎ座の領域にありましたが、11月の半ばにはみずがめ座の領域に移動してしまいます。
火星に限らず惑星は、観測する時期によって存在する場所が変わるので、詳しい位置は国立天文台などのサイトでご確認下さい。
再び、秋の四辺形に戻りましょう。四辺形から少し東方向に目をやると、密集した星の集まりであるおうし座のすばるがあり、これより更に地平線方向に視線を進めると、冬の星座の領域となります。
そして、秋の四辺形とすばるの間には、みずがめ座と同様に誕生星座でお馴染みのうお座とおひつじ座があります。
ただ、2等星〜4等星が主なおひつじ座はともかく、3等星以上の明るい星を持たないうお座の星座線を夜空で結ぶことは非常に難しいと言えます。
天の川が見えるような星の綺麗なところに行った時に、四辺形を包むように2本の紐状に伸びるうお座の星座線を結ぶチャレンジをしてみてはいかがでしょうか?
秋は、移動性高気圧に覆われると非常にクリアな星空が広がるため、天体観測がしやすい季節とも言えます。週末のお出かけで郊外に行ったときなど、機会があれば、ぜひ秋の四辺形を活用して秋の星空をお楽しみ下さい。ただし、晴れた夜は放射冷却が効いてグッと冷え込むため、万全の防寒対策を忘れずに。
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