冬は火災が増加する季節 "物が燃える3要素"から考える火事対策
ウェザーニュース / 2018年12月15日 12時0分
空気が乾燥し、暖房器具などの使用が増える冬季に気をつけたい火事。特に火気を扱う機会が増える年末年始は火災が多いです。火事発生の仕組みや原因を知って、火事予防に努めましょう!
「物が燃える3要素」とは
学校で習った人も多いと思いますが、そもそも物が燃えるには、(1)燃える物、(2)新しい空気、(3)一定以上の温度の3要素が必要になります。
また、ある物が空気に触れている状態で、だんだん温度を上げていき、ひとりでに燃え始める温度を発火点といいます。一方、火を近づけた時に物に火がつくことを引火といい、その最低温度を引火点といいます。
特に注意したいのが植物油。てんぷらなどで使う植物油は、7分程度の加熱が調理にちょうど良いとされていますが、加熱してから15分程度でマッチを近づければ火がつく引火点に達し、かなりの煙が発生します。
そして5分足らずで発火点に達し、火種がなくともひとりでに火がついてしまうのです(油量500ccの場合)。また、成分に特徴のある油や古い油はより早く発火点に達しやすいので、さらに注意が必要です。
日本の火事の原因は?
日本の火事は平成25年以降減り続けており、平成28年度の火事は10年前と比較して70%程度に減少しました。それでも1日当たり平均約101件の火事が起こっており、その年間総損害額は約752億円となっています。火事の原因を見ていきましょう。
グラフの通り、日本の出火原因をみると放火、たばこ、コンロが大きな割合を占めます。放火は20年連続1位で、そのなかでも放火自殺が多いのも特徴となっています。
注意不足による火事も多い
また、他国と比較してみると、日本では電化製品の安全性向上、過熱防止装置などがついたSiセンサーコンロの普及や火災警報器設置の義務化に伴い、コンロや暖房機器による火災は減っています。
一方で、消防白書によると2位のたばこは不適当な場所への投げ捨てによるもの、3位のコンロも半分近くは消し忘れによるもので、普段の生活の中で注意不足が原因で発生する火事も目立っています。
熱源からちょっと目を離した隙に、自分の、他人の人生を損ないかねない火事。忙しい年末年始は火の元には十分注意してくださいね。
参考資料など
『消防白書(平成29年版)』、『理科年表 平成29年』、『身近にあふれる「科学」が3時間でわかる本』(左巻健男、明日香出版)、東京消防庁、日清オイリオ(http://www.nisshin-oillio.com/)
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